中古でホンダ ステップワゴン(5代目/RP系)を買うなら後期モデルがオススメ!

先代までのホンダ ステップワゴンは、トヨタのノア/ヴォクシー/エスクァイア、日産 セレナとともに5ナンバーサイズを基本とする1BOXミニバンでした。
低床設計や4代目から採用されたサードシートの床下格納などホンダらしい独創性にこだわり、ミニバンでも走りも我慢したくない層からの支持も集めてきました。
当時、販売面ではライバルに後れを取ったものの、性能や機能などはまったくひけを取らない実力車です。
FFをベースに仕立てた初代が大ヒットミニバンに

前席下にエンジンを配したセミキャブオーバーが多かった1BOXやミニバンとは異なり、1996年5月に発売されたホンダ ステップワゴンは、FFのシビックをベースに使い、低床設計による良好な乗降性、居住性を備えていました。
オデッセイがアコードをベースにしたように、FFが主力であった1990年代の同社の事情からすると、苦肉の策であったともいえます。
しかし、セミキャブオーバーであったバネット セレナやタウンエース時代のトヨタ ノア、あるいはハイエースなどに乗ったことがある方ならお分かりのように、前席に乗り込む際は大きく身体を持ち上げる必要があります。
後席もフロアよりも一段低い位置にステップがあるのが普通(昔の路線バスのように)で、現在の低床化が一般的になったFF系ミニバンとは乗降性はまったく異なりました。
初代ステップワゴンは、子どもやお年寄りがいるファミリー層を中心に大ヒットモデルに。CM曲(オブラディ、オブラダ)や「こどもといっしょにどこいこう」というコピーも印象的(初代と2代目)でした。
世界的なSUVブームや実質的に国内専用モデルであることから最近のミニバンは、新型車の登場が激変。マツダやスバルはミニバンの開発、生産から撤退しています。
それでも、休日のサービスエリアやショッピングモールの主役はミニバンで、とくにステップワゴンのMクラスサイズは、居住性や積載性、狭い場所での取り回しの良さなど、トータルのバランスの良さから、子どもやお年寄りがいるファミリー層から圧倒的な支持を集めています。
独創的な装備を絶えず採用しているステップワゴンは、初代では運転席側にスライドドアがなく助手席側のみとなっています。
ボディ剛性の確保や左側通行である日本での乗降時の安全性などを考慮した設計でした。
2001年4月にフルモデルチェンジを受けた2代目も助手席側のみの片側スライドドアで、両側スライドドアを採用したのは2005年発売の3代目から。
また、初代と2代目は箱型フォルムが特徴でしたが、3代目は全高を大きく下げ、全長も短くするなど、操縦安定性にも配慮し、さらなる低床設計による乗降性の改善など、パッケージングの面では意欲的といえる仕上がりになっています。
シビック タイプRなどを手がけた開発責任者による力作で、走りでは冴えを見せたものの、ライバルの台頭もあって初代ほどの売れ行きにはなりませんでした。
また、3代目にはフローリングフロアや障子のようなトップライトルーフなど、ほかにはない個性的な装備も用意しています。
2009年10月から発売された4代目は、サードシートを跳ね上げ式から床下格納式(3列目席は左右一体式)に変更し、荷室容量の拡大をはじめ、操作性や後方視界の確保など、従来モデルやライバルとの違いをアピール。
サードシートを左右に跳ね上げる方式は操作に力が必要だったり、斜め後方の視界が制限されたりする場合があるいっぽうで、床下格納は、展開する際に荷室に荷物があると一度車外などに移動させる必要があります。
そのため、2015年4月登場の5代目は、床下格納式を維持しながら、3列目席を左右分割式(マジックシートと呼ぶ)にすることで、大きな荷物でない限り、荷物を移動させる手間を省けるようになりました。
さらに、「わくわくゲート」の採用もトピック。テールゲートの重量増というデメリットを折り込みながら、テールゲートの左側が横開きするという構造を採用しています。
もちろん、従来どおりの跳ね上げも可能。横開きは、車両の後方が狭い場所でも荷物の出し入れができるほか、人の出入り(サードシート左側を床下格納する必要がある)も可能です。
このアイディアは、2列目に座っている子どもが寝てしまい、3列目に座っている大人が休憩時などに乗降できない、しにくい、という状況を解決するアイディアとして採用されたと開発陣から伺ったことがあります。
こうした「マジックシート」や「わくわくゲート」は、賛否両論ありますが、メリットもあり、便利だと思えばほかにはない強みともいえそうです。
近年のステップワゴンが販売面でライバルに差を付けられている要因のひとつに、4代目までハイブリッドを持っていなかったというのもあるはず。5代目も登場時は、1.5L直噴ターボのみで、2017年のマイナーチェンジでステップワゴン初となる「SPORT HYBRID i-MMD」が加わっています。
オススメは「ホンダ・センシング」が採用された5代目

年代的に初代、2代目は中古車市場でタマ数が少なくなっています。
2005年〜2009年まで販売された3代目からは選択肢が増えていて、走行距離が短くても50万円程度という物件もあります。4代目ももちろん選択肢は豊富です。
先進安全装備の「ホンダ・センシング」が採用(オプション設定)されたのは、2015年登場の5代目からですので、安全面や高速巡航時のドライバーサポートなどを考えると、ベストといえる選択は同装備が付いている5代目(RP系)。
先述のように5代目は、発売時は1.5L直噴ターボのみでしたが、動力性能はまさしく必要十分で、ホンダらしい軽快感も味わえます。
また、2020年1月の一部改良で「e:HEV」と改名されたハイブリッドは、WLTCモード燃費20.0km/Lと、13.0km/L〜13.6km/Lの1.5Lガソリンターボ仕様よりも燃費面での利点が大きくなっています。
ボディタイプでは、3代目が2003年6月に受けたマイナーチェンジで初めて追加されたスポーティ(カスタム)系の「スパーダ」が人気となっています。さらにスポーティな「スパーダ・クールスピリット」という選択肢もあります。
さらに、5代目にはホンダアクセスによる「モデューロX」もあり、走りやスタイリングにこだわる層にオススメの仕様となっています。

2022年に新型となる6代目が発売になりましたが、まだまだ新しいことともあり中古車価格は高値で推移しています。
そんな事情を鑑みると、2023年8月の現時点では「ホンダ・センシング」が設定された5代目を買うのが、安全面からもオススメといえます。
とくに2017年のマイナーチェンジ以降は、「ホンダ・センシング」の機能強化が行われるとともに、ハイブリッドのACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、0km/hから作動するようになりました。
室内は、ガソリンターボ仕様に8人乗り(セカンドシートがベンチシートの3人掛け)も設定されていますが、座り心地の良さや乗降性を考えると、8人乗りがマストでない限り、7人乗りのほうがオススメです。