【プロ解説】新型スイフトは、トヨタ ヤリスにどこまで追いつくことができたのか?
スズキ スイフトをはじめとしたハッチバックは、優れた燃費性能と高いユーティリティによって人気のボディタイプです。
2023年の国産新車販売台数(軽自働車を除く)は、1位のカローラ(ハッチバックもあり)に続き、ヤリス(ヤリスクロス含む)が2位、ノートが3位といずれもメーカーの屋台骨を支える存在となっています。
そのなかでも人気のヤリスと、新型スイフトを比較してみましょう。
新型スイフトはヤリスの牙城を付き崩せるか?
各国産メーカーが用意するハッチバック(スポーツモデルを除く)で、MT車をラインナップしているのは、スズキ スイフト、トヨタ ヤリス(ガソリンエンジン車)、マツダ MAZDA2(ガソリン/クリーンディーゼル車)の3車種です。
車両本体価格は、スイフトが192万2800円、ヤリスは157万9000円~ 205万円、MAZDA2は213万8400円〜245万74000円という構成で、スイフトのライバルとしてピックアップしたのは、車両本体価格187万7000円のヤリスのGグレードです。
※車両本体価格は2024年4月10日現在
搭載されるパワートレインは、スイフトが1.2L直列3気筒エンジンにISG(モーター機能付き発電機)を組み合わせたマイルドハイブリッド。
トランスミッションは5速MTで、駆動方式は2WD(FF)のみ。燃費はWLTCモードで25.4km/Lです。
対してヤリスは、1.5L直列3気筒エンジン。組み合わされるトランスミッションは6速MTで、駆動方式は2WD。燃費は19.0km/Lです。
それぞれのエンジンスペックは、スイフトが最高出力60kW(82PS)/5,700rpmと最大トルク108Nm/4,500rpm。
ヤリスは、最高出力88kW(120PS)/6,600rpmと最大トルク145Nm/4,800-5,200rpmをそれぞれ発生
エンジン排気量が300cc小さく、マイルドハイブリッドを装着したスイフトは、燃費性能に優れている反面、パワフルさという点ではヤリスに譲ります。
パッケージの上手さが光る新型スイフト
ボディサイズは、スイフトが全長3,860mm×全幅1,695mm×全高1,500mm。ヤリスは全長3,950mm×全幅1,695mm×全高1,495mm。
全高と国内の法規制に合わせた全幅はほぼ同じですが、全長はヤリスのほうが90mm長くなっています。
全長は90mm違うのに室内寸法はほぼ同じという不思議
いっぽう室内は、スイフトが室内長1,905mm×室内幅1,425mm×室内高1,225mm。ヤリスは室内長1,845mm×室内幅1,430mm×室内高1,190mmというもので、全長の短いスイフトのほうが室内長(60mm)、室内高(35mm)ともにうわ回っています。
2台ともにスライドと上下の調整が可能なシートと、チルト&テレスコピックを備えたステアリングを備えで、ドライバーは最適なポジションに座ることが可能。
フロントシート(運転席・助手席)のシートヒーターは、スイフトが標準装備。ヤリス Gはオプション。セカンドシートはいずれも6:4分割式です。
ラゲッジルーム容量は、スイフトが265L、ヤリスはアジャスタブルデッキボード非装着時で270Lと、こちらもほぼ互角です。
予防安全機能は新しいスイフトに軍配
予防安全機能は、スイフトが衝突被害軽減ブレーキのデュアルセンサーブレーキサポートIIを核としたSUZUKI Safety Support(スズキセーフティサポート)を搭載。
アダプティブクルーズコントロールをはじめ、車線変更時に後方の安全確認をサポートしてくれるブラインドスポットモニター、バックしているときに後方左右から接近する車両を検知するリアクロストラフィックアラートなど、さまざま機能で安全性を高めています。
いっぽうヤリスは、プリクラッシュセーフティやレーダークルーズコントロールなど7つの機能がパッケージ化されたToyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)を搭載。
ブラインドスポットモニターはオプション、リアクロストラフィックアラートは用意されません。
コネクテッド機能は、ともにオプションで用意されています。
スイフトのスズキコネクトは、オプション(25万800円)の全方位モニター付メモリーナビゲーション・スズキコネクト対応通信機を選択すると、コネクテッド機能にくわえドライバーモニタリングシステムも使えるようになります。
いっぽうヤリスのTコネクトは、DCM専用通信機が標準装備となっていますので、3万3000円のディスプレイオーディオを装着すれば利用することが可能ですが、ドライバーモニタリングシステムの用意はありません。
スイフト HYBRID MXとヤリス1.5Gは、同じコンパクトハッチバックのMT車ですが、予防安全機能を含めたユーティリティでは、スイフトが充実している印象。
いっぽうで走行性能重視なら、エンジン排気量大きいヤリスという選択になりそうです。