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そこにあるのは「善良なサルーン」

熟成というよりは「板についてきた」
残念だ。実に残念だ。
ポルシェパナメーラというというクルマが誕生した当初、
そんな風に感じたのが正直なところでした。
大柄なボディはポルシェの要素こそ踏まえているにしても
なんか異物感があり、乗ると中はさほど広くない。
トゥアレグと共通する部分の多いカイエンなどのほうが
ボディもしっかり、中も広い。しかも必要か不必要かは
別にして4WDです。そんなクルマも価格表を見ると、
専用ボディのパナメーラよりも安いのです。
微妙にきしみもあります。なんだかある種のゆるさを
感じたのです。

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確かに石の上のクルマのようなイメージがあったポルシェ
ということで過剰な期待をしていたのかもしれません。
しかし、それにしても
なんだかがっかりなクルマだった印象がありました。
デザインにしてもかつてのブガッティEB112風だなあと思っていて
要は周りで言うほど目新しさを感じなかったのです。

しかし、昨年のJAIA合同試乗会でも乗せていただきましたが
そのとき「なんだかいいじゃない」と思ったのです、
クルマ全体がいいバランスと、かたまり感とを共存させながら
運転するものと共にひらりひらりと交わす感じ。
なんだかかつて感じたクルマとは違うのです。
そして今年、再びステアリングを握った際、
「隙が無い」というよりは「ソツがなく丁度いい」
そんな印象を受けたのです。

もちろん操って、億劫なところもだるいところもないどころか
やはり5メートルを超えるボディながらひらりひらりと軽やかな振る舞い。
そればかりか、フラットな乗り心地と、心地よいタイト感。
決して閉塞感ではないのです。
まるでX300/X308系のジャガーの後席に乗ったのに近い感覚の後席乗り心地。
COZYな空間と表現してもよいほどの感想を覚えたのは
必ずしもルビーレッドメタリックの外装と明るい内装カラーがゆえと
いうだけではないと思いました。

単に機会としてのブラッシュアップ、工作精度の向上と熟成に加え
「齢」も感じることができたことで、「パナメーラは、やはりポルシェだ」と
初めて明確に感じた気がいたします。
熟成したというよりは「板についてきた」というのが
今年のパナメーラに対する感想です。

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「もはやポルシェではない」
へんな言い方ですが、これがこのクルマに対する感想です。

これには2つの意味をこう表します。
一つは、「ポルシェだからといって襟を正すことを強いるようなこともない」ということと、
もう一つは「水平対向エンジンを中心としてこだわりの権化ではなく、
V6縦置きFRサルーンとしてちゃんとしている」
ということをすべて含んで、親しみをこめての表現と
受け止めていただきたい評価です。

ポルシェという仮にも高級スポーツカーに類するメーカーのクルマです。
もちろん最新の911なども乗るものにある種の安らぐいとまを与える
つくりのよさを感じます。
でもああいう911にもまして操作系に変な重さや逆に軽薄さもありません。
911はじめ水平対向エンジンのモデルは確かに伝統のスタイルを踏襲している
しかし呪縛というと起こられてしまいますが、ポルシェのべき論から
逸脱しているこのクルマ、それでも実に正統派のFRサルーンなのです。
加速すると適度に重力とにらめっこしながら動くピストン。
ジワリと後ろからうされるような感じ。
挙動はとてもダイレクトながら、どこか懐かしい、
われわれ日本人にはクラウンの乗り心地といえばよいでしょうか
「健全な挙動の遅れ」がこのクルマにはあるのです。
これが和やかさとなってなんともすがすがしいのり味をかもし出してくれました。

標準車は遅いか?
試乗車は3600ccの標準車です。V8もありターボもある、
そんな中でこのクルマは遅いか?といえば決してそんなことはありません。
普段必要にして十分以上の性能であるばかりか、
ひとたび踏み込むとぐいぐいと目の覚めるような加速をしていきます。
標準車だからといって免許証を取り上げられる心配はないだろうという考えは
どうやら捨てたほうがよさそうです。

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またV8を搭載できるスペースにV6を搭載しているのですが
この搭載方法はきっちり後ろに搭載され、
エンジン前端はフロントタイヤよりも外側に出ていません。
これはヨー感性モーメントの見地ではやはり奏功しているのでしょう。
実際の重量減以上の「身軽さ」を逆に手に入れているのです。
ハンドリングも軽くて、どこかと置くまでお出かけしたくなるこの車。
諸元表を見ると全長5010㍉×全幅1930㍉×全高1420㍉という
とてつもない巨体のようにかいてあるのが嘘のような身軽さにびっくりしてしまいました。

このクルマを普段使いに・・・そういう人は幸せです。
パナメーラ、標準車だと1000万円を切るのですね。
こんな鮮やかなバラのような色。
ルビーレッドメタリックに明るいホワイトに近いクリーム色の内装・・・
この使用ならどんな方が乗るかしら??
田園調布のお屋敷のマダム、週末だけはいつもはイヤーが
お迎えにくるご主人もゴルフに乗っていく・・・
あるいはアパレル関係か何かで一旗挙げた方。
なんだかソフトなイメージがあります。

なかなか買取り査定のことが頭をよぎる人は選べない仕様ですね。
黒黒になってしまうかも。
でも、だからこそ、この色にも華があり、優雅さがある。
こういうところに豊かさが現れるようにも思うのです。

高額車の大きいエンジンのこういうクルマもカタログ燃費で11.1キロ/リットル
走ります。オンボードコンピューターの燃費も9キロを切りません。

このクルマはポルシェのおめがねにかなう、
いたって佳くある、善良にして優雅なサルーンなのだと思うのです。
何か豪華さを誇るのではなく、普段さらりと乗るクルマ。
そんなクルマとしてポルシェを選ぶ。
なかなか粋だし、それこそさりげなく、
明確に贅沢を表現できるクルマ。
羨望でもなんでもなく、純粋に思います。
「このクルマをアシにできる人は、幸せモノだな」

そうやって見ると、見るほどにこの華奢なホイールをチョイスした
コンフォート仕様のパナメーラ。実に佳い選択だなあと思ったものです。
こういうクルマに乗ると、心洗われる気がします。
すがすがしくも華のあるパナメーラは
たまに乗せて頂くもんだなあ、という一台でした。

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