【試乗レポート】スポーティなハンドリングが魅力。マツダ MAZDA2 XD SPORT+
マツダブランドのエントリーモデルとなるのが、コンパクトカーのMAZDA2(マツダツー)です。
2019年の商品改良の際に、マツダブランドの鮮明化を目的に車名をデミオからMAZDA2へと変更。同時に日常を豊かにする上質なパーソナルカーへと進化しています。
デミオ時代を含めると2023年9月で10年目を迎えるロングセラーカーは、それだけ熟成が進んでいるモデルとも言えるでしょう。
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- デミオを前身にもつコンパクトカー
- SKYACTIVテクノロジーと魂動デザインを全面採用
- 2023年1月の商品改良で生まれた新グレード
- ディーゼルの高トルクがあらゆるシーンでMAZDA2をグイグイ引っ張る
デミオを前身にもつコンパクトカー
MAZDA2の前身となるマツダ デミオの初代モデルが登場したのは1996年です。
「自由型ワゴン」をコンセプトに開発された初代デミオは、多くの立体駐車場が利用可能な全高1,550mmに抑えたハイトワゴンとして登場しスマッシュヒットしました。
2002年に登場した2代目デミオは、初代のスタイルを受け継ぎつつ「心地よいインテリア」と「走る楽しさ」がもたらす「解放感」をテーマに、新しい価値を提供することを目指して開発。この時代から海外では、MAZDA2名が使われています。
3代目デミオは2007年に登場。新しい時代の価値観を見据えて開発された3代目は、スタイリングも大きく見直し、ハイトワゴンスタイルから5ドアハッチバックへと変更。ふたたび人気となりました。
SKYACTIVテクノロジーと魂動デザインを全面採用
2014年に4代目となったデミオは、マツダの新世代技術「スカイアクティブ技術」と新デザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」をコンパクトカーとして全面採用した初めてのモデルとなりました。
搭載エンジンは、1.3L直4ガソリンと1.5L直4ディーゼルターボの2種類で、トランスミッションは6速ATにくわえ、5速または6速MTを用意していました。
3代目に比べると、ボディの全長とホイールベースが延長され、ドライビングポジションと室内の居住性が改善されました。
デミオからMAZDA2へと車名が変更されるのは2019年の商品改良時のことで、こおnときは新サスペンションシステムの採用をはじめ、頭がぶれにくい新構造のフロントシート、走行中の車両の挙動をより安定させる「Gベクタリングコントロール プラス」を採用するなど、各部のアップデートが図られました。
搭載するエンジンは、ガソリンとディーゼルともに1.5Lになっています。
2023年1月の商品改良で生まれた新グレード
今回のMAZDA2は、2023年1月に改良が実施されたモデルです。
改良のポイントは内外装の変更にくわえて、BDおよび、SPORT(SPORT+)というグレードが追加されたこと。
ガソリンとディーゼルに用意されるBDグレードは「自分らしく、自由な発想で遊び心を持って」をイメージしたもので、ボディカラーに合わせて3種類のインパネやボディカラーと異なるルーフフィルムとドアミラーのカラバリエーションを用意。
さらに2トーンのフルホイールキャップを設定するなど、198通りのカラーコーディネイトから自分好みの1台を仕立てることができます。
いっぽうガソリンが15 SPORT、ディーゼルがXD SPORT+と呼ばれるSPORT(スポルト)グレードは、ラインアップされていたブラックトーンエディションをベースに専用のメッシュグリル、アルミホイールを採用すると同時にMT車を設定するなどスポーティさを強調したグレードです。
ちなみにMAZDA2のMT車はSPORTグレード、もしくは競技車両ベースの15MBでしか選べません。
ディーゼルの高トルクがあらゆるシーンでMAZDA2をグイグイ引っ張る
試乗したのは、1.5Lのディーゼルエンジンを積んだXD SPORT+の6速AT車。車両本体価格は232万1000円です。
スポーティさを強化したXD SPORT+には、前述した変更点のほかアクセントに赤いラインを採用したブラック基調のシート、16インチ専用アルミホイールを装備しています。
ボディサイズは、全長4,080mm×全幅1,695mm×全高1,525mmの5ナンバーサイズで、OEM供給されている軽自動車を除くとブランド唯一の5ナンバーサイズ車となります。
液晶メーターを採用している車種が多いなか、アナログ式のメーターや手動式のパーキングブレーキなど懐かしさを感じますが、身体に馴染んだ装備なので安心感を強く感じることができます。
搭載されている1.5L直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、最高出力77kw(105ps)/4,000rpm、最大トルク250Nm/1,500-2,500rpmをそれぞれ発生。車両重量1,150kgのXD SPORT+をスムーズに加速させます。
デビュー当初からさまざまな改良が加えられ、ディーゼルエンジンとは思えないほどのアクセルレスポンスとWLTCモード21.6km/Lという優れた燃費性能を両立させています。
今回の試乗は横浜から東京を経由して、高尾山の近くまでの約200km。約60%が高速道路で、残りの40%は一般道とワインディングが半分づつといった割合です。
高速道路ではおもに全車追従機能付マツダ・レーダー・クルーズ・コントロールをテストしました。
往復ともに交通量も多くブレーキを掛けるシーンも多かったですが、減速操作もかなり穏やかになっていますし、再加速の滑らかさは高トルクのディーゼルエンジンの恩恵が大きかったです。
ワインディングでは、勾配がきつくタイトなコーナーが続くステージでした。しかしMAZDA2はドライバーの思いどおりに走行させることができます。
ドライバーの操作に非常に忠実で、ハンドルを切った分だけ曲がってくれるので修正する必要がないのが特徴です。
こういった点は国産コンパクトカーではトップレベルで、輸入車コンパクトカーに引けを取らないと言えるでしょう。
マツダらしい、人馬一体のドライブを楽しんでも、実走行の平均燃費は21.3km/Lとほぼカタログ数値どおりでした。
マイルドハイブリッド化など、さらに期待したい部分もありますが、国産コンパクトカーのなかでは、思いどおりに操る楽しさを気軽に味わえる貴重なモデルだと思いますし、エンジンの重量が軽いガソリン車を選べば、さらに軽快なフットワークを楽しむことができそうです。
安定感の高いディーゼル車、コンパクトカーらしいキビキビとした走りが魅力のガソリン車。MAZDA2は搭載するエンジンでハッキリとキャラクターが分けられています。
グレードと搭載するエンジンで、自分に好みにピッタリな1台を見つける楽しさもあります。