レクサスの最上級ミニバン「LM」徹底解説
レクサス LMは、2020年にレクサス版の高級ミニバンとして、アジア、中国地域に投入されました。
2023年年12月に日本でのデリバリーが開始され、イベントやディーラーなどで実車を目にする機会が増えたレクサス LMは、どんなクルマに仕上がっているのでしょうか?
グレードやエンジン、サイズなど、気になるところをチェックしてみました。
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- アル/ヴェルよりも大きな国内最大級ミニバン
- フロントとリアでシート素材を変えるこだわりの内装
- スマホアプリを使って車外からの操作も可能
- ショーファードリブンのあり方を変える嚆矢となる!?
レクサスの最上級ミニバン「LM」は、中国やアジア地域でのショーファードリブンMPVとして、2020年にまず中国で発表されました。
この初代LMは、残念ながら日本で販売されることはありませんでしたが、フロント部分にLMの純正パーツを移植してLMルックに仕立てたカスタマイズアルファードが現れるなど注目度の高いモデルでした。
その後、2023年4月の上海モーターショーで2代目を公開。同年12月に日本国内で販売が開始されました。
アル/ヴェルよりも大きな国内最大級ミニバン
初代同様、アルファード/ヴェルファイアをベースとする2代目LMですが、エクステリアはもちろんインテリアもまったくの別物です。
ボディサイズも、アルファードの全長4,995mm×全幅1,850mm×全高1,935mmに対し、LMは全長5,125mm×全幅1,890mm×全高1,955mmと、ひとまわり大きくなります。
パワートレインは、2.4L直列4気筒ターボエンジン(T24A-FTS型)と6速AT+モーターのフロントユニットに高出力リアモーター「eAXle」を組み合わるハイブリッドシステムを搭載。
出力は、2.4Lエンジンが最高出力202kW(275PS)/最大トルク460Nm、フロントモーターが67kW(87PS)/292Nm、リアモーターは75.9kW(103.2PS)/168.5Nmで、システム最高出力は273kW(371PS)となっています。
どこから踏んでも加速して余裕のあるパワートレーンであることは容易に想像できますが、さらに4輪の駆動力を緻密に制御する「DIRECT4」が状況に応じて最適な前後駆動力配分を行い、発進加速性、操縦安定性の向上、低燃費に貢献します。
全長5mを超えるエクステリアは、空気の流れを適正化する際に、風切り音の抑制やCd値の低減と、直進安定性、操縦安定性、乗り心地といった要素を取り入れることで、性能向上とデザインの融合を図っています。
レクサスのアイデンティティであるスピンドルボディを進化させたフロントデザインは、グリルとボディカラーを揃えることでシームレスな印象とされるとともに、ヘッドランプユニットは、上下にL字シグネチャーを採用してレクサスらしい表情を作り出しています。
サイドは、AピラーからDピラーをブラックアウトしたフローティングルーフとすることで、乗員のプライバシーは守りつつ解放感と抜けの良いフォルムを表現。リアシート付近にボリュームをもたせることで、キャビン内部の広さを強調しています。
リアは、Dピラーからリアコンビネーションランプへの流れるような動きや、前方へ傾斜したリアウィンドウにより、伸びやかなシルエットを強調。コンビネーションランプはLシェイプが採用されています。
足元は、19インチが標準で17インチをオプション設定。19インチにはスパッタリング処理の鍛造ホイールを採用し、17インチと同等の質量としてバネ下重量を低減しました。
フロントとリアでシート素材を変えるこだわりの内装
日本で販売されるレクサス LMは、2列シート4人乗りのみ。広大なスペースは、ほとんどが後席パッセンジャーのために使われます。
フロントスペースは、レクサスのコックピット思想である「Tazuna Concept」がベースとなっています。
シート表皮は、セミアリニン本革。シートヒーター&ベンチレーションを内蔵したパワーシートです。
ドライバーズシートは、ステアリングまわりに走行系機能を集約するとともに、カラーヘッドアップディスプレイを装備して、視線移動を少なくして運転に集中できる空間とされました。
