【プロ解説】カクカクボディのランクル70とジープ ラングラー。あなたならどっちを選ぶ?私は◯◯
2023年11月に、日本市場へ3度目の導入となったトヨタ ランドクルーザー"70"。
エンジンや安全装備などアップデートされているものの、1984年当時の姿を色濃く残していて、SUV界のシーラカンスとも言える存在です。
そのライバルとしてピップアップしたのは、ジープ ラングラー。コチラも1987年の初登場から基本的な部分が変っていないワークホース。どちらもコアなユーザーを中心に人気のSUVです。
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- ボディサイズはほぼ同じ。軽量化されたラングラーの車重は2tを切っている
- ラングラーは環境性能にすぐれる2.0Lターボを搭載
- ラダーフレーム+リジッドアクスルの足まわり
- 道具に徹した室内デザイン
- アバタもエクボ。気に入ったら行動に移すべき!?
ボディサイズはほぼ同じ。軽量化されたラングラーの車重は2tを切っている
ボディサイズは、ランクル”70”が全長4,890mm×全幅1,870mm×全高1,920mmに、ホイールベース2,730mm、最低地上高200mm。
対してラングラー アンリミテッドは全長4,870mm×全幅1,895mm×全高1,845mmに、ホイールベース3,010mm、最低地上高254mm。
車両重量はランクル“70”が2,300kg、ラングラー アンリミテッド(スポーツ)は2018年のモデルチェンジでボディの軽量化が敢行されたおかげもあって1,990kgと2t以下に収まっています。
ボディサイズの全長、全幅はほぼ同じ、全高はランクル”70”が75mm高くなりますが最低地上高はラングラーのほうが54mmも高くなって、アプローチ&ディーパーチャーアングルも大きくなっています。
またホイールベースは、ラングラーのほうが280mm長いのですが、取り回しの良さの指針となる最小回転半径は、ランドクルーザー70が6.3m、ラングラー アンリミテッドは6.2mでほぼ互角です。
ラングラーは環境性能にすぐれる2.0Lターボを搭載
搭載しているパワートレインは、ランクル”70”が2.8L 直列4気筒直噴ディーゼルターボに6速AT。ラングラー アンリミテッドは、2.0L直列4気筒ガソリンターボに8速AT。
駆動方式は両車ともにパートタイム4WDですが、ラングラーの電子制御式センターデフを持つセレクトラックフルタイム4WDシステムは、オン・オフロードを問わず使用できるフルタイム4WDの「4H AUTO」モードを搭載していることがポイントです。
燃費(WLTCモード)は、ランクル“70”が10.1km/L、ラングラー アンリミテッドは10.8km/Lと、ラングラーのほうが優れています。ただし、軽油のランドクルーザー70に対して、ラングラーはレギュラーガソリンなので、実質はラングラーのほうが高コストです。
ラダーフレーム+リジッドアクスルの足まわり
クラシカルな外観デザインを採用した本格オフローダーの2台のサスペンション形式はともに前後リジッドアクスルです。
ただし、ランクル”70”はフロントコイルスプリング、リアはリーフスプリングの組み合わせ。対してラングラーは、前後ともにコイルスプリングとなっています。
このサスペンションの違いは乗り味にも表れていて、硬めのセッティングで無駄な動きの少ないジープラングラーに対してランクル”70”はリーフスプリング特有の緩い動きが特徴です。
その足まわりには、悪路走破性を高めるための電子制御技術が投入されています。
ランクル“70”には、電動デフロック(フロント・リア)をはじめ、デュアルモードオートマチックロッキングハブ、ダウンヒルアシストコントロール(DAC)、ヒルスタートアシストコントロール(HAC)など。
いっぽうラングラーは、前述したセレクトラックフルタイム4WDシステムをはじめ、セレクスピードコントロール[ヒルディセントコントロール/ヒルアセントコントロール]、アンチスピンリアデファレンシャル(サハラのみ)に、サスペンションストロークや車両の傾き、ホイールの回転、トランスミッションの温度など、さまざまな車両情報をモニターで確認できるOFFROADページが搭載されています。
道具に徹した室内デザイン
室内は、いずれも水平基調のデザインで、操作系もシンプルで使いやすいものです。
しかし、マニュアルエアコンに7インチナビ、オプティトロンメーター+4.2インチマルチインフォメーションディスプレイ、自動防眩インナーミラー(バックモニター内蔵)など、基本設計の古さが目立つランクル“70”。
ラングラーはオートエアコン、12.3インチタッチパネルモニターのApple Car Play/Android Auto対応オーディオナビシステム、フルカラー7インチマルチビューディスプレイ、フロントシートヒーターなど、現代的にアップデートされています
安全装備では、ランクル”70“は、昼夜の歩行者、昼間の自転車運転者を検知するプリクラッシュセーフティをはじめ、レーンディパーチャーアラートなど5つの機能がパッケージ化されたToyota Safety Senseを標準装備。
対してラングラー アンリミテッドには、アドバンストブレーキアシストをはじめ、アダプティブクルーズコントロール、ブラインドスポットモニター/リアクロスパスディステクション、フロント/リアパークアシスト、エンハンストアクシデントレスポンスシステム、ヒルスタートアシストなど、2018年デビューのモデルらしく機能が充実しています。
アバタもエクボ。気に入ったら行動に移すべき!?
車両本体価格は、ランクル“70” AXが480万円、ラングラー アンリミテッド スポーツは799万円(画像のラングラーアンリミテッド サハラは839万円)ですが、ランクル“70” AXにはナビ&ドラレコ、フロアマット、フロントガーニッシュや前後アンダーカバーがないのでオプションで追加すると約525万円になります。
それでもランクル“70”に対して、ラングラー アンリミテッドは274万円高です。
そのルーツや成り立ちが似ているトヨタ ランドクルーザー”70”と、ジープ ラングラー アンリミテッドですが、価格だけでなく走りのテイストもかなり異なっています。
いっぽう手に入れてからのランニングコストで見ると、毎年納める自動車税がランクル”70“は5万円、ラングラーは3万6000円。車検時に納める重量税(2年自家用)は、ランクル“70”が4万1000円、ラングラー アンリミテッドは3万2800円と、いずれもラングラー アンリミテッドが安くなります。
ただし、使用燃料がランクル“70”の軽油に対し、ラングラーはレギュラーガソリンなので、走行距離が伸びるほどその差は大きくなります。
とはいえ、どちらもほかに代わるモデルがないのも事実ですから、気に入ったら行動に移すことが吉だと思います。