アンダー2.0Lの本格スポーツセダン『三菱 ランサーエボリューション』を中古で狙うなら、おすすめは◯代目

三菱自動車がWRCに代表されるラリーを戦うため、1992年に発売したのが初代ランサーエボリューション(ランエボ)です。
レースに出るために必要なホモロゲーションモデル(市販バージョン)で、初代から10代にわたってバトンを受け継ぎ、2016年まで販売されました。
ここでは、歴代のランエボとおすすめモデルを徹底解説します。
- Chapter
- WRCなどのコンペを戦うために生まれたホモロゲーションモデル
- 心臓部の4G63型エンジンはそのままでおおきく進化した第2世代
- ベースボディをランサーセディアに変更しておおきくなった第3世代
- すべてがブランニューとなった第4世代
- 中古車程度を見極めて。第3世代のエボⅨ、第4世代のエボⅩがおすすめ
WRCなどのコンペを戦うために生まれたホモロゲーションモデル

三菱自動車の中型セダンであるランサーをベースとしたランサーエボリューション(ランエボ)は、ラリーをはじめとしたモータースポーツをプロから草の根まで支えてきたモデルです。
初代ランエボは、1992年に2500台限定で発売されましたが、即完売するほどの人気を集め、最終的には7500台が販売されました。
4,310mmの全長と5ナンバー枠に収まる全幅で、現在からするとかなりコンパクトになっています。パワートレインは、最高出力250PS、最大トルク31.5kg-mの2.0L直列4気筒ターボ(4G63型)と5MTが組み合わされていました。
2代目エボⅡは、1994年に誕生し初代からシャーシを大幅にアップデートしつつ、最高出力を260PSに引き上げています。
1995年登場の3代目エボⅢは、最高出力を270PSに向上。ボディは、フロントバンパーやリヤスポイラーなどを一新して空力性能も高めています。
心臓部の4G63型エンジンはそのままでおおきく進化した第2世代
ベース車のランサーが全面改良を受けた1996年発売の4代目は、ランエボとして第2世代に進化。
ボディは、全長4,330mm、全幅1,695mmで依然として5ナンバー枠。それまでと搭載方向が左右反対になった4G63型2.0Lターボエンジンは、ついに当時のメーカー自主規制値上限の280PSに到達。
足まわりには、AYC(アクティブヨーコントロール)を初採用(GSR)、リヤサスペンションも新開発のマルチリンク式とされました。
1998年登場の5代目エボⅤは、WRCでの戦闘力アップのため、ワイドトレッド化を図り全幅が1,770mmになり3ナンバーサイズに突入。最大トルクは38.0kg-mにアップしました。
5代目を進化させた6代目エボⅥは1999年に登場。冷却性能と空力性能の向上と、シャーシなどの改良により操縦安定性もアップしています。
ベースボディをランサーセディアに変更しておおきくなった第3世代
2001年発売の7代目エボⅦは、前年に発売されたランサーセディアがベースになり、ランエボ第3世代に移行しました。
自主規制値280PSを維持しつつ、最大トルクを39.0kg-mまで向上。電子制御油圧式多板クラッチとしたACD(アクティブセンターデフ)、AYCとの統合制御によりハンドリングと加速性能を高めるなど、戦闘力をアップしています。
このエボⅦには、ATを搭載したGT-Aがラインナップされていました。
8代目エボⅧは、2003年に発売され、トルク移動量を約2倍に増大させた「スーパーAYC」により旋回性能とトラクションを高めています。
新たに6MTを設定したのもトピックで、2004年に追加されたMRでは、アルミルーフパネル、ビルシュタイン社製ショックアブソーバーを採用しています。
2005年誕生の9代目は、新グレードの「GT」が設定されたほか、2.0Lインタークーラーターボエンジンに連続可変バルブタイミング機構MIVECを搭載。最大トルクは40.8kg-m(2006年登場のMRは41.5kg-m)までアップしました。
すべてがブランニューとなった第4世代

2007年登場となる10代目エボⅩは、ランエボとしては第4世代です。デザインはもちろん、プラットフォームやエンジン(4B11型)を刷新。全幅はついに1.8m台に突入しています。
トランスミッションは、5MTに加えてデュアルクラッチの「TC-SST」を新設定。車両運動統合制御システム「S-AWC」による操縦安定性の高さなど最新世代にふさわしい走りが得られます。
中古車程度を見極めて。第3世代のエボⅨ、第4世代のエボⅩがおすすめ

ランエボの中古車は、当然ながら世代を遡るほど物件数が少なくなっていて、第1世代のエボⅠはほとんど流通していません。
現在は、9代目エボⅨ、10代目エボⅩあたりから選択するのが現実的。2015年に発売された10代目エボXの”ファイナルエディション”を中心に、走行距離の短い個体も比較的多く残っている反面、約430万円だった新車価格から大幅なプレミアが付いています。
走行距離を重ねた個体、カスタマイズやチューニングなどかなり手の入っている物件であれば、エボXでも200万円以下で狙える個体があるものの、慎重に状態を見極める必要がありそう。
とくに2ペダルの「TC-SST」は、トラブルのリスクも高く、メンテナンス&修理済みであるかも確認したいところです。
期間や台数を限定して販売されたランエボは、希少なスポーツセダンということもあり、9代目、8代目と世代を遡っても中古価格は高め。程度をしっかり見極めて購入してください。