ラダーフレームは悪路に強い!? ラダーフレームのSUV7選
クロスカントリー系SUVや大型トラック、バスなどに採用されるラダーフレーム構造。
国産SUVでは、スズキ ジムニーとトヨタ ランドクルーザーがその代表格で、登場から現在まで連綿とラダーフレーム構造を使い続けています。
そんなラダーフレーム構造のメリットとデメリットを解説しながら、現在、中古車で買えるラダフレーム構造を採用したSUVを7台紹介します。
- Chapter
- ラダーフレーム構造ってなに?
- ラダーフレーム構造のメリットとは?
- ラダーフレーム構造のデメリットは?
- ラダーフレーム構造を採用するSUV
- トヨタ ランドクルーザー 250
- いまやラダーフレームは悪路走破性に優れていることとイコールです
ラダーフレーム構造ってなに?
自動車のボディ構造は、おおきくモノコック構造とラダーフレーム構造にわけることができます。
モノコック構造は、フレームがなく車体全体を一体化することで骨格の強度を高めます。これにより、車体の軽量化とコスト削減が可能です。
市販車では、1922年に発表されたイタリアのランチア(ラムダ)が最初のモノコック採用車でした。
対するラダーフレーム構造は、左右2本のメインフレームとなるサイドメンバーを何本かのクロスメンバーでつないだもの。
そのフレームにエンジンやボディを載せて車を完成させます。極端な表現をすればフレームの上にはどんなボディでも載せることが可能です。
昔の漫画で描かれていた、ボディパネルが吹き飛んだ、いわゆるハダカの状態で走れるのは、ラダーフレームを採用していたためです。
ラダーフレーム構造のメリットとは?
ラダーフレーム構造をカタチ作る強固なフレームは、悪路などでの振動に強く、耐久性に優れるといわれています。
ボディとフレームが別体になっていることは、事故やクラッシュによってボディがゆがんでも、基本のフレームまでダメージがおよんでいなければ、走ることもできますし、修理も容易です。
この容易さはメンテナンス性の高さにもつながっています。また基本構造がシンプルなため、製造も簡単です。
ラダーフレーム構造のデメリットは?
ラダーフレーム構造は、多くの乗用車がモノコック構造を採用し、さらにプラットフォームを共用化してコストを抑える設計をしているなかで、その潮流から外れる特別な構造です。そのため専用の部品や製造ラインが必要になります。
ラダーフレーム自体は、ねじれや曲げに対して弱く、剛性が低いという問題があります。それを避けるためにフレームを強固に作る必要があり、その際のボディの重量増による環境性能の悪化は、現代においては大きな問題です。
またボディとフレームがわかれているため、重心が高くなり、騒音や振動にも弱い面があり、安全性でも問題があります。
それでも世界のメーカーがラダーフレーム構造にこだわるのは、悪路走破性の高さと耐久性にあります。
最近では、長年ラダーフレーム構造を採用してきたランドローバー ディフェンダーがモノコック構造にスイッチして話題になりましたが、過酷な条件下ではメンテナンス性と耐久性に優れるラダーフレーム構造に分があると思います。
ラダーフレーム構造を採用するSUV
トヨタ ランドクルーザー(300系)
ランドクルーザーは、トヨタを代表するクロスカントリー系SUVです。北米にはランクルよりも大きなフォーランナーやハイランダーといったモデルもありますが、世界的に見ればランドクルーザーがフラッグシップです。
現在、最新型となる300系は、2021年に発売されたものですが、世界的な人気と半導体不足によって、いまだに納車待ちが続いているという人気モデルです。
基本骨格には最新のラダーフレームを採用し、エンジンはガソリンの3.5L V型6気筒ツインターボと、ディーゼルの3.3L V型6気筒ツインターボの2種類を用意。いずれも10速ATとフルタイム4WDが組み合わせられ、高い悪路走破性を発揮します。
トヨタ ハイラックス
トヨタ ハイラックスは、海外で生産され、日本に輸入されるピックアップトラックです。
現行型は歴代8代目にあたり、2015年にタイとオーストラリアで発売。2017年からは日本での販売が開始されました。
日本で販売されるボディは5人乗りのダブルキャブのみで、パワートレーンは2.4L 直列4気筒ディーゼルエンジンに、6速ATとパートタイム4WDが組み合わされています。
スズキ ジムニー(JW64型)
軽自動車でありながら本格的なオフロード性能を兼ね備えているスズキ ジムニー。現行型は、2018年のデビューで、前述したランクル同様、高人気と半導体不足により、いまだに納期が遅れています。
