【プロ解説】もうレンタカーなんて言わせない!進化型GRヤリスは、スパルタンになったインテリアも大きな魅力

2024年4月から販売開始された進化型のトヨタ GRヤリス。
トヨタが“改良”や“マイナーチェンジ”ではなく「進化型」と呼ぶのには、今回の変更が商品力を高める小手先のものではなく、車両の基本性能アップにより競技での戦闘力を高める改良だったことに由来しています。
そんなGRヤリスの進化は、走行性能まわりだけでなくインテリアにまでおよんでいます。
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- 目に見えて変わったインテリア。ヤリスの面影が薄まった
- ダッシュボートまわりはすべて市販ヤリスと共通だった従来型
- ブラインドでもモード変更を可能にする凝ったデザイン
- ドライビングポジションの見直しで前方視界を拡大
- 充実したユーティリティで日常のアシとしても活躍できる
- 4人乗れて、荷物も積める唯一のハイパフォーマンスモデル
目に見えて変わったインテリア。ヤリスの面影が薄まった

通常、メーカーが新型車と呼ぶ場合、それは車両の型式が変わっていることを意味します。
反対に、改良やマイナーチェンジという場合は、型式はそのまま。多くは、新車発表から数年が経過して、落ち込んできた販売を回復させるためのカンフル剤的な使われかたをします。
ところが、ホモロゲーションモデルとしての役割も担っているGRヤリスは、エンジン、シャシー、ボディ、インテリアなど、総合的に手を加え、競技における戦闘能力を向上させていることから「進化型」と呼ばれています。
なかでも目に見えて変わったのは、インテリアです。ここでは進化型GRヤリスのインテリアや使い勝手について解説します。
ダッシュボートまわりはすべて市販ヤリスと共通だった従来型
2020年から販売された従来型GRヤリスは、専用のスポーツシート、ステリング、アルミペダルなどが装着されていたものの、インストルメントパネル、ダッシュボードまわりは標準車のヤリスと変わらず。
口さがないユーザーには「乗ったらレンタカーと一緒だねぇ」などと言われました。
進化型GRヤリスは、それまでと違ってコクピットデザインがGR専用になりました。
スーパー耐久シリーズおよび全日本ラリー参戦車をモチーフに、大幅変更されたインストルメントパネルは、操作パネルとディスプレイをドライバー側へ15度傾けて設置することで、視認性と操作性を大幅に向上させています。
スイッチ類の配置にもこだわり、スポーツ走行時だけでなく日常の使いやすさも向上しています。
シフトレバーはベストな位置にレイアウト。ドライバー側に傾いたディスプレイやエアコンの操作パネルは、視認性に優れているだけでなく、非常に操作しやすいのが特徴です。
ブラインドでもモード変更を可能にする凝ったデザイン
シフトレバーの前方には、4WDモードセレクトとドライブモードセレクトの操作スイッチが設置されます。
4WDモードセレクトはダイヤル式、ドライブモードはスイッチの上下でモードを変更する仕掛けで、ドライビング中でもスイッチの場所を確認することなくモード変更を可能にしています。
メーターも大きく変わり、従来型のヤリスの下位グレードと変わらないアナログ式から、12.3インチのフルカラーTFT液晶マルチインフォメーションディスプレイとなりました。
この変更はプロドライバーの意見によるもので、スポーツ走行に必要な視認性と車両情報にフォーカスしています。
ちなみに今回追加されたGR-DAT(8速AT)車には、ディスプレイにAT油温の表示を追加したほか、シフト操作時に回転数が合わずシフトダウンできないときには、警告音にくわえてギヤポジション表示が点減してドライバーに注意をうながします。
これも全日本ラリードライバーからの要望を反映したものです。
ドライビングポジションの見直しで前方視界を拡大

進化型GRヤリスのインテリア変更はこの見える部分だけに留まりません。
シート装着位置を25mm下げ、同時にステアリング位置も調整することでドライビングポジションも改善されました。
またバックミラーの取り付け位置を上部に数センチ。同時にインストルメントパネルにはディスプレイを組み込み、クラスターの上端を50mm下げることにより前方視界を拡大。
実際にドライブしてみると、シートのホールド性が上がったのかと思うほど疲れにくく。ディスプレイは、シートポジションが下げられたこともあり、位置が極端に下がった感じもなく、前方の情報がスムーズに入ってくるという印象でした。
このように単なるお化粧直しではなく、実際に使う人が使いやすくなるように改善されているのが、今回の進化です。
充実したユーティリティで日常のアシとしても活躍できる
いっぽうユーティリティでは、最上級グレードの“RZハイパフォーマンス”にシートヒーター&ステアリングヒーターに、JBLプレミアムサウンドシステム+アクティブサウンドコントロール、ナノイーなどを標準装着。
カップホルダーは手引き式パーキングブレーキの横に2個と、左右ドアのポケットに1個づつ用意されます。
リアシートの居住性は5ドアのヤリスと変わりませんが、GRヤリスは3ドアモデルなので、リアシートへのアクセスは5ドアに比べると悪くなります。
174Lのラゲッジ容量(4名乗車時)は、市販型ヤリス(4WDモデル)の209Lに比べると、若干容量は少なくなっていますが、リアシートの6:4分割を上手く使えば、それほど不便を感じることもないでしょう。
4人乗れて、荷物も積める唯一のハイパフォーマンスモデル

運転しのやすさを追求して、見えない部分まで手を加えた進化型GRヤリス。
4人乗れて、荷物も積めるにもかかわらず、公道からサーキットまでこなすハイパフォーマンスコンパクトカーは、国内ではGRヤリスを除いて存在しません。
それの希少性だけでも手に入れる価値のある1台と言えますね。