【プロ解説】同じ3列シートといっても海と山ほど違う2台を比較。マツダ CX-80 vs 日産 エクストレイル
マツダ CX-80は、CX-8の後継として2024年10月に発売された3列シートのクロスオーバーSUVです。
ライバルは、当然3列シートを持つSUVになるわけですが、残念ながら国内には数えるほどしかありません。
そのなかから、独自の電動化技術「e-POWER」で注目される日産 エクストレイルをピックアップして徹底比較します。
- Chapter
- 最新の電動化技術が盛り込まれた日産 エクストレイル
- 3列シート専用車のCX-80は全長が30cm以上長い
- アクセルの踏みはじめから最大トルクを発生するe-POWER
- アクティブなエクストレイルとラグジュアリーなCX-80
- 3列シートの使い方でおすすめが変わる
最新の電動化技術が盛り込まれた日産 エクストレイル
現行型の日産 エクストレイル(T33型)は、e-POWER 専用車として2022年にデビューしました。
エンジンで発電し、電気モーターで走行する第2世代e-POWERには、可変圧縮比エンジンの1.5L直列3気筒VCターボを組み合わせ、圧倒的な静粛性を獲得。
クルマの基本骨格にあたるプラットフォームも刷新され、高剛性なボディと徹底した遮音構造によって、これまで以上の走りを実現しました。
駆動方式は2WD(FF)と、4WDには前後の高出力モーターと左右のブレーキを統合制御して、日常使いからオフロードや雪道まであらゆるシーンや路面状況において、安心感とワクワクした走り、さらに乗る人すべてに快適な乗り心地を提供するe-4ORCEが搭載されます。
室内のシート配列は、2列シートを基本に「X」グレードの4WDモデル「e-4ORCE」にのみ3列シートが設定されます。
3列シート専用車のCX-80は全長が30cm以上長い
今回試乗したCX-80 XD-HYBRIDの上位グレードPremium Modernと比較するのは、オーテックが手掛けるエクストレイル X e-4ORCE エクストリーマー Xです。
車両本体価格はCX-80が640万2000円、エクストレイル エクストリーマー Xは462万3300円の車両価格にプロパイロット緊急停止支援システム「SOSコール」(28万3800円)が追加されて490万7100円の仕様です。
ボディサイズは、エクストレイルが全長4,665mm×全幅1,840mm×全高1,720mmに、ホイールベースは2,705mm。
3列シート専用車として設計されたCX-80は、全長4,990mm×全幅1,890mm×全高1,710mmに、ホイールベースは3,120mmで、ホイールベース、全長ともに300mm以上長くなっています。
アクセルの踏みはじめから最大トルクを発生するe-POWER
パワートレインは、エクストレイルが、1.5L VCターボエンジンを使うe-POWERに、電動駆動4輪制御技術のe-4ORCEの組み合わせ。
フロントに最高出力150kW(204PS)と最大トルク330Nm、リアは最高出力100kW(136PS)と最大トルク195Nmをそれぞれ発生する高出力モーターを配置して、モーター駆動らしい、力強く、なめらかな走りを実現するとともに、高い静粛性と18.3km/Lという優れた燃費(WLTCモード)性能を獲得しています。
対するCX-80のXD-HYBRIDは、最高出力187kW(254PS)と最大トルク550Nmを発生する3.3L直列6気筒ディーゼルターボエンジンに、最高出力12kW(16.3PS)と最大トルク153Nmを発生するモーターを組み合わせるマイルドハイブリッドシステム。
500Nmを超える図太いトルクにモーターアシストが加わったことで、2トンを超える重量級の車体を感じさせないスムーズな加速が魅力で、燃費(WLTCモード)は19.0km/Lを実現しています。
エンジンがメインのCX-80に対して、エンジンで発電し、その電力でモーターを駆動させて走行するエクストレイルは、スポーツカーのような走り。CX-80は高級車的なフラットでスムーズな印象で、キャラクターの違いがはっきり現れます。
アクティブなエクストレイルとラグジュアリーなCX-80
装備面では、エクストレイルX e-4ORCE エクストリーマーXは、アウトドア志向のグレードらしく、セルクロスの防水シート。
さらに寒冷地仕様を選べば、フロントにくわえセカンドシートがヒーター付きになると同時に、ステアリングヒーター、リアヒーターダクトなどが装備されます。
いっぽうCX-80は、高級なナッパレザーをシート表皮に使用し、フロントシートだけでなく、セカンドシートも電動リクライニング機構を装備。
さらに、パノラマサンルーフ、AC150W電源、BOSEサウンドシステムなど快適装備が充実しています。
安全装備は、エクストレイルがすべての方向の安全を確保する「360°セーフティーアシスト(全方位運転支援システム)」を採用。「ナビリンク機能」を追加した「プロパイロット」とあわせて、さまざまなシーンで安心なドライブをサポートします。
CX-80は、マツダの先進安全技術「i-ACTIVSENSE」の最新バージョンを採用。周囲の状況を搭載されたセンサーやカメラによって把握することで、クルマが危険を予測し、ドライバーに警告、運転操作をサポートすることで、事故のリスクを最小限に抑えるとともに、ドライバーの負担を軽減します。
3列シートの使い方でおすすめが変わる
日産 エクストレイルX e-4ORCE エクストリーマーXとマツダ CX-80 XD-HYBRID Premium Modernでは、車両価格に150万円近い差がありますが、これは装備の違いがおおきく、ディーゼルターボのXD L Package(4WD)になると、車両本体価格501万6000円とその差は10万円ほどに縮まります。
維持費のなかでも気になる燃費は、18.3km/Lと19.0km/Lとそれほどおおきな差はないものの、毎年納めることになる自動車税は、排気量の大きなXC-80が5万7000円なのに対し、エクストレイルは3万500円とリーズナブルです。
もしも3列シートを頻繁に使用するというのであれば、ボディサイズが大きく3列シートレイアウト専用に開発されたCX-80のほうが快適で使い勝手も優れますが、サードシートは普段使わずあくまでもエマージェンシー的な使い方ができれば良いのであれば、エクストレイルを選ぶのもアリだと思います。