昭和の小型スポーツカー「S8」と「ヨタハチ」、あなたはどちらが好み?

更新日:2017/03/05

ホンダNSXの復活、トヨタもスープラ後継モデルの噂もあり、間違いなくスポーツカー復権の気運が高まっているのが事実。そんな中、ホンダとトヨタが1.0Lクラスのスポーツカーの開発をしている、という情報もここ数年あるわけです。この話の原点となるのが、ホンダS600およびS800、そしてトヨタ スポーツ800の存在です。

ホンダ「S」の系譜

現在、ヒストリックカー人気が高まっており、その中でもホンダ S800、S600は非常に人気の高いモデルとなっています。1960年代に作られたモデルにも関わらず、8,000rpmで最高出力を発揮する高回転型の直4 DOHC エンジンを搭載しており、二輪車メーカーとしてスタートしたホンダの技術の粋が詰め込まれている特別なモデルといえます。

■ホンダS800 スペック
791cc直4 DOHC エンジン
最高出力70PS/8,000rpm 最大トルク6.7kgm/6,000rpm
最高速度160km/h
車重755kg

■ホンダS600スペック
606cc直4 DOHCエンジン
最高出力57PS/8,500rpm 最大トルク5.2kgm/5,500rpm
最高速度145km/h
車重695kg

いずれも幌のオープン仕様とシューティングブレイク風のクーペが用意されていました。

このS600、S800が現存台数や知名度から知られていますが、このSシリーズの元祖は1962年に発表された当時の軽自動車規格で製作された「S360」となります。製作されたものの市販化はされなかったのですが、このわずか360ccの水冷DOHC4気筒エンジンは、商用トラック「T360」に搭載され、市販されています。

4気筒エンジンは製造コストが高くなってしまう事から、後にN360やホンダZ等に搭載される空冷2気筒エンジンが軽自動車の主流になっていくのですが、このT360も時代の仇花というべきか、面白い存在ではあります。

さて、市販化されなかったS360ですが、1963年にボディサイズを拡大、またエンジンを531ccに拡大させたS500をリリース。こちらは44PS/8,000rpm、4.6kgm/4,500rpmといった数値を絞り出しましたが、翌1964年にホンダS600へと進化した為、S500の生産台数は500台前後といわれています。

S800は1966年にリリース。こうしてみると、毎年のようにホンダはSシリーズを進化させてきたことがわかりますね。ちなみにS800とS600の見分け方ですが、ボンネットにボコッとパワーバルジの膨らみがあるのがS800となりますので、すぐわかるようになっています。実際にはこのバルジに意味はなかったそうなのですが、差別化という意味では成功したといえますね。

非力というなかれ!空力に拘ったスポーツカー、トヨタ スポーツ800

さて、ホンダS600 、S800のライバルとして存在していたのが、ご存じトヨタ スポーツ800です。「ヨタハチ」という愛すべきペットネームも有名ですね。

非常に興味深いのは、このヨタハチとホンダSが対極にあるような存在だからです。ホンダSシリーズは、ホンダが「スポーツモデルをつくる!」と気合を入れてエンジンからなにから専用設計(DOHCエンジンがそれを物語っていますね)としたのに対し、このヨタハチは当時の大衆車「パブリカ」のエンジン、シャーシを流用するのが開発時のコンセプトだったのです。

これは現在のメーカーがよく行う手法ですよね。既存のリソースを上手く活用することで開発コストを大幅に抑え、ラインナップを拡充できます。

ともあれそうしたコンセプトでヨタハチは製作されたのですが、エンジンに徹底的なこだわりを見せたホンダとは真逆に、エンジンは既存のものを使う代わりに、ボディスタイリング、空力に徹底的にこだわったのが興味深いポイント。

ボディ開発の際には回流水槽で研究を重ね、空気抵抗の低減を目指したデザインを狙い、あの丸みを帯びた近未来的なデザインになったそうです。空力対策でプラスチックカバーされたヘッドランプがどことなくトヨタ2000GTとの類似性も感じさせますが、決して意識されたものではないそうです。

設計統括の長谷川龍雄氏は元航空技術者だったそうで、結果として、空気抵抗係数0.35という素晴らしいボディワークとなったといえるかもしれませんね。

■パブリカ スペック
2U型 790cc 空冷水平対向2気筒OHVエンジン
最高出力33kW (45PS)/5,400rpm
最大トルク67N·m (6.8kgm)/3,800rpm
最高速度 155km/L(推定)
車体重量 580kg

特筆すべきはやはりその空力性能と、軽量ボディでしょう。S600と比較しても12馬力劣っているのですが、最高速はさほど差がなく、車重は115kgも軽いため当時のレースでもパワーで勝るS600に互角以上の戦いをした、という逸話が残されています。

これは軽量によるタイヤ、ブレーキ等の負担の少なさに加え、燃費の良さも挙げられます。ロングディスタンスのレースで結果的に優位に立てた、というのも頷けるところですね。

このようにそれぞれ異なる個性の際立った2台。みなさんはどちらがお好みでしょうか。

ライバルの系譜は21世紀に引き継がれるか…!?

ホンダS660がリリースされた際、久々の「S」シリーズということもあって、大きな期待が寄せられました。

とはいえ、既存のモデルのエンジンを流用し、64馬力の自主規制でまとめたことに対しては少々残念に思った方も多いかもしれませんね。

しかし2017年の東京モーターショーで本命!?ともいえる「S1000」を発表する、という噂もあります。

対するトヨタも2015年の東京モーターショーで「S-FR」を発表しており、そのエクステリアデザインはどこかヨタハチを彷彿させるものがありました。

こちらも近い将来、ニューモデルとしてリリースされるという噂が絶えませんよね。

今年の東京モーターショーで往年のライバルがふたたび相まみえる事となるのか、非常に興味深い展開になってきているのは間違いありません。

情報提供元: CarMe[カーミー]