AT車の「クリープ現象」はなぜ起きるのか?そのメリット・デメリット

更新日:2016/03/16

AT車での”クリープ現象"。何気なく運転していて、気になるものではありません。しかし、アクセルを離しているのになぜ動くのか…不思議な現象かと思います。場合によっては思わぬ事故を誘発することもあります。

今回はそんなクリープ現象について紹介したいと思います。

クリープ現象とは?

出典:www.flickr.com/photos/brownpau/

クリープ現象とは、AT車のエンジンがアイドリングの状態で車両が動くことで、英語では「creep」や「creeping」、日本語では別名「摺り足現象」と呼ばれる事もあります。

クリープ現象の作動条件としては、AT車のシフトレバーが”P”若しくは”N”レンジ以外の場所に入っていれば起こります。そのため、不注意からシフトの”P”レンジや”N”レンジ以外に入れっぱなしで駐車してしまい、車が勝手に動き出して前車に追突する等の事故も報告されているため、注意が必要です。

クリープ現象はどんな車種で起こる?

AT車で起こる現象で、車の構造上MT車では起こりません。クリープ現象は、特にクラッチ機構に”トルクコンバーター”を採用したセミAT車やAT車で多く発生します。

一方で、近年欧州車などで積極的に採用されているVW社のDSGを始めとする”セミAT"と呼ばれるMT車のクラッチ機構を使った車両もあります。DSGのようなセミATと言われる通常のクラッチを使用した車も電子制御によって”半クラ”を意図的に作り出してクリープ現象を作っているので、トルクコンバーター車じゃないからと言ってクリープ現象が起こらないわけではありません。

トルクコンバーターとは?

トルクコンバーターは動力の伝達に液体(ATFオイル)を用いてエンジンからミッションへと動力を伝達する装置。セミATや通常のMTのようにクラッチを”締結”、クラッチを”開放"といった動作はなく、極端に言えば常に”締結"状態となっており、その為”クリープ現象"が発生します。

クリープ現象の仕組み

「極端とは言え、常に締結しててなぜエンストしない?」というような疑問が生まれます。トルクコンバーターの原理を簡単に説明すると、図のような2つの扇風機を向かい合わせて並べた状態のようなものになります。ONになっている扇風機が出力側(エンジン)、OFFになっている扇風機が入力側(ミッション)と考えて頂けると分かりやすいです。

実際に扇風機を並べて行うと分かりますが、一方の扇風機をONにするともう一方の扇風機も風を受けて回り出します。この原理を利用したのがトルクコンバーターと言われる装置で、実際には密閉された中でオイルを介して伝達します。

オイルを介して伝達をするので、入力側(ミッション)の羽根を止めてしまっても、出力側(エンジン)の羽根はオイルをトルクコンバーター内でかき回すだけなのでエンストはしません。しかし、入力側の羽根をブレーキを離す等で止めるのをやめてしまうどうなるでしょう。エンジンが回っている限り出力側の羽根は常に回っている為、入力側の羽根が回されて動力を伝達されます。すると”クリープ現象”として車が動き出します。

上記の通り、動力伝達を”止める”事は可能ですが、動力伝達を”完全に切断”する事は不可能なので”クリープ現象"が起きます。

クリープ現象のメリット

ブレーキを離してしまえば勝手に動きだすクリープ現象ですが、メリットもあります。

言い換えればブレーキペダルの踏み込みのみで駆動力の断続をスムーズに調整できる為、渋滞時や車庫入れ時など、低速で走行する場面において有効活用が可能です。

併せて、ブレーキを離した時から駆動力が徐々に伝わる為、滑らかな発進ができ、坂道発進などでは常にトルクがかかっている為に、急激な坂等でなければブレーキからアクセルへの踏み替え時に車両が後退しにくいと言ったメリットがあります。

クリープ現象のデメリット

運転者が意識しないうちに動き出す場合があるので事故を起こしやすいことでしょう。エンジン始動直後やエアコン作動時など、アイドリングが高い状態では通常のクリープ時より勢いが強く、飛び出し事故に発展する可能性があるなどと言ったデメリットがあります。

しかし、デメリットに関しては運転する際に意識すれば防げる場合が多いのも事実。

筆者もAT車を運転中信号待ちでウトウトしてブレーキが緩み、結果車が前に進んでもう少しで追突事故を起こすところでブレーキを踏んでヒヤっとした経験があります。慣れると便利なクリープ現象ですが、運転の際など油断は禁物ですね。

情報提供元: CarMe[カーミー]