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『夢』に近い、と思った。(マセラティ430に試乗しました。)

これのことを書くのは正直気が重い、のであります。
ガタピシするし、操作感にやや重量感はあるものの
クルマとしてそれほど「重厚感」はないのに
どうも後を引いてなりません。

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涼しくなってくると、暑かった頃の疲れがどっと出てきて
変に眠りが浅かったり、かと思うと二度寝で
嫌な汗をかくほどに深く爆酔してしまうことなどもあったり。
そんな二度寝のとき、不可解な、シュールな、
時に不条理なことさえあるかもしれません。
夢を見ることはないですか?
なんだかそんな夢のあとに目覚めたときの
「打ち負かされた感じ」
試乗したあとの気持ちは、そんなのに似ているのです。
先週試乗したにもかかわらず、なんとなく実は気が重いのです。
でも、これは半ば結論ですが、
「しゃんしゃん」と忘れれば楽になるよ。
そんなふうに軽くあしらってしまいたくもならないのが面白いところです。

せっかくだから、感想はまとめておきたいと思います。

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運転席にに座るやいなや「強烈な殺気」を感じた
実は今回試乗にさせていただいたクルマは、
ビトゥルボ系マセラティの名医「マイクロデポ」で徹底的にリフレッシュのかかった1台です。
内装パーツの更新は言うまでもなく、
エンジンルームの真ん中で当然に煌くトライデントがあしらわれた真紅の結晶塗装はもちろん、
新車でさえ、信頼から程遠い評価しか与えられなかったこのクルマのパーツの多くを
より信頼性の高い国産品で新調し、おそらく、このクルマが造られてから一番(再三ながら、比較の問題だが)
信頼性の高い状態にあるといってもよい状態の一台なのです。
これでだめなら「救済は永遠に失われた」といってもいいくらいの状態のクルマに仕上がっているのです。
その状態であればIHI製のターボで武装されたV6、味わってみたいと思うこと自体には
それほど罪悪感はありませんでした。せっかくなので後学のために、
まず乗せていただく事にしたのです。

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「小さな灰色の脳細胞が活動を始めましたよ」というのはエルキュール・ポワロのせりふですが
イタリア車だから赤?ビトゥルボ系で多いのは黒?
そういうのからするとずっと和やかなようでありながら、ヒト癖ありそうなグレーの外装。
なかなか大人な印象のカラーはとても落ち着きと色気を併せ持った色だと思いました。
これがまた、新車のようといいたくなるように綺麗で
全長は昔のカローラくらいしかないし、いたって流麗なディテール、フォルム、どこを見てもあるわけではないのですが
がつんと存在感があるボディ、小さいけれど、堂々としています。
そして、トライデントが彫ってあるドアノブを引き、中に乗り込むとそこは一面、目の覚めるような青いシート地でしつらえてあります。
珍しい仕様ですね。明るい色の、木目を魅せるのに最大限の配慮がされた明るいウッドがまぶしいですね。
その運転席にすわって案外重いドアを閉めたとたん、
強烈な殺気を感じたのです。
「お前風情が乗っちゃうのかい?」とでもいうのでしょうか。
こんなクルマは初めてでした。

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それだけ手を入れてもくたくた、メルセデス、シトロエンなどはクルマのつくりが「まとも」だと思いました。
エンジンをかけると、強烈な金属質の音で目を覚まし、なかなか盛大なエグゾーストノートを聞かせてくれます。
そして、駆動系からフロアに伝わる振動もなかなか盛大。
オートマチックも確実にミートするけど、ミッションのショックというより
ボディにずいぶんとがっつんがっつん来るのです。
でもこれはイタリア車の経年によるもの。
あまり振動をボディに与え続けるのはよくないので、ギヤがミートするタイミングでブレーキを緩めるタイミングをつかみました。
それでも走り出すと快適滑らか、。
そして、クルマ自体が温まってくると全体にぬめっとしたつやと、粘りが出てくるのがわかりました。
すいすいと水澄ましのように国道を進むこともできる身軽さです。
車重は1300㎏台なのに額面で225馬力が最大出力。
ターボは2500回点越えたあたりからですが、エンジン自体がトルクフル。
1000~1500回転前後ですいすいと国道のペースに乗れるトルク依存な走りも可能。
街中でこういう走りができることが稀有であり、奇跡のようなものなのでしょう。
このクルマにとっては。
最高気温が30度を超える中保土ヶ谷バイパスは「安定の大渋滞」
いやだなあ、と思いつつも、しっかり水温計も70度と90度の間を外れない。
なるほど驚愕のコンディションです。

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そんなに見ないで!!きびきびなめらかに走っては変?
たぶんそんなにクルマが好きな人にはわからないでしょう。
最近マセラティの知名度も上がっては来たものの、こんな「ちっくい」マセラティある分けないよねと想うでしょう。
しかし、バス停で待つお父さん、クルマやさんの前でお客様のお迎え、送り出し、水撒きなどをする
おそらく「クルマはそこそこすき以上のヒト」と思しき諸兄の目で追われる追われ方が強烈でした。
「こんな天気で大丈夫?」とでもいうように半ばにたにた笑ってみてくる人も少なくありませんでした。
このわかる人にはわかるが、わからない人には目立ちすぎない感じ。
わかる人からも思わず気遣われちゃいそうな存在ながら、すこぶるちゃんとしてるこのクルマ、
無敵だと想いました。

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一言で言えば「オーラ」だが・・・
この車繰り返しますが、もっと静かでもっと早く、もっと快適なクルマもあるでしょう。
そして、これだけ手の入っている奇跡のコンディションもサスティナブルではないでしょう。
やがて朽ち、道に倒れる日が来るに違いありません。
しかし、今動いている限りにおいては、圧倒的に私の心をつかんで離さないものを感じたのです。
「今が最高!」に感謝してますか?
明日に予防線張ってませんか?いつまでも「あの頃はよかった」といっていませんか。
このクルマはそんな「今を謳歌」するメッセージをくれているようでもあり、
男の背中を見せてくれるような「粋」というより「伊達」さを強烈に印象付けるのです。
その強烈さは、たとえば法隆寺にいって国宝の仏像の数々を見たときに感じるもの
止まっていてさえも、強烈な躍動感をもっていることでしょう。
一言で言えばオーラだが、他のどんなクルマとも違う世界を持っている。
イタリアの貴族文化の流れなのでしょうか、下品と上品で確実に「上品」に身を置いている感じ。
オーラの一言で片付けることに、私風情でも明確な違和感を覚えるのです。

今年はマセラティ創立100周年の記念すべき年。
その中での名車の数々といったときにこのクルマが登場するかといえば、決して出てくることはないでしょう。
時に伏せたい過去なのではと思うことさえあるほどです。
しかし、確実にトライデントを掲げて100年の節目を迎えることは
ビトゥルボ系、そして4ドアということで、クワトロポルテと呼ぶには及ばなかったにせよ
シリーズの中ですこしだけ高級にしつらえられ、、ポジションを与えられた430。
このクルマに今年乗れたこと、今年一年間でいちにを争う思い出であるといっても
過言ではないでしょう。

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内装はすべて新品のものを張り替えたばかりでビニールのかけたまま。

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