1,000km乗って見えてきたスズキ 4代目ジムニーの姿!納車待ち1年以上の人気は本当に死角なしか!?

更新日:2018/08/14

今回は、2018年7月に発売されたスズキ 4代目ジムニー(3BA-JB64W)の素顔に迫ります。納車まで1年以上待ちとも言われていたほど高い人気を誇った4代目ジムニー。さまざまな方面で絶賛されていますが、果たしてどんなクルマなのでしょうか。0.6L版の5MTと4ATに約1,000km乗って見えてきた、4代目ジムニーの姿を紹介していきましょう。

文/写真・山崎 友貴

スズキ 4代目ジムニーの身上はクロカン4WD

発売から1ヶ月も満たない段階で、すでに納車まで1年以上かかるといわれていた4代目ジムニー。ジムニーシエラにいたっては、なんと5年待ち状態との情報が飛び込んできたほどの大ヒットを飛ばしました。

20年ぶりのフルモデルチェンジだったということもありますが、なによりデザインや中身がいいことからビッグヒットになったことは間違いありません。ネット媒体で報道されない日はまずなく、4代目ジムニーが社会現象にさえなっていました。

今回、幸運にも2台のジムニーに長く乗る機会を得ました。すでにこれまでも、テストコース・一般道・オフロードコースでジムニーを試乗してきましたが、やはり一般ユーザーと同じスタンスで乗ることで、見えてきたことがたくさんあります。今回は、4代目ジムニーを約1,000km乗って感じたことをお伝えしましょう。

誤解があるといけないので、まず最初にお伝えしますが、僕はジムニーというクルマが大好きです。先代の3代目ジムニー(JB234型)もここ数年、年間5,000km以上のドライブをしてきました。そして、メーカーテストコースで444代目に初めて乗った時は、それは感激したものです。

3代目ジムニーは20年で10型まで改良版を出したロングセラーモデルで、非常に熟成されたクルマになっていました。ですが、発売から20年も経過すれば、何度も仕様変更を行っても前時代的な性能やフィーリング、安全性を完全にアップグレードすることは不可能です。
 
なので、ゼロから開発し直した4代目ジムニーは、すべてが衝撃的でさえありました。1970年の初代登場以来、その変遷を知る人間にとって、444代目ジムニーのクオリティーは感動を感じるほどのものでした。

それゆえに世ではベタ褒めする意見が多かったのですが、クロスカントリー(オフロード)4WD、いわゆる「ヨンク」を経験したことのない人にとっては、必ずしも手放しの評価にならないのではないかと思うのです。

そもそもジムニーのようなクロスカントリー4WDには、“オフロードを走らなければならない”という大義名分があります。そのため、ラダーフレーム構造のボディーや3リンク式リジッドアクスルサスペンションといった、現代の自動車においてはクロカン4WDとトラック以外で見かけない構造を採用しています。

こうしたメカニズムは、長い耐用年数やオフロード走行の衝撃や岩などへのヒットでも耐える頑丈さを確保する一方で、重量が重くなりドライブフィールや燃費といった性能に大きな影響を与えているのです。

例えば同じスズキのアルトやハスラー、ワゴンRなどとは、明らかに乗り味や使い勝手が異なっていることを事前に知っておかなければ、「こんなはずではなかった」となってしまうのではないでしょうか。

スズキ 4代目ジムニーは高い完成度を誇るが気になる部分もある

今回、約1,000kmという距離を乗ってみて改めて思ったことは、ジムニーはオンロード性能とオフロード性能というふたつの別々な方向性の中で、非常に上手くバランスさせているということです。 

互いの性能はトレードオフとまでは言いませんが、一方を立てれば一方を犠牲にしなければならない部分もあります。例えば、オフロード走行では路面追従性が重要になり、しなやかに動く脚が必要です。ところがオンロードをシャープに走るには、動きすぎる脚はその妨げになるわけです。

その点で4代目ジムニーは素晴らしい着地点を見つけているのですが、クロカン4WDに乗り慣れていない人には“ちょっと違うぞ”となってしまうかもしれません。ただし、4代目ジムニーではその違和感も非常に小さなものになったはずです。

今回の試乗でパワートレーンのフィーリングにおいて、日常的に乗るには気になる点がありました。例えば、4ATは市街の細街路を走っていると、2速と3速を頻繁に行き来するため、非常にせわしい印象を受けます。 