とはいえ、発売から5年目をむかえ中古車もかなり増えていますので、納期が待ちきれないという人は中古のジムニーがおすすめです。
パワートレーンは、660ccの直列3気筒エンジンにパートタイム4WDを組み合わせたもので、トランスミッションは4速ATまたは5速MTを選ぶことができます。
また同じボディながら、トレッドを拡大し1.5Lエンジンを積んだジムニーシエラ(JW74型)もあり、こちらは欧州をはじめ世界各国でも販売されるグローバルモデルとなっています。
トヨタ ランドクルーザー 70
いまだにファンの多いヘビーデューティーモデル、トヨタ ランドクルーザー70は1984年の誕生しました。
日本では2004年に販売が終了したものの、海外では連綿と生産が続けられ、2014年に発売30周年記念モデルとして期間限定で販売。このときの復刻版70は、4.0L V6エンジンとMTの組み合わせでした。
その後も海外では生産が続き、2023年の大幅アップデートによって、現代的な装備と制御システムを備えたモデルへと進化。
新しい70のラダーフレームに搭載されるのは、2.8Lのターボディーゼルエンジンで、6速のオートマチックミッションの組み合わせ。駆動方式は、ハイ/ロー切り替えが可能なパートタイム4WDです。
さらに電動デフロック、ビークルスタビリティコントロール(VSC)、アクティブトラクションコントロール(A-TRC)、ヒルスタートアシストコントロール(HAC)、ダウンヒルアシストコントロール(DAC)といった制御システムの採用で高い操縦安定性を実現しています。
トヨタ ランドクルーザープラド(150系)
1985年にランドクルーザーから派生したランクルワゴン(70系)がランドクルーザープラドのルーツです。
その後、1990年のモデルチェンジを期に「プラド」のサブネームが与えられました。150系は、その4代目にあたり2009年にデビューしました。
最終型のエンジンは、2.7Lのガソリンターボと、2.8Lのディーゼルターボの2種類で、6速ATにセンターデフロック付きのフルタイム4WDが組み合わされています。
兄貴分のランドクルーザーよりもひと回り小さなボディに、7人乗りも可能な室内、さらにディーゼルエンジンも選べる(ランクル200系にはディーゼルがなかった)などの要素から、あえてプラドを選ぶユーザーも多いという稀有なモデルです。
ジープ ラングラー(JL型)
ジープ ラングラーは、軍用車両をルーツに持つ本格オフローダーです。
現行型ラングラーは、ラングラーとしては4代目で、2.0Lのダウンサイジングエンジンや、安全装備、快適装備などが、3代目(JK型)よりおおきく進化したことがポイントです。
エンジンはほかに3.6L V型6気筒と、2022年末に発売された2.0L ハイブリッド(4xe)がありますが、ハイブリッドはまだまだ新しいので、中古で狙うならガソリンエンジンの2.0Lまたは3.6Lになります。
トランスミッションは全車8速ATでパートタイム式4WDが組み合わせ。ボディは4ドアのほか2ドアのショートモデルも存在します。
7スロットグリルに丸形ヘッドライト、台形フェンダー、取り外しができるルーフやドアなど、連綿と受け継がれたアイコン的要素をちりばめたレトロな雰囲気もジープ ラングラーの魅力です。
トヨタ ランドクルーザー 250
2024年に発売されたトヨタ ランドクルーザー250は、ランドルクーザーのなかでも実用的なモデルとして販売されてきたプラドの後継機種として開発されました。
基本骨格を上位のランクル300と共用化したことで大型化したボディに搭載されるのは、2.8L直噴ターボディーゼルと、2.7Lガソリンエンジンの2つ。
トランスミッションは、前者が8速ATのDirect Shift-8AT、後者は6速ATの6 Super ECTで、WLTCモード燃費は、ディーゼルモデルが11.0km/L、ガソリンモデルは7.5km/Lを達成。環境性能を引き上げました。
実用オフローダーらしい高い機能性とともに乗員に安心感をもたらす室内空間も魅力です。
いまやラダーフレームは悪路走破性に優れていることとイコールです
ラダーフレーム構造を採用するクルマは、SUVのほかに軽トラックや大型トラック・バスなどがありますが、普通乗用車であえて乗り心地が悪く、コストもかかるラダーフレーム構造を採用するのは、ひとえにそのクルマが悪路走破性を求めているからにほかなりません。
つまり、ラダーフレーム構造を採用するのは、優れた悪路走破性能を実現するためです。そんなラダーフレーム構造のSUVなら、ちょっとした冒険も可能です。