【プロ解説】ハイラックスより約100万円も高い三菱 トライトン。比較してわかったトライトンが買いな理由

2024年2月から日本国内の販売が始まったピックアップトラックの三菱 トライトン。
ライバルのトヨタ ハイラックス同様に、三菱自動車のタイ(レムチャバン)工場で生産され、日本では輸入車として販売されます。
先行したハイラックスに新型トライトンは、どこまで迫っているのでしょうか?2台を比較して、それぞれのおすすめポイントを探っていきます。
- Chapter
- タイで生産、日本へ輸入される2台のピックアップトラック
- 2015年デビューのトヨタ ハイラックス
- 2023年デビューの三菱 トライトン
- 同じ2.4Lクリーンディーゼルながらパワーは大きく異なる
- コンベンショナルな駆動方式のハイラックスとオリジナリティあふれるトライトン
- トライトンは装備、運転支援機能ともに充実
タイで生産、日本へ輸入される2台のピックアップトラック

三菱 トライトンやトヨタ ハイラックスの生産工場があるタイは、日系自動車メーカーの生産工場数が中国に次いで多い国で、ここから東南アジア地域に輸出されています。
JETRO:日本貿易振興機構が発表したデータによれば、2024年のタイの自動車生産台数は約147万台で、乗用車と商用車の内訳は、乗用車約55万台に対し、商用車は約92万台でした。
なかでもビジネスとプライベート両方で使えるピックアップトラックは約90万台を占めており、東南アジアにおける人気の高さが伺えます。
ただし市場シェアは、トヨタ ハイラックスといすゞ D-MAXが人気を二分していて、三菱自動車やホンダをはじめとした他メーカーがそれを追いかけるという図式。三菱自動車としては、上位2メーカーに食い込みたいところです。
そんな三菱自動車が新たに投入したトライトンと、大きなシェアを持っているトヨタ ハイラックスを比較してみましょう。
2015年デビューのトヨタ ハイラックス
1968年の販売開始以来、約180の国と地域で販売されているトヨタ ハイラックス。現行型の8代目ハイラックスは、2015年にデビューしました。
モデルチェンジにあわせフレームサイドレールの断面を拡大し、頑丈さと安全性を向上した新開発のラダーフレームに、衝撃吸収性と振動減衰性を高めたサスペンションを採用することで、オン、オフ問わない優れた走破力としなやかな乗り心地を実現しています。
2020年にマイナーチェンジを受けたボディのサイズ(Zグレード)は、全長5,340mm×全幅1,855mm×全高1,800mm、ホイールベース3,085mmに、最低地上高215mm。
ただし、2017年9月の復活以来、毎年コンスタントに販売台数を伸ばしてきたハイラックスですが、2024年に豊田自動織機によるディーゼルエンジンの認証試験不正問題が発覚したことをうけて、現在は生産・販売を休止しているというのが現状です。
2023年デビューの三菱 トライトン
いっぽう2024年から日本導入が再開された三菱 トライトンは、2023年にモデルチェンジを受けたニューモデル。初代フォルテから数えて6代目にあたります。
ハイテン鋼の採用比率を大幅に増加させて重量増を最小限に抑えた新開発のラダーフレームに、新開発のサスペンションを組み合わせ良好な乗り心地と優れた操縦安定性を実現しました。
トライトン(GLSグレード)のボディサイズは、全長5,320mm×全幅1,865mm×全高1,795mmで、ホイールベースは3,130mm。最低地上高は220mm。オーバーフェンダーなどを装備したGSRは、全長5,360mm×全幅1,930mm×全高1,815mmです。
車両本体価格は、GLSが498万800円、上級グレードのGSRが540万1000円。対するハイラックスの車両本体価格(2024年型)は、Zグレードが407万2000円、上位グレードのGRスポーツが431万2000円でした。
同じ2.4Lクリーンディーゼルながらパワーは大きく異なる
搭載しているパワートレインは、どちらも2.4L直列4気筒のクーリンディーゼルターボにトランスミッションはいずれも6速ATの組み合わせ。
ハイラックスは小型高効率可変ジオメトリーターボ、トライトンは2つのタービンを協調させる2ステージターボという違いがあります。
エンジンスペックは、ハイラックスの最高出力110kW(150ps)/3,400rpm、最大トルク400Nm/1,600〜2,000rpmに対し、トライトンは最高出力150kW(204ps)/3,500rpm、最大トルク470Nm/1,500〜2,750rpmと、パワー、トルクともにかなりパワフルな印象。
燃費性能(WLTCモード)は、ハイラックスが11.7km/L、トライトンが11.3km/Lと若干ハイラックスがうわ回っています。
コンベンショナルな駆動方式のハイラックスとオリジナリティあふれるトライトン

ハイラックスの駆動方式は、リアデフロックが備わるパートタイム4WD。ダイヤル操作で、静粛性や燃費性能に優れる「H2」、4WDハイモードの「H4」、4WDローモードの「L4」の切り替えが可能です。

トライトンは、パートタイム式4WDとフルタイム4WDを組み合わせた三菱独自のスーパーセレクト4WD‐Ⅱ(SS4-Ⅱ)で、駆動は後輪駆動の「2H」、センターデフ直結の4WDハイモードの「4HLc」、ローギアの「4LLc」にくわえ、フルタイム4WDの「4H」が用意されます。
さらに最適なトラクションをもたらすドライブモードを用意するほか、アクティブヨーコントロール(AYC)とアクティブLSDを標準装備するなど、さまざまな路面において優れた走破性を発揮します。
トライトンは装備、運転支援機能ともに充実
室内は、センターのディプレイオーディオが8インチのハイラックスに対し、トライトンは9インチ。
いずれも左右独立温度コントロール式のフルオートエアコンを標準装備するほか、トライトンには前席(運転席&助手席)のシートヒーターとリアサーキュレーターが用意されるなど、快適性も高められています。

現代の新車には必須となってきた感のある運転支援機能は、ハイラックスが、プリクラッシュセーフティ(歩行者[昼夜]・自転車運転者[昼]検知機能付き)と、レーダークルーズコントロールをメインに、クリアランスソナー&バックソナー、ドライブスタートコントロール、ロードサインアシスト、レーンディパーチャーアラート、緊急ブレーキシグナル、先行車発進告知機能などを標準装備しています。
いっぽうトライトンは、衝突被害軽減ブレーキシステム、踏み間違い衝突防止アシスト、車線逸脱警報システム&車線逸脱防止支援機能、オートマチックハイビームに、レーダークルーズコントロール、標識認識システムをくわえた「e-Assist」を標準装備。
サポカーSワイド対象車で、後発の強みが発揮されています。

新車価格では約100万円の差があるハイラックスとトライトンですが、エンジン出力や運転支援機能、装備などを比べると、その価格差は納得の内容と言えそう。
リーズナブルにピックアップを楽しむか、最高の性能でピックアップを楽しむかの違いで、車種選びをすると良いでしょう。