【ライター解説】希少なFRセダン、レクサス・IS350 Fスポーツを徹底解説!マイナーチェンジ後のスタイリングは?【動画あり】

グローバルでカウントすると3世代目、日本市場でいうと2代目となるのが2013年に発売された「レクサスIS」です。
2020年11月のマイナーチェンジでは、フルモデルチェンジかと勘違いしそうなほどエクステリアのデザインが変更されて気分一新。
プレミアムブランドの小型セダンとして上質なインテリアも魅力ですが、いまや希少となった後輪駆動セダンであること、大排気量の自然吸気エンジンを搭載することも大きな特徴です。
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マイナーチェンジでスタイリング刷新

ここまで大胆に生まれ変わるとは!
2020年11月に大規模マイナーチェンジを受けた「レクサスIS」に触れると、多くの人はそんな感想を抱くのではないでしょうか。
今回の変更は、あくまでフルモデルチェンジではなくマイナーチェンジです。
しかし、スタイリングを刷新。従来モデルから変わっていないのはフロントウインドウを挟む「Aピラー」、前フロントドアの後ろにある「Bピラー」、そしてAピラーとBピラーの間のルーフ程度。
外観において、それ以外の見える部分はすべて新しいデザインになっているのだから驚きです。もはやフルモデルチェンジと言っていいくらいの変身っぷりですね。

なかでも注目は、リヤフェンダー。従来モデルに比べて片側で15mmも張り出しが増したのです。
左右あわせると全幅で30mmも広がり、鍛えられた筋肉を感じさせる力強さ。同時にタイヤも外側へ張り出してトレッドが広がったことで、運動性能も向上しています。
もうひとつ、外観でぜひチェックすべきポイントはトランクリッド周辺の造形。
この複雑なプレスは難しく、トヨタやレクサスとしてもはじめての生産技術を導入したことで実現しています。凝っていますよね。

そんなレクサスISは、レクサスでももっとも小さな後輪駆動(とそれをベースにした4WD)のスポーツセダンです。
グローバルで見ると現行モデルは3世代目で、初代がデビューしたのは1999年。日本では「レクサスIS」ではなく「トヨタ・アルテッツァ」として販売されていました。
その後、2005年に日本でもレクサスが始まると同時に2代目へシフトし、そのモデルが日本では初代モデルとなります。
3代目が登場したのは、2013年5月。(海外では初代モデルとなる)アルテッツァ時代から数えると、世界では20年ほどで約110万台が販売されています。
コンパクトFRスポーツという魅力

レクサスISの特筆すべき部分は、今や世界的に希少となった小型のFR(フロントエンジン・リヤドライブ=後輪駆動)のセダンということでしょう。
かつては一般的だったFRセダンですが、最近はすっかり数が減ってしまいました。
同じ全長でも室内を広くできるなど、パッケージング効率を考えればFRではなくFFになるのは当然といえますが、いまやレクサスISほどの車体サイズでメジャーな後輪駆動車と言えばメルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」、そしてアルファロメオ「ジュリア」、ジャガー「XF」、そしてキャデラック「CT4」程度。
こうして車名を上げればそれなりに多く存在するようにも感じられますが、世界を見回してもこの程度しかないと言い換えれば、レアな存在だとわかります。
なぜ、後輪駆動がいいのか?
それはすべて運動性能のためといっていいでしょう。たとえば土屋圭市さんが得意とするドリフト走行など、ダイナミックな走りは後輪駆動、もしくは後輪駆動ベースの4WD車だけが楽しめる特権です。
また、ステアフィールに優れ、スッと曲がるような感覚も後輪駆動車ならではの運転感覚。
レクサスISのような後輪駆動車は、前輪駆動車に比べてパッケージングとしては不利で、駆動系の製造コストも多めにかかりますが、そんなウィークポイントがありつつも走りの楽しさのために凝っているクルマ作りと言えます。
レクサスISのような後輪駆動のスポーツセダンを選ぶということは、そういうことなのです。
新たにタッチパネルのナビを採用

レクサスISの最新モデルは、インテリアもリフレッシュしました。
たとえばダッシュボードの左右端にあるエアコン吹き出し口は、四角から丸型になってコックピットがスポーティな印象に。
センターディスプレイは10.3型へとひとまわり大きくなるとともに、タッチ操作に対応。それにあわせ、指先が届くように従来モデルに対して140mmも乗員側へオフセットしています。
もうひとつ大きな変化は、パーキングブレーキが足踏み式から先進性が高く機能的な電動式になりました。スポーツセダンに足踏み式パーキングブレーキは似合っているとは言い難かったので、これはうれしい変更ですね。
ただ、パーキングブレーキといえばサイドレバー式が好みの土屋圭市さんとしては、電動よりもサイドレバー式にして欲しかったようです。

シートポジションは、スポーツセダンらしくヒップポイントを低く設定。
上級グレードではレザー表皮に加え、運転席や助手席に電動調整機能、ヒーター、そしてベンチレーション(通風)機能などを用意してプレミアムブランドにふさわしい快適性です。
また、スポーツモデルの「F SPORT」には専用設計のシートを組み合わせますが、これは「フィット感がよく座り心地も良好」と土屋さんにも大好評でした。
リヤシートはコンパクトセダンゆえに空間としてそれほど広いわけではありませんが、大人2人が無理なくできるスペースは用意しています。
今や希少な、大排気量自然吸気エンジン

パワートレインは、排気量2.0Lの4気筒ターボ(IS300)、3.5LのV6自然吸気(IS350)、そして2.5L4気筒自然吸気にモーターを組み合わせたハイブリッド(IS300h)の3タイプ。
今回試乗したIS350は、もっともスポーティなタイプ。318psというハイパワーも見どころですが、加えて繊細な質感、躍動感あふれる回転フィーリング、そして高回転の盛り上がりといった官能性能の素晴らしさに注目したいところ。
控えめにいって、こんなに色艶のあるエンジンはなかなかお目にかかれません。
いま、燃費性能への配慮から昨今はスポーツセダンでもエンジンのダウンサイジングターボ化がすすんでいます。
そんななか、このIS350に拍手を送りたいのは大排気量自然吸気という“わが道っぷり”。このクラスで大排気量自然吸気エンジンを積むコンパクトスポーツセダンは、世界を見回してもこのIS350くらいでしょう。
「セダン離れが進む今、とことんやらなければISは消えてしまう」
最新型の開発をまとめたチーフエンジニアは、そんな気持ちでISを磨き上げたそうです。
とにかく走りを楽しみたい。レクサスIS350はそんなドライバーに選んでほしいスポーツセダンです。