S13~S15が人気すぎて陰に隠れた名車?【S12シルビア】極上中古車を土屋圭市が試乗!

多くの人にとって、シルビアといえばやっぱりS13型じゃないでしょうかね。
Youtubeチャンネル「車選びドットコム」に出演している土屋圭市さんやワタクシ(ライター工藤貴宏)だってもちろん。土屋さんはS13、S14、そしてS15を愛車として所有。ワタクシもS13とS15に乗っていました。みんな好きねぇ、シルビア。
だけど…今回の車選びドットコムで取り上げたシルビアはそうじゃありません。S13でも、S14でも、S15でもないんです。
なんとS12!というわけで、三重県のショップ「WONDER」が販売しているS12シルビアを紹介しましょう。
文:工藤 貴宏
- Chapter
- 当時は不人気…今では希少な1台に
- 今回の試乗車はCA18DETを搭載
- まるでタイムスリップ!当時の質感そのままの内外装
- デートカーは「低いほどえらい」時代
- ステアリングを握ると気分は星野一義?!
- WONDERのこだわりは、旧車を思う存分楽しんでもらうこと
当時は不人気…今では希少な1台に

このS12シルビアは1983年から1988年まで販売されていたのですが……言葉を選ばずに言うと、新車としては全く売れなかった不人気車。
約5年の販売期間で国内3万台ほどしか売れなかったというから、かなりレア車ですね(S13は多い時には1カ月に1万台売れた)。
だけどそのおかげで、いまでは貴重な1台というわけです。
ボディは3ドアハッチバックと2ドアクーペがありますが、今回紹介するのはクーペですね。
今回の試乗車はCA18DETを搭載
エンジンは2.0Lと1.8Lがあり、前者が「FJ型」で後者は「CA型」。FJエンジンといえばスカイラインRS系だしCAエンジンといえばなんとなくS13シルビア前期型のイメージがありますが、そのどっちも選べたなんてなんという贅沢。
ちなみに今回試乗した個体はボンネットが膨らんでいないのでCA型エンジン搭載車ですね(FJエンジン搭載車は低いボンネットに収めるためのバルジがある)。

ちなみに後期型は全車がCAエンジンとなり、エンジンも前期型はシングルカムでしたが後期型はツインカムとなったのでレスポンスもパワーも向上しましたね。
超余談ですが、北米には3.0LのV6エンジンを積んだマッスル仕様も存在。それってなんか凄いな。
まるでタイムスリップ!当時の質感そのままの内外装

それにしても、WONDERが在庫しているこの個体は程度がとんでもなくよくて、綺麗なことに驚くばかり。
まず綺麗。内外装とともに使用感ほぼなしですね。これには土屋さんもビックリですよ。

WONDERによると「再塗装しているかはわらかない」とのことですが、ドアなどのステッカーがしっかりと残っているところを見るとオールペンはされておらずオリジナル塗装のままのような気がしますね。

新車で買ったオーナーさん(やその後のオーナーさん)の保管状態がいいからなのでしょう、フォグランプとか、ワイパーのレインセンサーとか純正品がしっかり残っているのだから驚き。



フォグランプのカバーもしっかり動くし、オーディオも変えていません。ホイールも純正です。これは奇跡のコンディションですねぇ。
特徴的なリトラクタブルヘッドライトも、もちろんしっかり「パカパカ」しますよ。

デートカーは「低いほどえらい」時代
ライバルといえばデートカー軍団のホンダ「プレリュード」やトヨタ「セリカ」ですが、それらとこのシルビアで明確に異なるのは、駆動方式。
シルビアだけが後輪駆動で、プレリュードは初代モデルから、セリカは1985年デビューのST160系から前輪駆動となりました。
どうしてシルビアはく後輪駆動を守り通したのか? 走りにこだわっていたから……ではなく、ボンネットを低くするため。
低いボンネットがカッコよさの証だったんですよ、当時は。

で、その低いボンネットを実現するには、当時の日産のパワートレインでは、FFよりもFRのほうが設計しやすい……ということで後輪駆動をかたくなに守った……いやそうせざるをえなかったというわけ。
ちなみにS13ではFF化される案もあったそうですが、後輪駆動が継承された理由は走りのため……ではなくやっぱりボンネットを低くできるから。
ボンネットの低さは駆動方式よりも大切だったのでした。
ステアリングを握ると気分は星野一義?!

もちろん、走りもバッチリ。
土屋さんは「この世代のシルビアは人生初かも!気分は星野一義だよ」と楽しそう。
ワタクシだけでなく土屋さんもS13よりも古いシルビアはずっと縁がなかったようです。せっかくなので、40年前にタイムスリップ!
「軽いね」「いいんじゃないの?」を連発しながら、土屋さんの表情からニコニコが止まりません。

それにしても内外装だけでなく走りまでしっかりとコンディションが維持されているのだからビックリ。
「(走行機関系も)ちゃんとしててびっくりした!」と土屋さんも驚きを隠せませんでした。
WONDERのこだわりは、旧車を思う存分楽しんでもらうこと

このS12シルビアに限らず旧車の販売車両はWONDERのこだわりとして「古いクルマはトラブルがつきものですが、可能な限りトラブルを排除できるようにきっちりとメンテしてから渡すようにしています」とのことです。
というわけで、「面白いよ、これは」と初体験だったS12シルビアの愉しさに、土屋さんも大満足でした。

せっかく綺麗な個体なので、このクルマを次に手にするオーナーさんも、できればこのままノーマルに近い形で綺麗に乗って欲しいなと願わずにはいられませんでした。
今回の結論:昭和のデートカーも楽しいですね。

S12シルビアのレビュー動画をYoutubeでチェック!
今回の取材で収録した動画をYoutubeで公開中。
土屋さんと女優の相沢菜々子さん、ワタクシ(ライター工藤貴宏)が和気あいあいとS12シルビアをご紹介します。
公開からわずか1週間で再生回数は20万回!…みんなやっぱりこういうクルマ、好きねぇ。
株式会社WONDER
所在地:〒518-0752 三重県名張市蔵持町原出782-1
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