高齢ドライバーの交通事故を考える。安全運転のために大事なことは年齢よりも健康状態
交通事故の件数は、自動車に実装されている安全装置の充実などで年々減少傾向にありますが、最近、目立っているのが高齢者の運転による交通事故です。
今年もよくニュースで報道され、目にしたという方も多かったのではないでしょうか。
社会の高齢化がすすむにつれ、高齢者ドライバーが増加しているのがその原因ですが、運転免許について年齢制限を設けるべきだとか、一定の年齢になったら家族が免許を返納させるように説得するべきだといった意見も聞かれます。
しかし、自家用車がないと生活できないような地域に住んでいる場合は、自動車は生活手段として欠かせないでしょうし、人によっては生きがいが失われ、精神的に参ってしまってがくっと老け込んでしまうというようなこともあり、免許の返納や年齢制限は簡単な問題ではありません。
高齢者ドライバーの交通事故の問題は、日本だけではなく、社会の高齢化がすすむ先進国共通の課題となっています。
しかし、交通安全に影響するのは、年齢ではなく健康状態や持病の有無であると、アメリカの国立衛生研究所は指摘しています。
確かに高齢者になると、体のあちこちの器官が衰えます。夜間の運転で視野が狭くなったり、突然の出来事への反応が鈍くなったりします。
しかし、加齢が直接的な原因ではなく、高齢とは言えなくても、持病などで体の器官がおとろえていれば交通事故を引き起こしやすくなるのです。
そこで、体の器官の衰えがどのように運転に影響するのか、ご紹介しましょう。
※ 2017年1月23日時点
視力・聴力の変化が運転に与える影響
高齢になると、老眼になったりして視力が変化します。
高齢者の目は、より明るさが必要だったり、光の変化に対応するために、若い人よりも多くの時間が必要になります。
特に夜間での運転はそうです。
ヘッドライトや信号の光に、目はより敏感になりますので、そのため、直接的な視野に入らないところでの人やモノの動きに反応するのが遅くなります。
また、直接的な視野以外の視野を周辺視野といいますが、加齢とともに衰え、さらに直接的な視野も加齢とともに狭まるため、このことも交通事故を引き起こす原因となります。
白内障、緑内障、そして黄斑変性症は、加齢とともにかかりやすい目の病気ですが、これも自動車の運転を不安定にします。
これらの目の病気がどのように運転に影響するか、下の動画をご覧ください。
早い人ですと白内障は50代くらいにはかかってしまう人もいます。
治療が終わるまで運転は控えた方がよいでしょうね。
聴力も加齢とともに衰えますが、そうなると、サイレンやクルマの出す音を聞き取りにくくなります。
このこともまた、運転を難しくする原因となります。
判断するスピードも加齢とともに遅くなります。
運転は一瞬一瞬の判断が要求されますが、残念ながら、年をとるとこうした一瞬一瞬の判断力が衰えてしまい、やはり、運転に影響を与えてしまいます。
健康状態や持病が運転に与える影響
年齢が高くなると、関節が固くなったり、関節を支える筋力が弱くなります。
関節痛があり、歩行中に膝や足首に痛みを感じる人もいることでしょう。
そうした方々は、運転も困難に感じることがあるでしょう。
例えば、首を真後ろに振り向くことができない人は、急ハンドルをする傾向があることが知られています。
また、高齢になると若いときよりも薬を飲んでいることが多くなるでしょう。
しかしそうした薬は、眠気を引き起こし、居眠り運転の原因になることもあります。
精神安定剤や睡眠障害対策、心臓病のための薬を飲んでいる人は、そうでない人よりも交通事故を引き起こしやすいという研究もあります。
糖尿病が運転に与える影響
糖尿病は、血糖値を高める病気で、年齢が高くなるとともに増える病気です。
糖尿病が運転に与える影響は、そうでない人よりも眠気を感じる機会を増やし、集中力を乱すことです。
糖尿病に伴う合併症のある人は、運転についてお医者さんと相談すべきでしょう。
関節炎が運転に与える影響
関節炎は、肩やひじ、ひざ、足首といったところに痛みを感じることですが、やはり年齢があがってくるとなりやすくなります。
関節炎があると、ハンドルの操作やブレーキの操作、そしてクルマへの乗り降りにも困難を感じることがあり、やはり、そうでない人よりも運転が難しく感じます。
アルツハイマー病が運転に与える影響
アルツハイマーになってしまうと、自分が安全に運転しているかどうかもわからなくなります。
慣れた土地でさえも迷子になってしまったりします。
運転中に混乱することがあると感じたら、そのときはすぐに家族に相談し、アルツハイマーなら運転すべきではありませんし、ナビなどの運転の補助も任せるべきではありません。
ここまで見てきたように、年齢とともに体の器官がおとろえ、そのことは運転にも影響を与えます。
また、まだ高齢者と言われる年ではない。と思っていても、病気や関節痛をもっていたり、薬を常用していたりすると、やはりクルマへの運転に悪影響を与えます。
安全運転のためにも、日ごろから健康管理はしっかりと行い、自覚症状があったら医師に相談したり、運転を控えたりするといった対応は必用になりますね。