自動車保険 解約時の手続き方法

現在加入している自動車保険は、保険会社に解約の意思を表明することで解約をすることができます。解約の手続き自体は解約の書類に署名をして提出するだけで完了しますが、注意するべき点がたくさんあります。
自動車保険の解約はどのような時に必要になるのか?注意点について解説します。
自動車保険はどんな時に解約をする?

自動車保険の解約とは何らかの事情で、保険期間中に現在の自動車保険の契約を止めることをいいます。
原則、自動車保険を解約をするとそれ以降は自動車事故があっても補償されることはありません。
自動車保険を解約するケースとしては以下のような状況が考えられます。
・車を廃車や譲渡したので自動車保険が必要なくなった
今、乗っている車を廃車、譲渡をして、当面新しい車を買い替える予定がないケースです。
この場合は解約後、自動車保険の等級によっては中断証明書を発行してくれる場合があります。新たに車を入手した時に、有利な等級で再開するために重要な書類なので、忘れずに取り付けて保管しておきましょう。
・保険期間中に他社の保険に乗り換えたい
保険期間中に、他社の保険に乗り換えるために解約をするケースです。
自動車保険は重複して加入をすることはできないため、新しい保険会社の自動車保険に乗り換える場合は、現在の自動車保険を解約する必要があります。
・自動車保険の更新時に更新をしない
自動車保険は基本的に1年ごとに更新をしますが、この時に更新をせず、どこの保険会社にも乗り換えないような場合も実質、解約といえます。
保険期間中にすでに廃車や譲渡などで車を手放していたが、解約するのを忘れていたような場合が考えられます。
保険会社からの更新の案内をきっかけに、車を手放していたことを思い出し更新をしないことで解約とするようなパターンです。
ただし、後のトラブルを避けるために、「自動車保険の更新をしない」という意思は保険会社に明確に伝えておきましょう。また、このケースも中断証明書の取り付けをしておくことが必要なケースです。
自動車保険に解約返戻金はある?

自動車保険を解約した場合、保険料を年払いで支払っていた場合は解約返戻金が発生することがあります。
年払いの自動車保険の解約返戻金の計算方法
年払いの自動車保険を解約した場合の解約返戻金は、以下のような計算式が使われます。
年間保険料×(1ー既経過期間に対応する短期料率※1)=返還保険料
短期料率は以下の通りになります。(短期料率は保険会社によって異なる場合があります)
7日まで | 10% | 6ヵ月まで | 70% |
---|---|---|---|
15日まで | 15% | 7ヵ月まで | 75% |
1ヵ月まで | 25% | 8ヵ月まで | 80% |
2ヵ月まで | 35% | 9ヵ月まで | 85% |
3ヵ月まで | 45% | 10ヵ月まで | 90% |
4ヵ月まで | 55% | 11ヵ月まで | 95% |
5ヵ月まで | 65% | 12ヵ月まで | 100% |
保険期間が令和2年3月15日~令和3年3月15日の自動車保険を事例に解説をします。
この自動車保険を5ヵ月超~6ヵ月の間に解約をすると、適用される短期料率は70%です。
しかし、15日をまたいでしまうと短期料率は「7ヵ月まで」の短期料率75%が適用されることになります。短期料率は保険期間の「日付」をまたぐことで変動をします。
保険期間が令和2年3月10日~令和3年3月10日なら10日を境に短期料率が変動します。
短期料率が大きくなることは、解約をしたときの解約返戻金が減ることにつながるため、解約をする際は解約日に十分注意が必要です。
月払いの場合
月払いの場合は、原則、解約返戻金はなく、日割りで戻ってくることはありません。
ただし、月払いに関しても解約日がとても重要です。
令和2年3月15日~令和3年3月15日の自動車保険があり、1ヵ月目で解約をする場合は、保険料は1ヵ月分のみの支払いで済みますが、15日を1日でも超えると2ヵ月目も保険料を支払う必要があります。
事故後に解約をしても大丈夫?

自動車事故を起こした後に、自動車保険を解約しても問題ありません。
仮に5月1日に自動車事故を起こし、廃車となり5月15日に解約をしても、その月の保険料が支払われていれば補償の対象になります。
ただし、万が一、保険料の引き落としが確認できない場合は、さかのぼって免責となり、補償の対象とならないので注意が必要です。保険料の支払い忘れがないよう注意しましょう。
なお、自動車事故の結果等級ダウンとなる場合、自動車保険を解約したからといって等級ダウンを免れることはできません。
自賠責保険の解約手続きは?

自賠責保険も解約をすることが可能で、残りの保険期間に応じて解約返戻金を受け取れる場合があります。
しかし、自賠責保険は加入をすることが義務付けられているので、解約をする際は自賠責保険の証書と廃車にしたときの証明書を提出することが必要です。
・自賠責の解約をする際に用意するもの
①自賠責保険証明書(本紙)
②廃車にしたことを証明する公的書類(解除事由証明書など)
③原付などの場合はステッカー(保険標章)
④契約者の印鑑
⑤口座情報がわかるもの
自動車保険を解約するときの注意点

保険を解約をする際に、注意するべき点について解説します。
等級の進行が遅れてしまう
今の保険を保険期間中に解約して、新しい保険会社の商品に乗り換える場合に、等級の進行が遅れることになります。
令和2年3月15日~令和3年3月15日、8等級の自動車保険があったとします。この自動車保険は令和3年3月15日まで保険を使わなければ9等級に上がります。
しかし、仮に8月15日付けで解約。同時に8月15日に新しい保険会社に乗り換えた場合、新たに8月15日から1年経過しなければ9等級に上がりません。
よほど保険料や内容に差がない限りは、保険期間中の解約をして乗り換える場合は慎重に検討する必要があります。
保険期間に空白を作らない
保険期間を乗り換えるために解約をする場合は、乗り換え前と乗り換え後の保険期間に空白期間を設けないようにしましょう。自動車保険の空白期間は補償の対象外になります。
また、解約をした日から7日を超えてしまうと、乗り換え時に現在の等級を引き継げなくなってしまいます。原則は、保険を乗り換える場合は空白期間を作らないことです。「令和2年8月15日」に解約をして他の保険会社に乗り換える場合は乗り換え後の自動車保険の保険始期日も「令和2年8月15日」にするのが原則です。
長期間車を手放す場合は中断証明書を発行してもらう
保険契約を廃車、譲渡などの理由で解約をし、しばらく車に乗らない場合は、中断証明書を必ず取り付けましょう。中断証明書があれば10年間は有利な等級を維持することができます。
早まって解約をしない
保険を解約する場合の解約返戻金の短期料率を意識するあまり、車にまだのる予定があるのに、前倒しで解約をしてしまうことは絶対に避けてください。
万が一事故が発生した場合に、補償されなくては本末転倒になってしまいます。
まとめ
- 自動車保険の解約は、自動車保険の乗り換えや、譲渡、廃車の時に主に利用します。
- 自動車保険を解約した場合、年払いの場合は解約返戻金があり、短期料率をもとに決まるため解約をする日付が重要です。
- 事故を起こした後に解約をしても補償の対象になります。ただし保険料を払い忘れているとさかのぼって免責となるため注意が必要です。
- 自賠責保険も解約返戻金を受け取れることがあります。
- 自動車保険を保険期間中に解約して乗り換える場合は、等級の進行が遅れてしまいます。
- 自動車保険は乗り換え前と乗り換え後に空白期間を作らないことが重要です。しばらく車に乗る予定がない時は、中断証明書を保険会社から取り付けましょう。