カングーに続け!日本未導入の欧州MPVおすすめ5選
先代ルノー カングーは、日本での欧州製MPVのイメージをガラッと変えた功績車です。
カングーのヒットによって、ステランティスグループもMPVの輸入販売を開始するなど注目が集まっています。
商用ベースゆえのネガはあるものの、適度なサイズと道具感をあわせ持つ欧州製MPVは、じつは日本のユーザーにおすすめ。
そんな欧州製MPVのなかから日本未導入の5台ピックアップしました。
- Chapter
- なぜ欧州では“商用車ベースMPV”が支持されたのか
- フォルクスワーゲン キャディ(VW Caddy)
- トヨタ プロエース シティ(TOYOTA Proace City)
- メルセデス・ベンツ Tクラス(Mercedes-Benz T Class)
- フォード トルネオ コネクト(Ford Tourneo Connect)
- 日産 タウンスター(NISSAN Townstar)
- 何台かは日本でもヒットしそう
なぜ欧州では“商用車ベースMPV”が支持されたのか
日本で「ミニバン」と聞けば、アルファードやセレナのようなファミリーカーを思い浮かべる人が多いでしょう。
広い室内空間に豪華なシート、高い静粛性。国産ミニバンは、“移動するリビング”ともいえる快適性を競い合っています。
いっぽうで欧州で支持されてきたMPV(多目的乗用車=マルチ・パーパス・ビークル)は、その価値観が大きく異なります。
代表的なのが、ルノー カングーやシトロエン ベルランゴ、フィアット ドブロといったモデル。これらのクルマに共通するのは、もともと小型商用車(LCV=ライト・コマーシャル・ビークル)をルーツに持っていること。
つまり欧州のMPVは、“商用車を快適にしたクルマ”として発展。ここが日本のミニバンと異なるところです。
その背景にあるのは、欧州独特の“実用主義”です。欧州では古くから、配送業や職人向けの小型商用車が街中で広く使われてきました。そして、その合理性をそのまま乗用車として受け入れる文化があります。
日本では商用車といえば、仕事用の面白みのないクルマというイメージですが、欧州では“道具として優れていること”自体が大きな価値になります。
実際、カングーやベルランゴは、SUVほど気を使わず、ステーションワゴンより荷物が積める。自転車やキャンプ用品、ベビーカーなども気軽に積み込めるため、“生活に寄り添うクルマ”として支持されています。
日本のミニバンが“快適性”を磨いてきたクルマだとすれば、欧州MPVは“利便性”を突き詰めてきました。そんなMPVのなかから日本未導入だけど、輸入されたらヒットしそうな、おすすめの5台をピックアップして紹介します。
フォルクスワーゲン キャディ(VW Caddy)
欧州MPVを語るうえで欠かせない存在が、フォルクスワーゲン キャディです。
ルーツは、ゴルフ1をベースにしたピックアップトラックで、そこから商用車として進化を続け、2020年にフルモデルチェンジを受けた現行モデルは4代目にあたります。
現行型キャディ最大の特徴は、フォルクスワーゲンの乗用車向けプラットフォーム「MQB」を採用し、より乗用車的な性格を強めたMPVへと進化したこと。
バンベースモデルにありがちだった商用車感を薄め、走行性能や快適性を大幅に向上。ルノー カングーやシトロエン ベルランゴが“道具感”を色濃く残しているのに対し、キャディはより“乗用車に近いMPV”として仕立てられています。
運転感覚は、高速安定性や操縦性へのこだわりが強く、長距離移動でも疲れにくいなど、“走り”を重視するフォルクスワーゲンらしさが色濃く表れています。
もちろん、広大なラゲッジスペースや多彩なシートアレンジなどMPVとしての実用性もしっかり確保。 “積める道具”としての合理性も十分。先進運転支援機能も搭載されています。
乗用モデルに近い快適性や安全装備を備えながら、商用車由来の実用性も失わない。このバランス感覚こそキャディの大きな魅力です。
ちなみに欧州では、キャンパー仕様の「キャディ カリフォルニア」も展開。簡易ベッドキットなども用意されており、“遊べる実用車”としてアウトドア層からも高い支持を獲得しているほか、4WDモデルの4MOTIONも設定され、雪道や山間部などでも使いやすい仕様が用意されています。
パワートレインはディーゼルが中心ですが、一部市場ではガソリンモデルやCNG(天然ガス)仕様も展開されています。
フォルクスワーゲンらしく、実用車を、真面目に、高品質に作り込む “質実剛健”なキャラクターこそ、キャディが欧州で長年支持され続けている理由です。
トヨタ プロエース シティ(TOYOTA Proace City)
欧州市場向けに展開されているトヨタのLCVがプロエースです。多人数乗車のMPVは、プロエース シティというネーミングで販売されます。
日本ではほとんど知られていない存在ですが、シトロエン ベルランゴ、プジョー リフター、フィアット ドブロ、オペル コンボ、そしてプロエース シティが同じステランティス系プラットフォームを共有しています。
