【プロ解説】日本のLサイズミニバン、ホンダ オデッセイと日産 エルグランドを比較

2022年にいったん販売を中止した後、2023年12月に市場に再投入されたホンダ オデッセイ。
国内のLクラスミニバン市場では圧倒的シェアを誇るトヨタのアルファード/ヴェルファイアがライバルですが、中古車で狙うなら値落ちの少ないアルファード/ヴェルファイアよりも、お得感は上。
そんな中古でお得感の高いLクラスミニバンとして、日産 エルグランドを比較対象車にピックアップしてみました。
FRからFFプラットフォームに変更して大変革を遂げた現行型エルグランド

現行型の日産 エルグランドは2010年8月に登場しました。
プラットフォームをFRベースからFF(前輪駆動)ベースに刷新して、低床化による車内空間の拡大と、車両の低重心化を実現して商品力を高めていました。
しかし2014年には、早くもビックマイナーチェンジが行われ、エクステリアデザインの変更、インテリアの質感アップと3列目シートに240mmのスライド機能を追加。
さらにラゲッジボードの高さを床面に合わせ、ゴルフバックを縦に最大6個積載できるように変更するなどしましたが、アルファード/ヴェルファイアの牙城を崩すには至りませんでした。
直近のマイナーチェンジは2020年10月で、内外装のデザインを一新するとともに、「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」や「踏み間違い衝突防止アシスト」などの先進安全装備で構成される従来の「360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム)」にくわえて、前方2台前の車両を検知し、急な減速などにより自車の回避操作が必要と判断した場合には、警報によってドライバーに注意をうながす「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」をはじめ「インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)」「BSW(後側方車両検知警報)」「RCTA(後退時車両検知警報)」が標準装備となりました。
さらに2024年発売の現行モデルには「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物検知機能付)」と「ディスプレイ付自動防眩式ルームミラー」を全車標準装備するなど、近年は安全性を中心に商品力を高めています。
エルグランドに搭載されるパワートレインは、3.5L V6ガソリンエンジンと2.5L 直4ガソリンエンジンの2つ。組み合わされるトランスミッションはCVTで、駆動方式は2WDと4WDを選ぶことができますが、ハイブリッドはありません。
価格帯の近い2台を比較
ここでは、オデッセイの最上級グレードにあたる「オデッセイ e:HEV アブソルート EX ブラックエディション」と、「エルグランド 250ハイウェイスター プレミアム アーバンクロム」を比較します。
車両本体価格は、オデッセイ e:HEV アブソルート EX ブラックエディションが516万4500円、エルグランド 250ハイウェイスター プレミアム アーバンクロムが507万7600円です。
いずれも室内は2列目にキャプテンシートを搭載した7人乗り。駆動方式はFFです。
ボディサイズはエルグランドが上だが室内は…
まずボディサイズは、オデッセイが全長4,860mm×全幅1,820mm×全高1,695mm、エルグランドは全長4,975mm×全幅1,850mm×全高1,815mm。
ホイールベースはオデッセイの2,900mmに対し、エルグランドは3,025mmと、すべてにおいてエルグランドがひと回り大きくなっています。
パワートレインは、オデッセイが最高出力107kW(145ps)/最大トルク175Nmの2.0Lガソリンエンジンと、最高出力135kW(184ps)/最大トルク315Nmのモーターを組み合わせたハイブリッドシステムのe:HEV。
エルグランド 250ハイウェイスターは、最高出力125kW(170ps)/最大トルク245Nmを発生する2.5L直4エンジンです。
燃費性能(WLTCモード)は、オデッセイの19.8km/Lに対して、エルグランドは10.0km/Lとほぼ半分。しかもエンジン排気量が大きいので、毎年の自動車税も高くなります。
室内の寸法は、オデッセイの室内長2,935mm×室内幅1,625mm×室内高1,325mmに対し、エルグランドは室内長3,035mm×室内幅1,580mm×室内高1,300mmと、前後にゆとりがあります。
装備は、オデッセイ e:HEV アブソルート EX ブラックエディションが本革シート&インテリア、2列目パワーシート+シートヒーター、ハンズフリーアクセスパワーテールゲートが標準。
エルグランド 250ハイウェイスター プレミアム アーバンクロムは、本革シート、助手席オットマン、リモコンオートバックドアなど。
運転席&助手席に加えて2列目もパワーシートとシートヒーターを搭載したオデッセイは、快適さという点でエルグランドをリードしています。

運転支援機能はオデッセイが11の機能で構成されるHonda SENSING(ホンダセンシング)、エルグランドはインテリジェントエマージェンシーブレーキをはじめとした9つの機能を搭載した360°セーフティアシストをそれぞれ標準装着しています。
デビューは2013年ながらホンダコネクトも標準装備するなど、現代的にアップデートが進んでいるオデッセイに対し、エルグランドにはコネクテッドサービスの用意がないなど、やや物足りない印象です。

エルグランドにくらべて、さまざまな機能が時代にあわせてアップデートされているオデッセイ。
中古車での流通価格を考えると、アルファード/ヴェルファイア以外のLクラス高級ミニバンの選択肢としてアリなのではないでしょうか。