初心者ドライバーの車選び、ポイントは「車両感覚の掴みやすさ」にアリ

免許証を取っていざマイカーを買うぞという時、どんなクルマを選んだらいいのでしょうか?多くの人が、最初に迷うポイントです。
なかには乱暴な言い方をする人もいて「自分の好きなクルマに乗ればいいのだ」なんてことも耳にしますが、本当にそうでしょうか?
本記事では、初心者ドライバーが初めてのクルマ選びをする際に気にするべきポイントや、筆者のおすすめ車種を紹介していきます。
本当は、教習車と同じクルマがいいと思います

免許を持っている皆さん、教習したときのことを覚えていますか?
はじめはなんだかわからない畏れや恐怖で、緊張したりしたものです。「こうやって確認しましょう」と教官に教わると、目的や理由を考えず、いわれるがままの動作になってしまったりしたものですよね。
そんななか少しずつ慣れてくる過程でチェックする方向や場所、停止位置など、クルマの感覚とともに覚えましたね。
教習所で使われる教習車は、普通免許の試験に適用され車両が道路交通法施行規則第24条によって「乗車定員5人以上の専ら人を運搬する構造の普通自動車で長さが4.40メートル以上、幅が1.69メートル以上、最遠軸距が2.50メートル以上及び輪距が1.30メートル以上のもの」と規定されていることから、おもにセダンタイプが用いられます。
教習所によって使われる車種は違っていますが、同じ教習所であれば車種はほぼ統一されていますので、練習を重ねるうちに車のサイズが身に付いているというわけ。
ですから、メーカーや車種が違ったとしても、運転に慣れるまでは教習車と似たサイズのクルマが理想的だと思うのです。
それで不安なく運転できるようになったら、自分好みのクルマを選ぶというのが良いのではないでしょうか。
初心者だからこその「ベンツ」!?

初心者ドライバーの方にこそ乗ってほしいクルマをあげるなら、個人的にはメルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズがおすすめです。
何をいきなり初心者に!? と思われるかもしれません。しかし、メルセデス・ベンツのCクラスやBMW 3シリーズは、すべてにバランスの取れた設計で、世界中のメーカーが開発の目標としているのはよく知られた話です。
その設計思想は、結果的にクルマの運転のしやすさにもつながっています。
ボディは見切りがよく、エンジンパワーと制動力も必要にして十分、ハンドル操作、アクセル操作といったドライバーの操作に対して素直な反応、疲れないシートなどなど。
じつは運転に不慣れなドライバーにこそ乗ってほしいクルマなのです。
とくにメルセデス・ベンツなら、先代もしくは先々代までのボンネットにスリーポインテッドスターのマスコットがついたCクラスがおすすめ。このマスコットがあることで、ボンネットの先端、走行中の車両感覚がつかみやすくなります。
きっと免許を取ったばかりのドライブはストレスも多いことでしょう。メルセデス・ベンツ Cクラスなら、そうした運転以外のもろもろのことを取り去ってくれると思います。
なにも新車を買うことはありません。中古車で十分です。高級車と呼ばれる車種でも中古車なら幅広い価格帯から選べます。
メルセデス・ベンツやBMWは、基本に忠実に造られていると言う点で、初心者にこそ薦めるべきクルマではないか、そう思うのです。
運転感覚を身に着けやすいクルマ