オフロード走行を考えてのセッティングだとは思いますが、ジムニーはサブ トランスファー(副変速機)を持ち、4WD-Lがあるわけですから、2WDと4WD-Hのギア比はもっと上に振ってもいいのではないでしょうか。高速道路で料金ゲートを通過して最大加速をする時、5MTに比べると4ATは加速が鈍いです。

高速道路での100km/hの巡航運転では、エンジン回転数が4,000rpm弱になります(5MTでは約3,200rpm)。これはトールワゴンなど昨今の軽自動車と比較すると、かなり高めと言わざるを得ません。もっとも3代目ジムニーに比べれば遮音対策も含めて快適レベルなのですが、ハスラーあたりから乗り替えたら多少うるさいと思うかもしれません。

また、パートタイム式4WDの駆動系から出る独特のギア鳴りも、気になる人がいるでしょう。3代目ジムニーと比較すると、動力性能やATのアップグレードがあったために、高速道路は快適に走れるようになりました。

ですが、多少オーバースピードで追い越し車線を走りたい時、勾配のある区間を走る時などは、オーバードライブのOFFや2レンジへのシフトダウンをドライバーが積極的に行わないと、キックダウンだけではクルマの流れに付いていくことはできないシーンが随分とありました。

また、体重80kg台の男性二人が、勾配約19%の登りの山道を走った際には、2速からまったくギアが動かず、しばらく40〜50km/hで走るハメになったのには驚かされました。ちなみにこの時、5MTは軽々と同じ道を登って行ってしまいましたが。

一方、5MTでも不満がないわけではありません。曲がりくねった山道、勾配のある未舗装林道では、やはり2速と3速でのシフトチェンジが忙しくなります。ジムニーは3代目でも5MTの2速と3速のギア比が離れ気味で、4代目でもその部分が踏襲されてしまいました。

そのため、登りの山道は3速で走っているとトルクが足りなくなり、2速にシフトダウンするとすぐに回転数が頭打ちになってしまうというジレンマを感じることになります。

未舗装路であれば、4WD-Lにシフトすることでギア比を近づけることができるのですが、乾燥した舗装路ではタイトコーナーブレーキング現象の危険性があるため、それもできません。

ジムニーはオフロードを理解していないと乗れない!?

4代目ジムニーのトピックスとして、横滑り防止装置を含めたESPの新採用があります。その電子デバイスの中にはブレーキLSD トラクションコントロールやヒルディセントコントロールといったオフロード走行のためのアシスト機能も含まれています。

4代目ジムニーの記事を拝見すると、電子デバイスの搭載によってオフロード走行の容易になった…という論評が多く見られましたが、僕は少し違うことを感じました。

たしかにブレーキLSD トラクションコントロールの機能は、ジムニーに新しい可能性を与えています。ですが、それは限られたレベルのシチュエーションにおいて。タイヤの空転を感知するとトラクションを回復させるためにエンジンの出力を自動的に落とすESPというシステムが、ハードなオフロード走行では邪魔になるシーンが見られたのです。

例えば非常に長いヒルクライムを4WD-Hで行った時、タイヤが空転し始めたらESPがトルクを絞る制御を行ってしまい、坂を登り切ることができなかったのです。何度か繰り返しましたが、結果は同じ。

坂の途中で止まってしまった場合、熟練者なら慌てず真っ直ぐバックすることができますが、初心者ならハンドル操作を誤って横転する危険性もあります。この他のシーンでも、いくつかのシーンで似た現象がありました。ただESPをカットしてみると、ジムニーはキャラクターが変わったように元気に走り出しました。

ジムニーの電子デバイスはランドクルーザーなどのものに比べると簡易的なシステムであり、あくまでもいざという時のアシスト機能。誰でもどこでもオフロード走行が可能になる魔法の杖ではありません。

 

本格的なオフロード走行をする場合は、まずその走行方法の基本や知識を学び、さらにESPの機能内容を熟知し、その上で4WD-Lやシフト、ESPオフというモードで走る選択肢も知っておく必要があると思います。ただし、大雪の時や河原、砂地などの希にありそうなスタックシーンでは、非常に役立ってくれるでしょう。

細かい部分は気になるがスズキ 4代目ジムニーは夢のクルマだ!

