内装が高級なクルマとは?こだわると奥が深い車の内装について解説

ロールス・ロイスやベントレーのような、高級な素材のレザーシート、現在では目にする機会も減っている本物のウッドパネルなど、贅をつくした内装は温かみがありくつろぎの空間でもあります。
そんな内装にこだわった車種であっても中古車であれば意外と手の届く値段で購入が可能です。
では、内装が高級なクルマとはどのような内装を指すのでしょうか?ここでは一度ハマると抜け出せない、車の内装についてお話します。
- Chapter
- 車の内装、キーワードは「高級」と「上質」
- インテリアにこだわる場合はコストがかかることを理解する
- 高級内装の定番木目パネルは”本物志向”にご用心
- 高級な雰囲気の内装で上質なカーライフを
車の内装、キーワードは「高級」と「上質」

内装が高級なクルマは、なんともいえないくつろぎを与えてくれる雰囲気があります。
しかし、「内装が高級である」とはいったいどんな状態のことを言うのでしょうか。素材にお金がかかっている、あるいは手間のかかる細工がしてあることでしょうか?
内装の高級さについて明確な定義はありませんが、それほど高級感は高く無いものの、ついついくつろいでしまう内装のクルマも少なくありません。それらは、”高級”とはいえないまでも上質さをまとっていると言えるでしょう。
内装の詳細について調べだすと、一冊の本になるほど奥の深いものになってしまうのですが、ここではそのような高級さのポイントを解説します。
インテリアにこだわる場合はコストがかかることを理解する

その昔、貴族が馬車に変わってクルマを買い始めたころ、クルマはいまでいうヘリコプターのようなもので、限られた人のみ持つことができるものでした。
多くのボディは、専門に手掛けるコーチビルダーによって製造され、各メーカーのシャシーに架装されていましたが、一部のお金持ちは、それらをベースに特別な意匠をほどこしたスペシャル版を作らせるなど、押しなべてコストがかかるものだったのです。
そこから時代が進み、クルマは次第に大衆のためのものへと変化。大量生産で1台に掛けるコストが圧縮されました。そのなかであおりを受けたのが内装だったのではないでしょうか。

クルマがモデルチェンジすると「安普請になった」と揶揄するコメントを出すクルマ愛好家も少なくないのですが、クルマはかつてのような「工芸品」的な立ち位置ではなく、「工業製品」へと変質してしまった以上、前より安く、高性能であることが基本になるため、ある程度は仕方のないことかもしれません。
このときの高性能とは、自動車に求められる耐久性だったり、製作過程における簡便さというものを意味しています。
いっぽうで高級な素材を使っていることと、しっかりと手をかけて作られたシート骨格、この2つが自動車の内装における高級さでは大事なポイントではないでしょうか。
いい椅子というのは本当に疲れ知らずです。同じ自動車なのに何倍もの値段になる、というような場合、差が出るポイントのひとつがシートだったりするのです。
ロールス・ロイス、ベントレーは”高級”の代名詞

内装の高級感では、かつてのロールス・ロイス、ベントレーの右に出るものは無いでしょう。現行モデルも十分高級ですが、BMWやフォルクスワーゲンの資本が入る前のモデルは、ロールス・ロイス/ベントレーの内装の縫製を仕事のメインとしていた、革製品専門の「コノリー社」で革シートが作られていました。
1902年にイギリスの戴冠式に使うコーチの内装を手掛けたことをきっかけに自動車産業へ進出したコノリー社は、名だたる高級車メーカーに品格と耐久性を兼ね備えた革のシートを納入してきました。
なかでもロールス・ロイスとベントレー用に使用されるのは、厳選された最高級のグレードだけを使っていたとされています。
ジャガー、ランドローバーをはじめ、日本車でもコノリー社の革を採用したクルマはありますが、それらの表皮はロールス・ロイス/ベントレーへの供給に使用した残りの部位から造られていたとか。
それでもレザーシートの品質の標準より相当良質なシートを出荷し続けていました。

しかし、これほどまでに高級な内装のクルマでも、中古車として流通しているいまなら私たちでも手が届くかもしれません。
正直、コノリー社製の椅子一脚だってもっとするでしょう?という価格で買えてしまう、1980年代から1990年代に製造されたSZ系と呼ばれるロールス・ロイス/ベントレー、これは注目していただきたいクルマです。
(現在は安いですが、新車では私たちの住んでいるマンションの新築価格くらいするクルマです。整備代がヴィッツと同じわけにはいかないことだけはご注意を)
高級内装の定番木目パネルは”本物志向”にご用心

高級内装でもうひとつ思い出されるのが、木目パネルではないでしょうか。
メカニカルであるクルマという存在に、木のぬくもり、安らぎ、華やかさなど、有機的な雰囲気を与えるのがこの木目パネルです。ダッシュボードなどに使われることが多いですね。
昔は木目ではなくウッドパネル。つまり本物の木だったのです。
最近では金属の板の上に木目の板を張ったものや、樹脂に木の模様をプリントしたシートを貼ってからコーティングするというものが多いようです。最近のクルマで本当の木を使ってクルマは、かなり少数派であるといえます。
こう説明すると「なんだ、いまのクルマはフェイクなのか」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、ホンモノでない以上「はいそうです」とお答えしなくてはなりません。
ですが、最近ではかなりプリントで再現される木目の表情もリアリティが増していますし、なにより昔のようにもろにウッドを使っている場合、木が反り返ったり、木目が割れたりということが不可避でした。
そのようなことが防止できるので、じつは木目の樹脂パネルのクルマのほうが扱いが楽であるという場合も少なくないのです。
高級な雰囲気の内装で上質なカーライフを

日本では駐車場事情も良くなく、炎天下に停めなくてはならない場面も多いと思います。そんな状況下でも、割れたり、反ったりしないタフな木目パネルの誕生と普及には必然性があるのです。
たしかに本物志向を極めると、なかなか釈然としない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、背に腹はかえられません。
こうした処理がなかなか巧いのは、やはり国産車ではレクサスではないでしょうか。ウッドのあしらい方も含め、内装がなかなかいい仕上がりだと思うLSの初期型などは、200万円台でも探すことができるほどです。
そういうクルマをマイカーにすると、ちょっと上質な毎日が送れるかもしれませんね。