【プロ解説】走りはあのライバルよりも上!? 三菱の新型ピックアップトラック「トライトン」試乗!

2017年の国内復活以来、トヨタ ハイラックスが堅調な売上を記録するなか、ライバルの三菱がようやくピックアップトラックの『トライトン』の導入を開始しました。
新しいラダーフレームに三菱独自の4WDシステム(SS4-Ⅱ)を組み合せるトライトンは、どんな仕上がりになっているのでしょうか?
車両解説とインプレッションをお届けします。
- Chapter
- 6代目トライトンは2023年にデビューしたばかりのニューモデル
- 「トライトン」はハイラックスにどこまで迫れるのか?
- フルタイム4WDも選べる三菱独自の4WDシステムが秀逸
- オンでもオフでも高い走行性能を発揮する新型トライトン
- どんな路面状況でも高いパフォーマンスを発揮する実用的なSUV
6代目トライトンは2023年にデビューしたばかりのニューモデル

三菱 トライトンは、1978年に発売されたフォルテ(輸出名L200)をルーツとする1トンピックアップトラックです。
ラダーフレームに1.6Lエンジンを搭載し、発売から2年後にはパートタイム式4WD車を追加したフォルテは、後のパジェロやデリカの基礎を作りました。
その後、2代目で車名をストラーダ(輸出名はL200のまま)に変更、4代目で「トライトン」を名乗るようになりましたが、2011年に国内販売を終了しました。
以来、三菱自動車の国内ラインナップから消えていたピックアップトラックですが、12年ぶりに復活しました。
今回、日本市場に導入されたトライトンは、初代フォルテから数えて6代目にあたるニューモデルで、2023年7月にワールドデビューをはたしたモデル。
日本のほか、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコなどで販売が始まっているほか、今後は約100カ国で販売される予定となっています。
「トライトン」はハイラックスにどこまで迫れるのか?
じつに12年ぶりに国内販売が復活した新型トライトンは、車体の基礎から一新されたニューモデルです。
4枚ドアでリアシートを持つダブルキャブと呼ばれるトライトンのボディサイズは、オーバーフェンダーなどを持たないGLSで、全長5,320mm×全幅1,865mm×全高1,795mm、ホイールベース3,130mmというスペックで、これはライバルとなるトヨタ ハイラックスとほぼ同じ大きさです。
くわえて220mmの最低地上高、500kgの最大積載量なども、ハイラックスとほぼ同じです。
新開発のラダーフレームは、フレーム断面を大型化するとともに、ハイテン鋼の採用比率を増加させることにより、重量増を最小限に抑えるとともに高剛性化を実現。
ボディは、超ハイテン鋼を採用するなど軽量化を図った衝突安全強化ボディ「RISE」を採用。
カーゴベッド(荷台)は使いやすい820mmの荷台高で、ベッドライナー装着状態でもJIS規格パレット積載に対応したほか、バンパーコーナーを補強してステップとして利用できるなど実用的な仕様となっています。
フルタイム4WDも選べる三菱独自の4WDシステムが秀逸

2.4Lクリーンディーゼルエンジンは、回転数と負担に応じて2つのタービンを協調させ、全回転域で高出力を発揮する2ステージターボシステムによって、最高出力150kW(204PS)/3,500rpmと、最大トルク470Nm/1,500~2,750rpmを発生。燃費はWLTCモードで、11.3km/Lです。
幅広い回転域で発生する最大トルクによって、実用的で応答性に優れた走行を可能にしています。
駆動方式は、三菱独自の4WDシステムである「スーパーセレクト4WD-II (SS4-Ⅱ)」で、後輪駆動の「2H」、センターデフ直結の「4HLc」とローギヤの「4LLc」に、状況に応じてフルタイム4WDの「4H」も選ぶことできるところがポイントです。
40:60の前後配分を基本とするトルク感応式LSDによって、トラクション性能とコーナリング性能を両立する「4H」への切り替えは、センターコンソールに設置されたダイヤル式セレクターにより走行中でも可能です。

ドライブモードは、すべての駆動モードに対応するNORMALのほか、「2H」には経済性を重視したECO、「4H」にGRAVEL(未舗装路)とSNOW(氷雪路)、「4HLc」にMUD(泥濘)とSAND(砂地)サンド、「4LLc」にはROCK(岩場)という7つが設定され、あらゆる路面状況に対応します。
そのほか、コーナー内側の前輪に弱くブレーキをかけることで、旋回性を向上するアクティブヨーコントロール(AYC)や、空転している車輪にブレーキをかけてグリップしている車輪に駆動トルクを分配するアクティブLSD、下り坂で一定のスピードをキープして走行することができるヒルディセントコントロール(HDC)、坂道発進をサポートするヒルスタートアシスト(HSA)などにより、ドライビングをサポートします。
安全装備は、衝突被害軽減ブレーキやレーダークルーズコントロールシステムなど9つの機能で構成される運転支援機能「e-Assist」に、先進のコネクティッドサービス「MITSUBISHI CONNECT」を標準装備して、乗る人すべてに安心・安全を提供します。
気になる車両本体価格は、GLSが498万800円、オーバーフェンダーなどを装着する上位グレードのGSRは540万1000円となっています。
オンでもオフでも高い走行性能を発揮する新型トライトン

今回試乗したのは、上位グレードのGSRです。都内から箱根までドライブしました。
最初は後輪駆動の「2H」で高速道路を走行していましたが、ステアリングと乗り心地の安定感が物足りなかったので、「4H」に切り替えました。すると、これまで感じていたふわふわ感の強い乗り心地や頼りない感じのあったステアリングフィールもシャキッとして、快適に走行できました。
この高い走行安定性は、大柄なピックアップトラックに乗っていることを忘れさせてくれます。
2.4Lディーゼルエンジンは、アイドリングストップ再始動時の揺れの大きさを除けば、非常にモダンな印象。
レーダークルーズコントロールシステム(ACC)は、先行車との車間距離が詰まった際のブレーキの掛け方もマイルドですし、再加速ではディーゼルらしいトルクを活かしたスムーズさが印象に残りました。
またアクセルワークに対する遅れも少なく、低回転から470Nmという最大トルクを発生してくれるので、3トン近い総重量のトライトンでも箱根の急坂をストレスなく登ることができます。

オフロードコースでは、4WDモードを「4HLc」、ドライブモードはMUDを選択すると、急坂もグイグイとパワフルに登ってくれますし、急な下り坂ではヒルディセントコントロールが超低速での降坂を可能にします。
凸凹のモーグル路ではモードを「4LLc」に切り替えると、ひとつのタイヤが完全に浮いてしまうような状況でもスムーズに走行できました。
どんな路面状況でも高いパフォーマンスを発揮する実用的なSUV

新型トライトンのラダーフレーム+リアのリーフスプリングは最近のSUVの乗り心地とは一線を画しています。
サスペンションが良く動いて仕事してくれる、ゆったりとした乗り味は90年代のパジェロを彷彿させます。
しかし最新の電子デバイスによって、オンロードでは高い走行安定性、オフロードでは優れた悪路走破性を発揮できるよう仕立てられた新型トライトンは、どんな路面状況でも高いパフォーマンスを発揮する実用的なSUVといえるでしょう。