デロリアン、初代ゴルフなど…ジウジアーロデザインのクルマたち

更新日:2018/05/02

イタリアを代表するカーデザインの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ。直線を基調としながらも洗練された美しさ、気品を漂わせる造形美は、時代を超えてあらゆる人に愛されてきました。今回は、そのジウジアーロデザインのクルマをいくつか紹介しましょう。

文・吉川賢一

稀代のデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロとは

1938年イタリア ピエモンテ州に生まれたジョルジェット・ジウジアーロは、高校を中退してフィアットのデザイン部門に入社。1959年にはカロッツェリア「ベルトーネ」にスカウトされ、最初の腕を振るうことになります。

その後、1965年に「カロッツェリア ギア」のチーフデザイナーとなり、1968年には自らの会社「イタルデザイン」を設立します。

1981年には、自動車分野以外の製品をデザインする「ジウジアーロ デザイン」を興し、一眼レフカメラや家具、パスタやキーボード、釣り用リールやテレビ番組のセットなども手がけるようになります。

現在までに彼が手がけたとされる車両は、イタルデザイン以前のBMW 3200CS(1961年)、アルファロメオ ジュリア スプリントGT(1963年)、マセラティ ギブリ(1966年)、フィアット ディーノクーペ(1967年)に始まり、マセラティ メラク(1972年)、VW ゴルフ(1974年)、BMW M1(1978年)、アウディ 80(1978年)、 フィアット パンダ(1980年)、いすゞ ピアッツァ(1981年)、サーブ 9000(1984年)、トヨタ アリスト(1991年)などなど。

日本車のデザインも数多く手がけており、ジウジアーロデザインは、小型車から高級スポーツカーにいたるまで、さまざまな車種に採用されています。

それでは、ジウジアーロがデザインした魅力的なクルマをいくつかピックアップしてみました。

いすゞ117クーペ

現在も根強い人気を誇る「いすゞ 117クーペ」は、1966年3月のジュネーブモーターショーで発表されたカロッツェリア ギア時代のジウジアーロが担当した高級クーペです。

フロントはジウジアーロデザインの特徴である直線を基調とし、リアに向かって流れるような曲線がエレガントな雰囲気を醸し出しながらも、スポーツマインドを十分に感じることのできるデザインです。

初期型は生産工程の一部が手作業となったため量産車としては高額な価格設定となり、若者には手の届きにくいクルマとなっていましたが、美しいデザインと相まって、それもこのクルマを憧れの存在にさせる理由となっていたのでしょう。

アルファロメオ ブレラ

2005年に発売されたアルファロメオのクーペモデル「ブレラ」は、大きな盾型グリルを中心に据え、左右に三連のライトを配置したインパクトのあるフロントマスクに、ボリューム感のあるリアスタイルを持ち、多くのイタリア車愛好家を魅了してきました。

エッジの効いた鋭いラインとグラマラスな曲線を対比させながら全体の雰囲気を構成するあたりが、ジウジアーロデザインの妙と言えるでしょう。

デロリアン DMC-12

大ヒット映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でおなじみの、デロリアンDMC-12もジウジアーロデザインです。デビューは1981年。

実車を目にする機会はあまりないかもしれませんが、ジウジアーロらしいエッジの効いたデザインにステンレスボディ、ガルウィングドアという、個性的な1台です。

フォルクスワーゲン ゴルフ(初代)

1974年に欧州で発売された初代ゴルフも、ジウジアーロデザインです。それまでのフォルクスワーゲンの顔ともいえた、ビートルの後継モデルとして開発されました。

ビートルが丸っこいデザインで世界的に大ヒットし、車の大衆化に大きく貢献しただけに、その後継モデルを開発するのは、容易ではなかったと思います。

しかしジウジアーロのスクエアなデザイン、またエンジンや駆動方式もビートルとはまったく異なる方向で開発したにもかかわらず、ゴルフ誕生後はあっという間に実用車の地位を獲得し、ハッチバックの水準を高めたモデルになりました。

ダイハツ ムーヴ(2代目標準モデル)

ダイハツの軽トールワゴン「ムーヴ」が1998年に、軽自動車の規格が改正されたことに伴ってフルモデルチェンジした際、標準モデルのデザインをジウジアーロが手がけました。

軽自動車という小さなボディサイズや軽トールワゴンという独特のパッケージングにおいても、ジウジアーロらしい、シンプルかつエレガントなデザインを実現しているところが素晴らしいですね。

スバル アルシオーネ SVX

1991年にスバルが発売した5人乗りの2ドアスペシャリティクーペが、アルシオーネ SVXです。3.3L 水平対向6気筒エンジンに4WD、ドアガラスがルーフ面まで回り込んでいるキャノピー調のデザインはデビュー当時鮮烈な印象を多くの人に与えました。

ただ、バブル崩壊直後であっただけに、350万円を超えるクーペが爆発的に売れることもなく、素晴らしいデザインと実力のある性能を持つにもかかわらず、売れ行きは振るいませんでした。

6年間の生産台数がわずか5,884台だったこともあり、現在ではほとんど街で見かけることもありませんが、スバルの技術の粋を結集させて作り上げたグランツーリスモに与えられた美しいデザインは、最新モデルと比較しても決して引けをとりません。

時代を超えたジウジアーロデザインの魅力

ここで紹介したジウジアーロデザインのクルマは、ほんの一部。永く愛されるデザインは、流行よりもジウジアーロの信念を表現したものと言えます。

美しさを追求しながらも親しみやすさがあり、気品と機能性を両立させながら個性を出す。これを直線と繊細な曲線で表現するのですから、素晴らしい才能ですね。


情報提供元: CarMe[カーミー]