中古でトヨタ・エスティマを買うならこのモデルがオススメ!

Lサイズミニバンのトヨタ・エスティマは、在庫販売をのぞき、2019年10月に惜しまれながら販売を終了しました。
初代は「天才タマゴ」というコピーで、箱型ではないミニバン人気を加速させた立役者でした。しかし、グローバルスタンダードの名のもと、国内専用モデルはその国(エスティマであれば日本)で人気があっても生き残りにくい状況になっています。
販売終了から約2年経ちますが、まだ流通量も多く、狙い目の大型ミニバンといえるでしょう。
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- 箱型ではないミニバン人気をホンダ・オデッセイと共に牽引
- タマゴ型は不変でも、FF化された2代目モデル
- 年代、流通量、先進安全装備からも3代目後期がオススメ
- 3代目エスティマはまさに今からが買い時
箱型ではないミニバン人気をホンダ・オデッセイと共に牽引

(※画像は初代ホンダ・オデッセイ)
1990年に誕生した初代エスティマは、卵形のフォルムに加えて、ミニバンにミッドシップレイアウトが採用され、「天才タマゴ」を名乗ります。ミニバンなどのRVブーム全盛期の中でも異彩を放っていました。
床面中央部下に、2.4Lの直列4気筒エンジンを横に75度倒して配置するというレイアウトは、広さが不可欠なミニバンにとってセオリーから外れた? と思われたパッケージでした。しかし、床が持ち上がったような「上げ底」感もなく、フラットフロアを実現し、乗用車のような快適な乗り味は、それまでのミニバンの「バン」的なイメージをエクステリアデザインと共に覆しています。
さらに、1992年には、5ナンバー枠に収まるエスティマエミーナ、エスティマルシーダも追加し、1998年にはエアロ系グレードの「アエラス」も設定しています。
1994年には、ホンダ・オデッセイが誕生し、背の高さを抑えたミニバンが新しい乗用車、ファミリーカーの形として定着します。
一方で、5ナンバー枠を収まるエミーナ、ルシーダを追加したことからも分かるように、1800mmという全幅は当時かなりワイドで(全長4750×全幅1800×全高1780mm〜)、両側スライドドアとはいえ、狭い場所での取り回しや乗降時には多少気を使うことも多々ありました。
コラムシフトを採用したインパネはワイド感があり、さらにトヨタらしいインテリアの質感の高さ、豪華な雰囲気が魅力でした。
タマゴ型は不変でも、FF化された2代目モデル

2000年にフルモデルチェンジを受けた2代目は、初代のキープコンセプトといえるタマゴ型をまとって登場します。
5ナンバー枠のエミーナ/ルシーダは設定されていません。しかし、プラットフォーム、パッケージングは大きく変わり、初代のミッドシップからFFレイアウトに変更されています。
「次世代の高級ミニバン」を開発テーマに掲げ、先進的なインテリアデザインをはじめ、乗降性や住居性の改善、静粛性の向上も図られています。FF化されたことでプラットフォームはもちろん、エンジンやサスペンションも一新されています。
目指したのは、ミニバンのさらなる上質化で、バン的なイメージからのさらなる脱却が図られました。FF化されたことで、乗降性や居住性が向上し、2列目シートのロングスライド化(485mm)、「リラックスキャプテンシート」やリモコン式パワーアシストドアなどの採用など、現代のミニバンに不可欠な要素も盛り込まれています。
エンジンは、3.0L V6、2.4Lの直列4気筒ガソリンを設定しています。
また、当時最新の安全装備も用意されていました。
バック時の予想進路をモニターに表示することで、車庫入れ時や縦列駐車の運転を支援する新開発の「バックガイドモニター」を設定。さらに、先行車と走行レーンをレーザーレーダーセンサーなどが認識し、車間距離を走行速度に応じて維持する「レーダークルーズコントロール」が一部グレードに用意されています。
なお、2代目エスティマの販売は、発売から約2万4000台を受注するなど、好調な出だしを切っています。
さらに、2001年には、ミニバン初となるハイブリッド仕様が追加されました。エスティマハイブリッドは、ミニバンでも燃費向上の声に応えるもので、10・15モード燃費で18.0km/Lを記録。また、後輪をモーターが駆動する「E-Four」が初採用され、降雪地域でのニーズに応えています。
さらに、2003年のマイナーチェンジで18.6km/Lに燃費を向上させ、電気式4WDのE-Fourによる4輪からの制動エネルギー回収領域が拡大されています。ほかにも、新情報ネットワークサービス「G-BOOK」への対応が可能なDVDボイスナビゲーション付ワイドマルチAVステーションなども設定されました。
年代、流通量、先進安全装備からも3代目後期がオススメ

中古車市場を見ると、2代目モデルもまだ流通していますが、年代的(走行距離や安全装備など)にも現実的なのは最終モデルの3代目でしょう。
3代目は、じつに13年ものロングライフになったのは、冒頭で紹介したように4代目が存在しないという事情から。筆者も4代目がないのか、関係者に機会があるごとに聞いた記憶がありますが、「これはなさそう」というのが率直な手応えでした。
3代目のガソリンエンジン車は2006年1月に、ハイブリッド仕様は同年6月にフルモデルチェンジ。初代からスタイリッシュ系ミニバンというコンセプトを受け継ぎながらも、内外装のさらなる上質化、当時最新の衝突安全ボデである「GOA」が採用されるなど、全方位に渡ってブラッシュアップが図られています。
また、約13年という長い販売期間からも分かるように、度重なるマイナーチェンジ、一部改良を受けています。
ガソリンエンジンは、直列4気筒の2.4LとV6 3.5Lを設定。ハイブリッドは、高効率化された2.4Lガソリンエンジンとフロントモーター用リダクション機構を備えた「THSⅡ」に進化しています。

狙い目は、ガソリンエンジン車、ハイブリッド仕様共に衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」が標準装備化された最終モデル。
シート配列は2列目がキャプテンシートになる7人乗りが人気(主力)で、中古車価格はまだまだ高値安定という印象ですが、快適な多人数乗車ミニバンとしては、依然として一級品といえる実力の持ち主。グレードは「アエラス」系に統一されていて、エアロ系でも洗練された雰囲気を放っています。
パワートレーンは、2.4Lガソリンでも十分に走りますし、実用燃費の面でも3.5L V6よりも利点があります。また、燃費を最重要視するのであればハイブリッド仕様を狙う手もあり、3代目を中心に流通量もそこそこあります。
また、筆者は何度かエスティマで車中泊したことがあり、シートをフラット化した際の寝心地では2列目がベンチシートになる8人乗りの方が向いています。8人乗りはタマ数が少ないようですが、1人でも多く乗りたいのであればニーズを満たしてくれる状況にはあります。
3代目エスティマはまさに今からが買い時

残念ながら新車販売を終えたエスティマは、モデル末期でも手堅いニーズがあり、今後も中古車市場により多くの物件が出てくる可能性があります。
とはいえ、廃番モデルではあるので、販売終了から約2年となっている現在からこれから1、2年くらいがとくに最終モデルで買い得感が高まってくると思われます。
ライバルのホンダ・オデッセイも販売終了という一部報道が流れていて、エスティマも含めて背の低い大型ミニバンの選択肢は少なくなっています。今が買い時といえるでしょう。