本気でシバける電気自動車?!「ヒョンデ IONIQ 5 N」土屋圭市がサーキット試乗で全開ドリフト!

EV(電気自動車)はつまらない!
……誰でしょうか、そんなことを言っているのは。確かに世の中には運転に刺激のないEVもあります。が、すべてがそうではありません。
というわけで今回、YouTubeチャンネル「車選びドットコム」で紹介するのは「ヒョンデ IONIQ 5 N」。EVのハイパフォーマンスカーです。なんと、サーキットでドリフトを楽しめるEVなんですよ。
(文:工藤貴宏/写真:車選びドットコムマガジン編集部)
- Chapter
- WRCではトヨタのライバル!世界3位の自動車メーカー「ヒョンデ」
- ニュルを8分以内で周回できる電気自動車「IONIQ 5 N」
- 「EVは楽しくない車が多い…」土屋圭市さんのIONIQ 5 Nへの評価は?
- 電気自動車で自由自在に全開ドリフト?!
- ヒョンデの開発メンバーも日本人と同じ…クルマで遊ぶのが大好き!
WRCではトヨタのライバル!世界3位の自動車メーカー「ヒョンデ」

そもそも「『ヒョンデ』って何よ?」という人もいることでしょう。まずはそこから説明しましょうか。
ヒョンデ・モーターとは漢字で「現代自動車」とも表記する、韓国の自動車メーカー。韓国最大手ですが、そのグローバルでの販売台数はトヨタグループやフォルクスワーゲングループに続いてなんと世界第3位なのです。
つまりホンダや日産よりも規模が大きな自動車メーカーなんですね。

かつては「ヒュンダイ」として日本で乗用車を販売していたこともありますが、しばらくは中断していました。
しかし、お休みしていたここ10年ほどで技術レベルもメキメキとあがり、今や欧州や北米でもメジャーな存在(ホンダや日産よりも多く販売しているのだから当然です)。
モータースポーツに詳しい人はWRC(世界ラリー選手権)でトヨタとバチバチ争っていることをご存じでしょう。

「IONIQ(アイオニック)」というのはそんなヒョンデのEV専門のサブブランドで、「IONIQ 5」はそのうちの1車種というわけです。
5ドアハッチバックで、写真で見ると全長4.3mくらいのコンパクトハッチのようにも見えますが、実は全長4.6mと意外に大きめ(バランスの影響か写真だとサイズ感バグります)。
それにしても、シンプルで直線的なデジタル基調のデザインはクールですね。
ニュルを8分以内で周回できる電気自動車「IONIQ 5 N」

そして「IONIQ 5 N」というのは、そんなIONIQ 5をベースに仕立てたハイパフォーマンスモデル。
フロントとリヤにモーターを置く4WDで、前後モーターをあわせた最高出力はなんと650㎰(フロント238㎰+リヤ412㎰)。
0-100km/h加速はたったの3.4秒、最高速度は260km/hというとんでもないモンスターです。

ヒョンデの高性能モデルに与えられる記号の「N」は、メルセデス・ベンツでいえば「AMG」だし、BMWでいえば「M」、レクサスでいえば「F」のようなものをイメージすればいいでしょう。
ちなみに“N”は開発拠点がある「南陽(Namyang:ナムヤン)」とテスト走行を実施するドイツの過酷なサーキット「ニュルブルクリンク(Nurburgring)」からとっているのだとか。

このIONIQ 5 Nは、ニュルを「2周続けて8分切りのペースで走れる」のだそうで。
8分切りで走るのは今どきのハイパフォーマンスカーとしては当然ですが、バッテリーの温度上昇に伴う出力制限がされずに、そのペースで2周続けて走れる高性能EVは凄いですね。
「EVは楽しくない車が多い…」土屋圭市さんのIONIQ 5 Nへの評価は?

