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【プロ解説】レトロコンパクトなSUV。日産 ラシーンはいま買っても大丈夫?

日産 ラシーン

セダンの実用性を備えた”新感覚のRV”として1994年に発売された日産 ラシーンは、クロスオーバーの先駆け的なモデルです。

当時のSUVといえば、いまで言うクロカン系のモデルが大勢を占めており、サニーベースのラシーンは色物的な扱いでした。

ところが時代が変化したことで、ラシーンに再注目する人が増え、現在の人気ぶりとなっています。

Chapter
20年遅れで時代が追いついた?日産 ラシーン
パオ、フィガロを産んだ日産のパイクカーシリーズとは?
サニー4WDをベースに、5ナンバー枠を基本とするラシーン
復活を望む声は少ないけれど……
整備やメンテにもお金がかかる?

20年遅れで時代が追いついた?日産 ラシーン

日産 ラシーン

「羅針盤」から命名された日産 ラシーンは、TVCMにドラえもんを起用し、1994年12月に発売されたコンパクトモデルです。

そのレトロな内外装は、パイクカーの流れを汲んだもの。クロスオーバーテイストで仕上げられたスタイリングも特徴で、時代を先取りした1台でした。

パオ、フィガロを産んだ日産のパイクカーシリーズとは?

日産 フィガロ

1980年代後半の日産は、1987年登場のBe-1を皮切りに、名車のビンテージイヤーといわれる1989年にパオエスカルゴ、1991年のフィガロと、バブル景気を背景に少量生産のパイクカーを世に送りだします。

その流れを汲んだラシーンは、まだ景気が良かったころの時代を背景に1994年に登場したコンパクトカーです。

サニー4WDをベースに、5ナンバー枠を基本とするラシーン

日産 ラシーン

日産パイクカーシリーズは、基本的に当時のマーチ(K10型)をベースに製作されていましたが、エスカルゴはVN10型パルサーバン、ラシーンはサニー(B13型)がベースで、一連のパイクカーよりもひと回り大きなボディサイズでした。

とはいえ登場時のスペックは、全長3,980mm×全幅1,695mm×全高1,450mmとかなりコンパクト。最後期でも全長4,115mm×全幅1,695mm×全高1,515mmと、現行型ノート(全長4,045mm×全幅1,695mm×全高1,520mm)と大差ありません。

なお、1998年4月登場のラシーン フォルザは、全長4,150mm×全幅1,720mm×全高1,515mmと3ナンバーサイズ枠に突入しましたが、全幅の変更はフェンダー装着によるものです。

日産 ラシーン

搭載されるパワートレーンは、1.5L直列4気筒ガソリンに、ミッションは4ATと5MTで、駆動方式はフルタイム4WDのみ。

1997年1月のマイナーチェンジで、エクステリアデザインの変更とABSなどの安全装備の強化にくわえ、1.8Lエンジンにアテーサ4WDを搭載したグレードを追加

1998年には、2.0Lエンジンアテーサ4WDを搭載したラシーン フォルザが登場しました。

日産 ラシーン

筆者はマイナーチェンジ後から雑誌の編集者としてことあるごとに触れてきましたが、エンジン排気量が1.8Lになり高速道路でもストレスのない加速感が得られたことを覚えています。

この世代のクルマでロングドライブを頻繁に繰り返すケースは少ないかもしれませんが、コレクションするのではなく走りも重視するのなら1.8Lか、2.0Lを積んだラシーン フォルザが理想的かもしれません。ただし、生産された年数と台数もあって1.5Lが多く残っています。

知人のファッション系カメラマンがかつて1.5Lのラシーンを仕事グルマにしていましたが、街乗り中心であれば、カメラ機材を満載しても「意外に走る」という話でした。

復活を望む声は少ないけれど……

日産 ラシーン

初代限りで終わってしまったラシーン。過去のヒット作を現代の技術で復活をしてほしいという声もあるようですが、当時と現在とでは衝突要件(歩行者保護なども含めた衝突安全性能)を含めて、各規制が大きく異なります。

たとえば同じモデルであっても、海外向けと日本向けでは形状が異なる、外板パネルやバンパーなどのエクステリアパーツはいくつもあります。

海外向けのほうがカッコいいから日本仕様にも装着できないのか?こういった質問をすると、日本の法規ではポン付けできないという回答を聞くことがよくあります。

もちろん、現在の法規に則り、リバイバルさせることは不可能はないでしょうが、当時のボディサイズで実現すると、室内や荷室が狭くなるなど、パッケージングの面で大きな違いが出てくるかもしれません。

整備やメンテにもお金がかかる?

日産 ラシーン

いまも根強い人気を誇るラシーン。中古車市場では、状態がいい物件(それでも10万km超は当たり前)はコレクターズアイテム化していることもあり、驚くほど高値が付いているケースも多いようです。

あるいは、もっと値上がりするまで保有しておいて…という場合もあるでしょう。

なかにはカスタマイズ済み車両もあり、ノーマルで程度がいい個体となると選択肢は限られます。

趣味性の高いクルマなのでなるべく安く手に入れて、錆対策なども含めてメンテナンスや整備にお金をかけるか、費用を掛けて状態のいい物件を探し続けるのか、悩ましい選択になりそうです。

※最新の中古車情報を掲載している都合上、中古車情報と記事内容が相違している場合があります。

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

自動車雑誌、モノ系雑誌の新車担当編集者を約10年務めた後に独立し、フリーランスライターとしても10年が経過。
自動車雑誌、ライフスタイル雑誌、Web媒体などで新車試乗記事やカーナビ、カーエレクトロニクスなどの展開している。

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

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