キャラクターは、ベルランゴがフランス車らしい遊び心やライフスタイル感を打ち出しているのに対し、プロエースシティはより実用的で堅実な印象。フロントデザインも落ち着いた雰囲気です。
それでも、スクエアなボディによる高い積載性や、両側スライドドアによる使いやすさ、広大なラゲッジスペースなど、欧州MPVらしい合理性はしっかり受け継がれています。
ロングボディ仕様も設定されており、用途に応じて積載性を重視した選択も可能。
パワートレインは市場によって異なり、1.2Lのガソリンターボをメインに、1.5LディーゼルとEV仕様「プロエース シティ エレクトリック」を用意します。
MPV的な演出やプレミアム感よりも「どれだけ合理的に使えるか」を重視したキャラクターのプロエース シティは、トヨタが欧州市場に合わせて投入した、“実用性重視の欧州型MPV”なのです。
メルセデス・ベンツ Tクラス(Mercedes-Benz T Class)
メルセデス・ベンツ Tクラスは、2022年に登場した欧州向けMPVです。ルノー カングーをベースに開発されました。
ただし、フロントデザインはもちろん、インテリアの質感や装備内容も大幅に変更されており、カングーが親しみやすい道具感を持つのに対し、Tクラスはメルセデスらしい上質感を強く打ち出すなど、“プレミアムMPV”として仕立てられているのが特徴。
いっぽうで、LCVルーツならではの実用性はそのまま。Tクラスは、「商用車由来の合理性」と「メルセデスの上質感」を融合したモデルとなっています。
このTクラスを語るうえで欠かせないのが、商用モデル「シタン」の存在です。2012年に登場した初代シタンは、ルノー カングーのプラットフォームを共用し、“働くメルセデス”として欧州で展開。
2代目へと進化した際にTクラスを投入、同時にシタン=商用向け、Tクラス=ファミリー向けと差別化を図りました。
パワートレインは、1.3Lのガソリンターボと1.5Lディーゼルターボ、加えてEV仕様の「EQT」が設定されます。
商用車由来であることを隠さず、むしろ実用性を魅力として打ち出しているTクラスは、高級ブランドでありながら、“道具感”を否定しない。その独特な価値観こそTクラスの魅力と言えるでしょう。
フォード トルネオ コネクト(Ford Tourneo Connect)
フォード トルネオ コネクトは、欧州市場向けに展開されている小型MPVです。フォルクスワーゲン キャディと同じMQBプラットフォームを共有する兄弟車です。
フォルクスワーゲン キャディが質実剛健さや乗用車的な上質感を重視しているのに対し、トルネオ コネクトはより親しみやすく、実用車らしいキャラクターを前面に押し出しています。
ボディは3タイプ用意され、トルネオ コネクトのほか、ショートボディで5人乗りの「トルネオ クーリエ」、ロングボディで8−9名乗車の「トルネオ カスタム」が選べます
パワートレインは、1.5Lガソリン、2.0Lディーゼルに、PHEV(プラグインハイブリッド)を用意。なかでもPHEV仕様は、都市部ではEV走行を活用しながら、長距離移動にも対応できる実用性が魅力です。
日産 タウンスター(NISSAN Townstar)
日産 タウンスターは、2021年にデビューした欧州向けMPVです。基本設計はカングーと共通で、ルノー・日産・三菱アライアンスによって開発されたことから、“日産版カングー”ともいえる存在になっています。
デザインは、カングーがフランス車らしい柔らかな雰囲気を持つのに対し、タウンスターはより直線的で実務的。フロントマスクも日産らしいデザインで、どちらといえば商用車っぽいキャラクターとなっています。
パワートレインは、1.3Lのガソリンターボと1.5Lディーゼルターボ、加えてEV仕様「Townstar EV」も設定されています。
MPVとしての実用性はカングー譲りで、スクエアなボディによる高い積載性、両側スライドドアの使いやすさ、広大なラゲッジスペース、商用車由来の合理的パッケージなど、“欧州LCV文化”を色濃く感じられる1台となっています。
また、日本のカングーファンにとって興味深いのが2台の共通性です。現地仕様を見る限り、ステアリング周辺やインパネ構成など、カングーと共通する部分も少なくありません。
日本導入の可能性は高くありませんが、もし並行輸入されれば“カングーとは少し違う個性”を持つ選択肢として面白い存在になりそうです。
何台かは日本でもヒットしそう
メルセデス・ベンツのTクラスは、現行カングー以上に人気も出そうですし、トヨタ プロエースシリーズが日本で販売されれば、全国のトヨタディーラーでメンテナンスしてもらえるなどと妄想は広がりますが、現在のところ導入の予定はなく、どうしてもほしい場合は並行輸入で手に入れるしかありません。
とはいえ、日本ではほとんどの人が知らない、乗ってない車に乗るという優越感はバリューが高いとも考えられますので、気になる方は並行輸入業車さんの門戸を叩いてみてはいかがでしょうか。



