あまり重箱の隅をつつきたくはありませんが、気になった点は他にもありました。例えば、4ATのセレクターレバーがDを超えて2レンジまで動いてしまうため、いちいちDレンジまで1段戻すのが億劫です。 

運転席&助手席シートは先代に比べると形状が見直されて乗降がしやすくなった反面、ホールド性やクッション性が低下して、大柄な僕などは身体がクルマの挙動と共に動くようになってしまいました。

そのため、長時間運転すると背中から首筋が痛くなります。購入したら、タイヤ&ホイールの交換よりも先に、まずシート交換を考えたいと思ってしまいました。

収納スペースが少ないのも、ジムニーの弱点です。現代人はガジェットやら何やらと持ち物が多いもの。インパネ回りはいっぱいいっぱいですが、ちょっとした空きスペースに引き出しを付けたり、カップホルダーを付けてもらいたいのが本音。 

特に、車内後部のタイヤハウスの出っ張りをなくして空間効率が大幅に向上したのは大歓迎ですが、やはりカップホルダーが廃止されたのは微妙。3人で試乗ドライブをした時などは、2つのカップホルダーを巡って椅子取りゲーム状態でした。 

そして一番気になったのは、燃費です。市街地・高速道路・オフロード・山道を走ってみて、 5MT/4ATとも9km/L弱。3.6Lエンジンのジープ ラングラーアンリミテッドでも7〜8㎞/Lは走るわけですから、0.6Lで1tを超える車体を動かしているとは言え、もう少し頑張れないかと感じてしまいます。

こうした部分は、また20年かけて徐々に改善されていくこととは思います。誤解を恐れずに言えば、4代目ジムニーは現状ではたしかにベスト。先代の43代目ジムニーと比較すると大きな進化を遂げており、できれば僕も入手したいクルマです。 

ただ前述でもお伝えした通り、オンロードと併せてハードなオフロードも走らなければならないジムニーは、背負わされるものが大きいのも事実です。オンロード重視のSUVや普通のクルマとは多少異なっていることを、あらかじめ理解して購入する必要があるのではないでしょうか。これは普通車版のシエラについても同じです。

自分好みにカスタムできるスズキ ジムニー

ジムニーには、自分に合った好みのものにするために、数多くのカスタムがあります。中でも深く定着しているのが、リフトアップというものです。

リフトアップとは、車高を上げるチューニングのことで、メリットとして外見面では車高が上がることでクルマ全体の迫力が上がること、視点も高くなることで道路の見通しも良くなります。

性能面としては、ボディーに干渉せずに大きなタイヤを装着することができるため、オフロードなどの場面で走破性の向上がねらえることも大きなメリットです。

リフトアップの方法にはいくつか種類がありますが、大きく分けるとボディーブロックを使用してクルマのボディーのみを持ち上げる方法とサスペンションに手を加え、車高を持ち上げる方法の2種類になります。

特にサスペンションに手を加える場合は、注意が必要です。サスペンションひとつで乗り心地がかなり変わってしまいますし、各社で用意されているものの中でも乗り味が異なります。どんなブランドのものにするかなど、選択が難しくなるのでまずは専門のショップにどんな乗り味にしたいか相談するといいでしょう。

数ある専門ショップの中でも、特に走りにこだわったカスタムに着手しているのが、ハイブリッジファーストです。多くのパーツの開発実績もあるので、参考にしてみてください。

スズキ ジムニーの中古価格はいくらになるのか?

ジムニーはカスタムを行うユーザーが多く、中古車市場にもカスタムされたジムニーの流通も多いです。ジムニー全体としての中古価格は、大手中古車情報サイトによると9万円~323万円と幅広い価格帯になっており、4代目ジムニーの場合は、183万円~323万円となっています。

※ 2020年5月26日現在

もし購入後にカスタムすることを考えているのであれば、すでにカスタムされたものを中古で選ぶことで、出費を抑えることができます。ただし、どんなカスタムがされているかは、しっかり確認するようにしましょう。ものによって、乗り心地も異なるので、できるだけ試乗して自分の好みの乗り心地であるかを確認することをおすすめします。

3代目ジムニーの発売から20年。2018年7月に登場した4代目ジムニーに乗れば、クロカン4WDが持つ「夢」の部分、そして驚くべき潜在性能を十二分に楽しむことができると思うのです。

さらに言えば、ジムニーは“育てるクルマ”であり、ユーザー好みのモディファイをしていくのが楽しみのひとつでもあります。5年経ったら乗り換えるクルマとは違い、長く付き合える魅力が、そういう部分にもあるのです。

情報提供元: CarMe[カーミー]