前述のメルセデスは極端な例かもしれませんが、もう少し一般的な話をします。それは「小さなクルマに乗らないで」と申し上げたいのです。
誤解を恐れずに言えば、免許取り立ての初心者が、小さなクルマでゆっくり走ることはなかなか難しいことなのです。
よく「初心者向け」として小さなクルマがおすすめにあがりますが、小さなクルマはおおむねエンジン排気量が小さく、ホイールベースも短いため、運転にちょっとしたコツのような慣れが必要です。
排気量が小さいエンジンは、長い登坂区間でエンジンがうなったり、高速道路の合流でアクセルを深く踏み込んだりと、交通の流れに乗るには熟練したアクセル操作が必要になりますし、どうしても室内はうるさくなります。
またホイールベースの短さは乗り心地に影響するなど、ちょっとしたドライブでも大きな排気量の車よりも疲れは大きくなります。そんなことから、私は初心者に薦めるべきクルマではないと思うのです。
その点、エンジン排気量の大きい車であれば、エンジン音も静かなのでクルマを動かす恐怖感も少ないと思います。
なにもスーパーカーを買いなさいというのではないです。本当に運転に馴れるということであれば、7〜10年落ちの1.8Lクラス以上の車両をオススメしたいです。
そういうクルマであれば、交通の流れに乗ることも簡単にできますし、なによりも運転による疲れが少ないので運転好きになるかもしれません。
日本車なら、ホンダ アコード、マツダ アテンザ、トヨタ カムリ、日産 スカイライン、スバル レガシイB4、背伸びをするならレクサス ISなどもアリだと思います。
極論、なにに乗るかではなく、場数を踏むことが大事
運転にはプロレーサーにようなウデは必要ありませんが、最低限の馴れは必要です。
まずは日常の運転で、基本動作ができることが第一です。つぎに運転中でも、周囲に目を配ることができるようになることができるとかなり安心です。
教習所とは違い、一般道では予期せぬ動きをするドライバーが多くいます。そういった動きも慣れてくると、事前に察知する能力が身についてきますし、そういった車が引き起こすトラブルに巻き込まれないよう、適切な車間距離もわかってきます。
教習所で教えることができればよいのですが、こればかりは場数をこなすことでついてくるもので、ある程度の時間が必要かもしれません。
そうして日々進化して、時が経ったら「これまで事故が無くてよかったな、これからも気をつけよう」と、振り返りができると良いですね。
そのために、初心者は見切りが良く、サイズも排気量もゆとりのあるクルマを選ぶことが重要だと思います。
どうしてもハッチバックがいい、と言うのでしたら…

これまで小さなクルマは、初心者にオススメできない理由を書いてきました。ただ利便性や駐車スペースの問題から、どうしてもハッチバックがいいという方もいらっしゃるでしょう。
そういう方は、比較的エンジンパワーに余裕があって安心して乗れる車種を選ぶと良いです。
具体的には、マツダ アクセラスポーツ(Mazda3)、スバル インプレッサ、フォルクスワーゲン ゴルフ、トヨタ オーリスなどで、それらには1500cc以上の排気量のエンジンも設定されていて、比較的よく走ります。
たとえばゴルフですと、排気量こそ1.2L~1.4Lですが、過給機つきのためパワー的には1.8L並みのパフォーマンスがあります。ですので、高速道路に乗ってもそんなに流れに乗りにくいこともないでしょう。
マツダ アクセラスポーツは、2.0Lガソリンエンジンにくわえて、トルクの太い1.5Lや2.2Lのディーゼルターボがラインナップされています。いずれもトルクにゆとりがあるので、遠出も安心。市街地でもてあます感じもありません。
運転は慣れることが大事

自動車に限らず、運転にはある程度の慣れが必要です。
経済面から考えれば、レンタカーやカーシェアを利用するのもひとつの手ですが、毎回、違った車種、違った排気量のクルマでは、アクセルやブレーキの踏み具合やハンドルを切ったときの反応、最小回転半径などが異なり、運転の上達にはかなり時間が掛かります。
いつも同じクルマなら、アクセルをどれぐらい踏み込めば加速をして、ブレーキをどれほど踏み込めば減速するのか、ハンドルをどれぐらい切ったら曲がれるのか、日々身体が覚えてきますし、エアコンの操作パネルやオーディオの音量調整も運転中にできるようになりますから、より運転に集中できるというわけです。
初心者に限らず、一般のドライバーは感覚でアクセル、ブレーキ、ハンドルなどを操作しています。それが毎回違えば、運転はギクシャクしがちになります。
運転に慣れるなら、同じクルマをある程度乗り続けることが重要なのです。