鈴木 ケンイチ | すずき けんいち

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3～4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会（AJAJ）会員　自動車技術会会員　環境社会検定試験（ECO検定）

■初代 フィット
スモールカーの新たなベンチマークを目指して、2001年6月に初代フィットは誕生しました。「走り」「燃費」「楽しさ」「スタイル」「安全」「環境」といった、幅広いユーザーの要求に対して1台で最大限に応えるクルマがコンセプトです。現在のホンダの幅広い車種に採用されている、燃料タンクを車体中央に配するセンタータンクレイアウトも、この初代フィットから。運転席下に燃料タンクを配置することで、低い床と広くて使いやすい室内空間が実現しました。エントリーモデルでありながらも、すっきりとしたモノフォルムのデザインを採用したことで、安っぽくなく、むしろモダンな印象になったことも初代フィットのヒットの理由でしょう。パッケージングとデザインの良さという、後に続くフィットのルーツとなった傑作車と言えます。

■2代目 フィット
2007年10月に登場した2代目フィット。先代モデルは日本だけでなく世界100か国以上で販売され、発売から7年で200万台以上を売った傑作車でした。そのため2代目モデルも、基本的なコンセプトは踏襲されました。モノフォルムのデザインに、燃料タンクを車体中央に据えるセンタータンクレイアウトが採用されています。第2世代の特徴は、ハイブリッドやEVモデルなどのバリエーションが追加されたところにあります。EVモデルは日本国内でリース販売となりましたが、2010年に追加されたハイブリッドは人気モデルとなります。ただし、この時代のホンダのハイブリッドは1モーターのIMAと呼ばれるもの。燃費性能は30㎞/lとなかなかのものですが、モーターだけの走行がほとんどできませんでした。一方、5速MTのスポーティなRSグレードも存在しており、キビキビ走るのが好きな人は、RSグレードがおすすめとなります。

■3代目 フィット
2013年9月に登場した第3世代のフィット。売りは新しいハイブリッドシステムを搭載したことです。これは1モーターと7速DCTを組み合わせた意欲的な新システムで、優れた燃費性能（最高36.4㎞/l）とキビキビとした走り、先代まではできなかったEV走行を実現しました。ところが、このシステムがリコールを続発。意気込みが仇となって返ってきてしまいました。ただし、1.3リッターや1.5リッターの通常エンジン版であれば、ハイブリッドのリコールなど無関係。6速MTを組み合わせたRSグレードを狙うのもおすすめです。また、2017年6月のマイナーチェンジにて、衝突被害軽減自動ブレーキを含む先進運転支援システム「ホンダセンシング」が採用されています。安全性を重視するのであれば、後期型のホンダセンシング付きがおすすめです。

■4代目 フィット
最新かつ、現行型となる第4世代のフィットの発売は2020年2月から。この世代のコンセプトは「心地よさ」。「心地よい視界」「座り心地」「乗り心地」「使い心地」の4つの心地よさをテーマに開発されています。ハードウェア的な特徴は、フィット伝統のセンタータンクレイアウトとモノフォルムのデザインを継承しつつ、ハイブリッドシステムを一新。運転支援システムのホンダセンシングも最新のものが標準装備となっています。新たなハイブリッドシステムは、モーター駆動を基本とするもので、スムーズで静かなことが特徴です。乗り心地の良さも改善されているため、穏やかなファミリーカーというキャラクターになっています。また、ライフスタイルにあわせてSUV風から上質なものまで5種類のグレードが用意されているのも特徴です。ハイブリッドでもエントリーグレードのコスパが良いのが嬉しいポイントです。