インパネはドアトリムにシームレスに繋がるデザインで、モダンかつ広がりを感じさせるもの。12.3インチのTFT液晶メーターと14.1インチセンターディスプレイの配置にもこだわっています。
インテリアカラーは、サテンカッパーのアクセントを配し華やかでプレミアムなイメージの「ソリスホワイト」と、要所にダークグレイを配置してフォーマルなイメージの「ブラック」が設定されています。
表皮に最高級のL-ALININ本革を使用したリアシートは、大型ヘッドレストを完備したオットマン付きパワーシートで、シートヒーター&ベンチレーションを標準装備。ヒーターはオットマンとアームレストにまでおよび快適性を高めています。
さらにシートバックとシートクッションには背中から大腿部までを押圧できるエアブラダーにより、パッセンジャーは移動中にリラクゼーションとリフレッシュが可能です。
シート外側のアームレストには、マグネシウムに革張りの折りたたみ式テーブルを内臓。ノートパソコンなどで仕事をする際に必要なサイズになっています。
フロントとリアシートの間には、左右2画面、横長1画面、センター1画面で使用することを可能とした48インチ大型ディスプレイをセット。
上部には昇降および調光が出来るアコースティックガラスが装着されており、前席と後席を隔てるパーテーションとしての役割も担っています。
ディスプレイ下部には、500mlペットボトルなら6本、750mlのシャンパンボトルなら3本を入れられる冷蔵庫が完備されます。
またディスプレイ上部中央に温熱感IRマトリックスセンサーを配置し、パッセンジャー空間のエアコンやシートヒーターなどの一括コントロールも可能行います。
またレクサスでは初採用となる「リヤクライメイトコンシェルジュ」は、エアコン/シートポジション/サンシェード/照明などを統合制御して最適な車内環境の実現をサポートします。
「リヤクライメイトコンシェルジュ」は、4種類のプリセットモード(Dream/Relax/Focus/Energize)にくわえ、乗員の好みに応じてカスタマイズできるモードも用意し、より快適な空間を提供します。
スマホアプリを使って車外からの操作も可能
先進安全技術には最新のLexus Safety System +を装備しています。
走行中、歩行者や自転車、駐車車両などに近づかないように運転をサポートしたり、先行車との距離が近いときや、前方カーブに対して自車の速度が高い状況では、適切な距離から減速するなど、運転の状況に応じたリスクの先読みを行いトラブルや事故を回避する「プロアクティブドライビングアシスト(PDA)」をはじめ、「プリクラッシュセーフティ(PCS)」「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」「レーンディパーチャーアラート(LDA)」「セカンダリーコリジョンブレーキ(停車中衝突対応)」などがパッケージされ、万がいちに備えます。
高度運転支援技術のLexus Teammateでは、「アドバンスドドライブ」と「アドバンスドパーク」を採用。
「アドバンスドドライブ」は、高速道路や自動車専用道路でレーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)、およびレーントレーシングアシストを作動させている場合、渋滞を検知すると車両が自動的に支援を開始する機能。
「アドバンスドパーク」は、並列駐車とバック駐車にくわえ、前向き駐車とバック出庫を可能とし、さらにスマホのアプリを使った駐車や出庫も可能です。
たとえばリアゲートを開閉するスペースがないので、ちょっとだけ車を前に出したいというような状況にも対応できます。
ショーファードリブンのあり方を変える嚆矢となる!?
車両本体価格2000万円!という高級車なので、その多くが法人ユーザーになると予想されるレクサスLM。
ここまで作り込まれると、心配になってくるのがフラッグシップであるLSの存在です。
サスペンションやボディの静粛性に対する作り込みなど、LSを凌駕してしまうのではというくらい、すべてにおいて優れていそうな勢いです。
今後、世界中のショーファードリブンに一石を投じる車であることには間違いなさそうです。