EVに関しては「楽しくないクルマが多いんだよな」という元レーシングドライバーの土屋圭市さん。
でもこのIONIQ 5 Nに関してはかつて試作車を走らせた時から「普通のEVとは違う」という印象を持っているようで、今回も走り始めるやいなや「やっぱりこれはいいね」とニコニコ顔です。
確かに運転してみると「クルマ好きが作っている!」という土屋さんの言葉にも納得。

EVって一般的にはシャープで機敏な加速で洗練はされているんだけど(それはそれで爽快)、どこかドライな印象。
しかしIONIQ 5 Nは全然違って、パワーの立ち上がりにガソリンエンジンのような盛り上がり感があるのです。

たとえばエンジン音(なんて本当はしないから疑似的に作り出している音)を聞けばシフトアップしているのがわかると思いますが、実は変速機能は持っていないからシフトチェンジなんてしていないんです。
でも、それは音だけじゃなくパワーの出方でも音とリンクした疑似的なシフトチェンジをして、一般的なEVとは異なる加速感を手に入れているのが面白い。

当然ながら土屋さんも「楽しい! 楽しい!」を連発。サーキットでのコーナリングに関しても「良く曲がるよコレ」とかなり高評価です。

サーキットで同乗の藤井マリーさんも激しい横Gに「首がもげそう!」と驚く一方で、「(遊園地の)アトラクションみたい!」と楽しそう。
「横に乗っていて安心感がある」とのことですが、それはきっとドライバーの腕が一流だからでは……?
電気自動車で自由自在に全開ドリフト?!

サーキット試乗では、ピットインの後にインフォテイメントシステムのメニューからトルク配分のほとんどをリヤに調整!
実は前後トルク配分を任意に調整できるのです。
すると土屋さんは……

「めっちゃ楽しいよ!」を連発しながらドリフトしまくり。
助手席の藤井さんも「楽しい!」とグリップ走行時よりハイテンションです。このテンションの上りかたは、なかなかですねぇ。

車外映像を見ていると、ドリフトしながらもただ横へ逃げるのではなくしっかり前へ進んでいることがわかります。
クルマのバランスと制御が巧みなのでしょう。

サーキット走行の後は、ジムカーナ場のような広いスペースでウエット路面でのドリフトを体感。しっかりと振り回せることを確認。

……というところで、ヒョンデで Nブランド のまとめ役を担っているジューン・パーク氏が「俺に運転させてみて!」と乱入。
何を隠そう彼は日本のクルマ文化大好き。ドリフト大好き。
そして土屋さんの大ファンというクルマ好き。

さすがの運転テクニックで、IONIQ 5 Nを綺麗にドリフトさせます。
それにしても土屋さんへのリスペクトっぷりが凄い!

そんな彼が「速いだけではダメ。楽しくなければ意味はない」とIONIQ 5 Nのプロジェクトを進めたのだとか。
彼の走りや言動を見ていると、IONIQ 5 Nに溢れんばかりの運転する楽しさが詰まっているのも強く納得です。
ヒョンデの開発メンバーも日本人と同じ…クルマで遊ぶのが大好き!

というわけで、IONIQ 5 Nの撮影を通じてボクが感じたのは
「彼らは凄いEVを作ろうとしたのではなく、これまでのガソリン車と同じベクトルの延長で運転を楽しめるクルマを作ろうとしたんじゃないかな」
ということ。とにかく運転が楽しくて刺激的で、「EVはなんだかつまらない」という人にぜひ味わってほしいのです。

IONIQ 5 Nはそれなりの値段になるので気軽に買えないクルマではありますが、こんな楽しいEVもあるんだっていう事をぜひ知っておいていただきたいですね。
そして、機会があれば運転して欲しい。きっと興奮できると思いますよ。
最後にもうひとつ、彼らはIONIQ 5 Nベースのドリフト仕様も作って今回の試乗会のために日本へ持ち込みました(動画には出てきませんが)。
普通は廃棄される、開発途中の試作車をベースにお遊びで作ったのだそうですが、見ているだけでわかるほどにその挙動がドリ車そのものでおもしろかったです。

開発の人たちの、ドリフトも含めた日本のクルマ文化へのリスペクトが凄い。
っていうか、開発の人たちも本当にクルマ好きなんだなというのがとてもとても伝わってきました。
というわけで、ぜひ動画でもIONIQ 5 Nの全開試乗をご覧ください!