【プロ解説】高級クロスオーバーSUVといえば…クラウン スポーツ VS ハリアー徹底比較

トヨタ クラウン スポーツは、4タイプ用意された新型クラウンのなかで、もっともエモーショナルでスポーティな走りが楽しめるモデルとして発売されました。
このクラウン スポーツ同じプラットフォームを使って先にデビューした大人気SUVが4代目ハリアー(80系)です。
長年、トヨタの高級クロスオーバーSUVを牽引してきたハリアーと、新型クラウン スポーツを徹底比較します。
- Chapter
- クラウン スポーツとハリアーをボディサイズと価格で比較
- クラウンスポーツとハリアーの室内寸法はほぼ同じ
- 高級感は互角、デザインアプローチが異なるクラウンスポーツとハリアー
- ハイブリッドのバッテリーに違いアリ
- 100万円近い価格差を埋めてもあまりあるクラウン スポーツ
クラウン スポーツとハリアーをボディサイズと価格で比較
ハリアーは、トヨタのなかでは高級クロスオーバーSUVのトップモデル。世界的な市場もけん引してきた重要なモデルです。
クラウン スポーツは、そんなハリアーの上位に位置するモデルとして投入されました。
車両本体価格は、クラウン スポーツのハイブリッド車(SPORT Z)が590万円、PHEV車は765万円。
対するハリアーは、ガソリン車が312万8000円から用意されていますが、同じハイブリッド車の4WDモデル(E-Four)となると、Gグレードが433万9000円、上位グレードのZが484万8000円。
クラウンスポーツと同じ本革内装となる”Z”レザーパッケージを選んでも514万8000円です。
ちなみにハリアー PHEVは620万円で、クラウンスポーツのハイブリッド車とPHEV車のあいだに位置します。
ボディサイズは、クラウン スポーツが全長4,720mm×全幅1,880mm×全高1,565mm、ホイールベース2,770mm、最低地上高は160mm。
※画像はすべてハリアー PHEV
いっぽうハリアーは、全長4,740mm×全幅1,855mm×全高1,560mm、ホイールベース2,690mmに、最低地上高は190~195mmです。
クラウン スポーツはハリアーにくらべて、全長ー20mm、全幅+25mm、全高−5mmと、若干ですがワイド&ローのスポーティなスタンスです。
クラウンスポーツとハリアーの室内寸法はほぼ同じ


室内空間は、クラウン スポーツが室内長1,850mm×室内幅1,540mm×室内高1,175mm、ハリアーは室内長1,880mm×室内幅1,520mm×室内高1,215mmとほぼ互角です。
ラゲッジルームの容量(5人乗車時)は、クラウンスポーツの397Lに対し、ハリアーは408~409Lと、ハリアーが上回っており、実用性も高そうです。
とはいえ前後のカップルディスタンスを見ると、クラウン スポーツの920mmに対し、ハリアーは900mmと、クラウン スポーツは後席の居住性を考えて設計されていることがわかりますし、このあたりがラゲッジ容量にも関係しています。
高級感は互角、デザインアプローチが異なるクラウンスポーツとハリアー
インテリアデザインは、クラウン スポーツがディスプレイやシフトなどの各種機能をまとめて島(アイランド)のように配置する”アイランドアーキテクチャー”と、インパネのアンシンメトリーデザインが特徴です。
ハリアーは、馬の鞍をイメージした幅広く堂々としたセンターコンソールを採用。それを挟み込むインストルメントパネルとの組み合わせが“大らかな逞しさ”を演出し、個性を強調しています。
メーターの12.3インチTFT液晶マルチインフォメーションディスプレイと12.3インチディスプレイオーディオ(コネクテッドナビ対応)Plusの組み合わせは同じですが、ハリアーはZグレードだけの装備です。
頭上のパノラマルーフはどちらも固定式で、ハリアー(Z“Leather Package”、Zにオプション設定)にのみ調光機能が付きます。
オーディオは、クラウン スポーツが10スピーカー/8chオーディオアンプのトヨタプレミアムサウンドシステムを標準で装備。
ハリアーにも、8chスピーカー&ダブルツィーターという同様のシステムが用意されているものの、こちらはオプションです。
ハイブリッドのバッテリーに違いアリ

パワートレーンは、クラウン スポーツが、2.5L直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドシステムと、2.5L プラグインハイブリッドシステムの2つ。
ハリアーは、2.5Lハイブリッドシステムと、2.5L プラグインハイブリッドシステムに、2.0Lガソリンエンジンが加わりますが、ここでは同じユニットを使うハイブリッドを中心に比較します。
トランスミッションはいずれもCVT。駆動方式は、クラウン スポーツが4WDのE-Fourのみ、ハリアーはE-Fourと2WDが選べます。

2.5Lハイブリッドシステムは、その基本システムこそ同じですが、バッテリーがバイポーラ型ニッケル水素電池とリチウムイオン電池という違いがあります。
クラウン スポーツに採用されるのがバイポーラ型ニッケル水素電池で、従来のニッケル水素電池よりも出力の向上とコンパクト化が見込めるとあって、レクサスを中心に搭載が進んでいる新しい技術です。
ハリアーのバッテリーは、実績のあるリチウムイオン電池で、容量は259kWhです。
結果、システム最高出力はクラウン スポーツが172kW(234PS)を発生しているのに対し、ハリアーは2WDが160kW(218PS)、E-Fourは163kW(222PS)となっています。
PHEV車のバッテリーは、クラウンスポーツ、ハリアーともにリチウムイオン電池です。
気になる燃費性能(WLTCモード)は、クラウン スポーツのハイブリッドが21.3km/L、PHEVは20.3km/L。ハリアーは、ハイブリッドが21.6~22.3km/L、PHEVが20.5km/L、2.0Lガソリン車は14.7~15.4km/L。
ハイブリッド車やPHEVの燃費性能で、ハリアーのほうが若干上回っているのは、車両重量や装着しているタイヤサイズが影響してそうです。

運転支援システムは、いずれもToyota Safety sense(トヨタセーフティセンス)を標準装備しますが、クラウン スポーツには、先行車やカーブに対して減速支援とステアリングの支援を行う、プロアクティブドライビングアシスト[PDA]が追加された最新のシステムになります。
またトヨタチームメイトは、クラウン スポーツのみの装備です。
100万円近い価格差を埋めてもあまりあるクラウン スポーツ


よりすぐられた装備品とDRSを始めとした先進の電子デバイス、さらに最新の安全運転支援システムをそなえたクラウン スポーツは、クラウンというブランドに相応しい質の高さで、高級クロスオーバーの代名詞ともなっているハリアーを凌駕する性能が与えられました。
そういったことを考えると、2台の価格差は納得できるものとなっています。クラウン スポーツが見据える本当のライバルは、ジャーマンブランドのSUVなのかもしれません。