FFとRR。コンパクトカーにはどちらの駆動方式が適してるのか?

更新日:2017/11/16

現在、多くのコンパクトカーはFFの駆動方式を採用しています。それには、車両設計の容易さ、モジュール化によるコストダウン、伝達ロスの少なさなど、いくつものメリットがあるからです。しかし、過去をさかのぼるとRRが主流の時代があり、近年でも三菱 i-MIEVやルノー トゥインゴ、スマート フォーフォーなどがRRの駆動方式を採用しています。はたしてFFとRR、どちらがコンパクトカーに適しているのでしょうか。

FF、RRとは?

FFは、フロントエンジン・フロントドライブの略で、文字通り車体前方にエンジンが搭載され、前輪を駆動します。対するRRは、リアエンジン・リアドライブの略で、リアトランクに当たる部分にエンジンを搭載し、後輪を駆動します。

どちらも構造的には、駆動輪の車軸上にエンジンを配置しており、大雑把に言えばエンジンと駆動輪のセットをフロントに配置すればFF、リアに配置すればRRというわけです。

FFまたはRRというパッケージは、一般的なFR方式にくらべて、駆動輪までを含めたパワーユニットを構成する部品数が少なく、構造がシンプルです。そのため駆動力伝達上のロスが抑えられ、燃費向上にもつながります。

さらにフロントに搭載されたエンジンとリアの駆動輪をつなぐプロペラシャフトを必要としないので、乗車空間を広く取ることができます。

FFとRR、先に普及したのはどっち?

市販車としてRRを採用した車種が流行したのは、第二次世界大戦後です。

1938年、ナチス・ドイツが国民車計画を提唱。そこで生まれたモデルが、フェルディナント・ポルシェが設計したフォルクスワーゲン タイプ1(ビートル)でした。しかし、ナチス・ドイツは戦争に突入し計画が頓挫。生産は、終戦後の1945年から開始されました。

また、同じ敗戦国のイタリアでは、1957年にフィアットが2代目の500を発表。RRのフィアット500は、大衆車としてイタリアのみならず周辺のヨーロッパ諸国でも受け入れられました。

さらに日本でも1958年にRRのスバル360が発売されました。

RRが普及した理由は、上記以外に、ボンネットを低くデザインできる自由度の高さ、駆動輪に常に荷重が掛かるためトラクション性能に優れていること、ハンドルの軽さや回頭性の良さ、ブレーキの効きの良さが挙げられます。

一方、FFは1930年代から研究がされてきましたが、前輪に駆動と操舵を合わせることが技術的に難しく、普及するまでに時間がかかりました。一般的に普及したのは、1959年にデビューしたミニと言われています。

ただし、アレック・イシゴニスの設計したミニのエンジンは、エンジンとミッションが2階建てになったもので、オートバイのようにエンジンオイルとミッションオイルを共用していました。その後、フィアットがエンジンの横にミッションを配置したパワーユニットを設計。1969年にフィアット128が発売されました。これが現在のFFのもとになっています。

その後1960年代にFFが普及すると、RRを採用する車種が少なくなっていきました…。

RRが衰退した理由

一時代を築いたRRが衰退した大きな理由は、交通の高速化と車重の増加、エンジンの基本設計の変化が挙げられます。

RRはエンジンという重量物をリアに配置しているため、トラクションが掛かりやすい反面、直進安定性という点ではFFやFRに劣ります。

時速50km程度の交通情勢下では問題は少なく、むしろ利点が目立っていたのですが、高速道路が開通し自動車が高速で走行するようになると、直進安定性の乏しさが指摘されるようになります。

また回頭性優れた特性を持つRRですが、リアオーバーハングに重量物を置くため、オーバーステアが発生しやすく、コントロールが難しくなります。エンジンをリアに搭載するRRは、物理的に高速走行が不得手なのです。

さらにエンジンをリアに配置しているRRは、バッテリーやスペアタイヤ、燃料タンクをフロントに配置する関係でトランク容量の確保が難しいという設計上の問題もあります。

戦後RRを採用した大衆車は、すべて空冷エンジンでした。しかし、エンジンの高性化が進むと空冷エンジンは環境を含めた性能の面で不利な部分が多く、現在、自動車の空冷エンジンは存在しません。つまり、ラジエターの必要な水冷エンジンの場合、ラジエターとエンジンを前後に振り分けなければならないRRよりも、FFのほうが何かと都合が良かったのですね。

そういったいくつもの理由により、RRは衰退していきます。

FFはRRの改良型?

FFは、フロントにエンジンを配置することで高速安定性能を確保し、同時にパワートレーンをRR同様小型化できるため、RR同様の室内空間の広さと低燃費を実現しています。

日本で普及し始めたのは1980年代前半のことで、わずか30〜40年ほどの歴史しかない新技術と言えます。余談ですが、イニシャルDでも有名なAE86は、トヨタがカローラの駆動方式をFRからFFに変更する際に、FF車の製造ラインが整っていないこと、FF車のスポーツ性能に懸念が残ることを理由として、従来型のFRシャーシを用いて開発されました。

FFではRRでは見られなかったブレーキの効きの悪さと、ステアリングにトルクが伝わるなどの弱点もあります。一方で前輪が駆動輪であるため車体を引っ張る能力に長け、降雪地帯では4WDと並ぶ選択肢になっています。

FFとRR、どちらがコンパクトカーに向いているのか?

現在、RRを採用する車種は世界的に見ても数えるほど。ほとんどのコンパクトカーはFFを採用しています。高速走行を前提とした現代の交通環境に適しているのは、FFです。

しかし、スマート フォーフォー(エレクトリック ドライブ)、三菱 i-MIEVなどがRRを採用していることから、EVのようにフロントにラジエターを必要としない車種であれば、RRの優れた部分を活かせる可能性があるのです。

情報提供元: CarMe[カーミー]