【ライター解説】日本に特化して進化を遂げたトヨタ・クラウン。15代目モデルの魅力を解説!【動画あり】
初代デビューは1955年と、なんと65年も前。トヨタ クラウンの初代モデルは、戦後初の国産技術だけでつくられた乗用車でした。
そんなクラウンも15代目となり、パワートレインはハイブリッドがメインとなりました。「車選びドットコムYouTube」では、そんな15代目クラウンのチェックしました!
▼クラウンの紹介動画はこちらをチェック!
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なんと、9割以上の人がハイブリッドを選択
日本を代表するセダン、クラウン。突然ですが、クラウンの販売においてハイブリッド比率はどのくらいだと思いますか?
9割以上がハイブリッド(2021年1月~6月の販売実績)と聞けば、多くの人は驚くのではないでしょうか。
15代目クラウンには、2.0Lのターボエンジン(4気筒)、2.5Lエンジン+モーターのハイブリッド、そして3.5Lエンジン+モーターのハイブリッドと3タイプのパワートレインを用意していますが、なんと、2.5Lエンジン+モーターのモデルが9割弱を占めるのです。
ちなみにハイブリッドのキャラの違いですが、2.5Lエンジンは4気筒で効率重視、3.5Lエンジンは6気筒でパワー重視の味付けです。
前者がエンジン184ps+モーター143psに対し、「レクサスLS」と同じユニットを組み込む後者はエンジン299ps+モーター180psとその差は歴然。3.5Lモデルの高い動力性能は魅力ですが、価格も大幅に高くなるのでバランスを考えて2.5Lハイブリッドを選んでいるオーナーが多いということでしょう。
国内専用車ならではのメリットは?
そんなクラウンの15代目モデルは、国内専用車となっています。
先代は「マジェスタ」をベースとした仕様が中国にも導入されていましたが、新型は未導入(中国向けは先代ベースの独自進化版を展開している)。つまり、日本のユーザーだけを見て作られた稀有なセダンなのです。
日本専用モデルだからこそ実現できたことのひとつが、車体サイズ。全幅は1,800mmで、これは日本では“格下”となる「カムリ」の1,840mmよりも狭いのです。
それには日本の狭い道路事情にくわえ、駐車場問題も関係しています。
マンションの駐車場が機械式立体であることは珍しくないですが、なかにはそのパレットの全幅制限が1,800mmというタイプも存在するのです。でも、クラウンなら最新モデルでもそこに問題なく収まるというわけです。
これが輸入車となると、大型車じゃなくても全幅1,800mmを超えることが珍しくないのですから、クラウンがいかに日本向けセダンとして踏ん張っているのかわかります。
ちなみにプラットフォームの基本設計は、「GA-L」と呼ばれるレクサスLSと同じトヨタ最新の後輪駆動用を使っています。
いっぽうで15代目クラウンは、クラウンの歴史において革命児といっていいでしょう。
たとえばプロポーション。先代までのクラウンに比べてグッと伸びやかで、Cピラーを寝かせたいまどきのセダンスタイルになりました。
「クラウンのCピラーは太い」という過去の常識を覆す細いCピラーも賛否両論となっていますが、セダンを取り巻く環境はどんどん変わるのですから、伝統に縛られるだけではなく進化していかないといけないのではないでしょうかね。
もうひとつ大きな変化がグレード名。従来は快適仕様が「ロイヤル」系、スポーツタイプが「アスリート」でした。
しかし15代目では前者が「G」や「S」、後者は「RS」と刷新。5代目から10世代にわたって使われていた「ロイヤルサルーン」という名称は揺るぎない知名度を誇りましたが、15代目で『伝統と決別』しました。
2020年のマイチェンでインパネを刷新
それでは運転席に座ってみましょう。
おっ!と思ったのは着座位置。先代までの何世代かはセダンとしてはちょっと高めの着座位置としていましたが、新型は低くなっています。
これは「セダンらしさの強調」とのこと。昨今、セダンはドライビングポジションを低めにしてセダンの原点へ回帰するのが一緒のトレンドですが、クラウンもそこに則ったようです。
ちなみに上級グレードは運転席から助手席側面のスイッチに手を伸ばして助手席のリクライニングを電動調整できるようになっていますが、これは後席に座る人のために助手席を畳む操作をするのが正しい使い方です。
メーターは文字盤が浮かび上がって見えるグラフィックが独特ですね。これは実物を見ないと伝わりにくいので、一見の価値アリです。
インパネ関係は、2020年11月のマイナーチェンジで刷新されました。これまでナビ用と設定操作用で2枚の液晶ディスプレイを備えていましたが、1枚に統一。そのかわり、12.3インチとトヨタ最大サイズの画面となりました。とにかく大きい!
そしてエアコンの基本操作がタッチパネルではなく物理スイッチとなったことで、操作性がよくなりましたね。
後席は居心地がいい! 走りにも納得。
後席はどうでしょう。
土屋圭市さんと沢すみれさんの印象はまず「高級な感じがする」。質感の良さには二人とも納得のようです。沢すみれさんが「いい~」と連発している様子からも、かなり心地よさを感じているようですね。
広さに関しては、正直なところ車体サイズを考えるとちょっと物足りない感覚はあります(狭いわけではありません)。実はカムリのほうが足元は広いのですが、それはパッケージングの違い。駆動レイアウトがFRのクラウンに対し、カムリはFFでパッケージング効率がいいのです。
いっぽうでクラウンのこだわりの美点も。それはシートの座り心地。
昨今のハイブリッドカーはパッケージング向上を狙って後席座面下に駆動用バッテリーを置くことが増えています。しかし、それはクッションを薄くすることで乗り心地悪化の原因の一つに。そこでクラウンは、座り心地重視で座面下にバッテリーを置かない道を選んだのでした。
座り心地の良さには土屋圭市さんも納得のようです。
走りはどうでしょう?
「乗り心地がいい。さすがはクラウン。」
「トヨタはいつからこんなにいいクルマを作るようになったんだろうね。」
土屋圭市さんのそんな言葉を聞けば、クラウンの動的性能の高さをイメージできるのではないでしょうか。
ボディがしっかり作られ、サスペンションもスムーズに動く。クラウンに乗っていると、基本をしっかりと磨き上げて走りを作り込んできていることが理解できます。プラットフォームの素性がいいですね。
パワートレインは2.5Lハイブリッド車では驚くほどの加速感などはありませんが、必要にして充分なパワーとトルクをスムーズに引き出すことができます。
日本人のための高級セダン。時代が変わってもクラウンはそんな立ち位置が変わらないことを再認識しました。