5つのスタイルで売っているカローラ。じつは7種類ものボディバリエーションがあるって知ってた?
1966年のデビュー以来、2021年までに世界中で5000万台以上が生産されたトヨタ カローラは、1970年代に幼少期を過ごした50、60代の方にとって自動車の代名詞的存在です。
これまで、コンパクトスポーツカーのカローラ レビンや、ミニバンタイプのカローラ スパシオなど、時代に応じてさまざまなボディタイプを展開。
現在は、7種類のカローラが新車で販売されています。
- Chapter
- 日本を代表する大衆車、トヨタ カローラ
- 現行モデルの中心的存在「カローラ」
- ビジネスユースがメイン「カローラ アクシオ」
- 営業御用達カロゴン「カローラ フィールダー」
- 全方位で進化したステーションワゴン「カローラ ツーリング」
- カローラ初のクロスオーバーSUV「カローラ クロス」
- ヨーロッパが主戦場「カローラ スポーツ」
- 史上最強のカローラ「GRカローラ」
- モデルライフ、バリエーションが豊富なカローラだから予算、用途にあわせて選べる
日本を代表する大衆車、トヨタ カローラ
1966年のデビュー以来、世代を重るごとに進化してきたカローラは、いまや世界の150の国と地域で販売されるグローバルモデルで、累計販売台数は5000万台以上という、日本を代表するベーシックカーのひとつになっています。
そんなカローラは、現在11代目の170系と12代目の210系が販売されていますが、どうして2つの世代のカローラが併売されているのでしょうか?
7種類のモデル解説とともに、それぞれのバリエーションが用意されている理由を解き明かして行きます。
現行モデルの中心的存在「カローラ」
現在のカローラシリーズの中核を担うのが、2019年にデビューした12代目(210系)カローラ(セダン)です。
TNGAのGA-Cプラットフォームをベースにする12代目カローラは、ボディの全幅が1,745mmとなり、全車3ナンバー登録になります。
パワートレインは、1.5L NAエンジン(M15A-FKS型)と1.8Lハイブリッド(2ZR-FAE型)の2種類で、駆動方式は、ガソリン車がFFのみ。ハイブリッドにはFFと4WDのE-Fourがラインナップされます。
燃費(WTLCモード)は、ガソリン車が18.1〜19.4km/L、ハイブリッド車は25.3〜30.2km/Lです。
グレードは、エントリーモデルの「X」、燃費がよく装備のバランスが良い「G」、17インチアルミホイールと充実した装備の「W×B」、専用チューニングサスペンション(2WDのみ)による高い操縦安定性と上質な乗り心地を高次元で両立させた特別仕様車の「ACTIVE SPORT」という4つ。
デビュー直後は、W×Bに1.2Lターボ(8NR-FTS型)に6速MTを組み合わせたモデルも用意されていましたが、現在はカタログ落ちしています。
全グレードにLEDヘッドランプ(W×BはBi-Beam)とLEDリアランプ、安全装備のToyota Safety Senseにくわえ、ディスプレイオーディオを標準装備(Gグレード以上)するなど、基本装備が充実しているのはカローラが大衆向けのベーシックモデルと考えられているからでしょう。
またエントリーの「X」と「G」グレードの標準装着タイヤに195/65R15サイズを採用しているのは、ユーザーの維持費を軽減するための配慮です。
新車価格も202万8600円からと、非常に手ごろな設定で、ベーシックカーの面目躍如といったところです。
ビジネスユースがメイン「カローラ アクシオ」
カローラ アクシオは、2012年に登場しました。FF用のMCプラットフォームを使う11代目(170系)モデルです。
現在販売されているのは、2015年にマイナーチェンジを受けて、シャープなフロントデザインをまとった後期型です。
登場から10年以上が経過したアクシオの美点は、ボディの全幅が1.7m以下の1,695mmに収まっていること。
取り回しやすく、ちょっと古めのタワーパーキングなどにも入れることができるコンパクトな5ナンバーサイズのボディは、法人営業車を中心にニーズがあります。
現在、販売されているグレードはEXのみですが、パワートレーンは1.5Lガソリンエンジン(2NR-FKE型/1NZ-FE型)と1.5Lハイブリッド(1NZ-FXE型)で、トランスミッションは、CVTと5速MT。駆動方式はFFと4WDが選べます。
燃費(WTLCモード)は、ガソリン車のCVTモデルで19.8km/L、ハイブリッド車は27.8km/Lも走行できます。
販売価格はガソリン車が163万9600円〜、ハイブリッド車でも220万5600円からと、現代のモデルでは格安に見えてしまう車でもあります。
営業御用達カロゴン「カローラ フィールダー」
カローラ フィールダーは、セダンのアクシオ同様、2012年に登場した11代目。2015年にマイナーチェンジを行いました。
5ナンバーサイズのボディで、新しいステーションワゴンのツーリングが発売されても、おもに法人ニーズに応えるためカタログに残されています。
ガソリンエンジンとハイブリッド、CVTと5速MT、FFと4WDが選べること、EXのモノグレードもセダンのアクシオと同様。燃費もアクシオと同じです。
レンタカーの貸し出し車両としても現役で筆者もときおり乗ることがありますが、ボディの剛性感、乗り心地、安全装備の「Toyota Safety Sense」の充実度などで、新しいステーションワゴンであるツーリングに比べると、あらゆる面で見劣りします。
とはいえ車両価格は、ガソリン車で178万6400円、ハイブリッド車でも235万9000円という設定で、仕事のアシとして割り切るなら、充分にお買い得で選ぶ価値がおおいにあるモデルと言えそうです。
ハイブリッドでラゲッジ容量もあるクルマが欲しいけどプリウスまでの高額なモデルはいらないという方や、都内などの築年数の深いマンションなどで5ナンバーサイズしか駐車できないなどという方は、愛車を選ぶ際の参考にしてみてください。
全方位で進化したステーションワゴン「カローラ ツーリング」
カローラ ツーリングは、セダンのカローラと同じ2019年にデビューしました。
1.8Lハイブリッドと1.5Lガソリンエンジンのパワートレインもセダンのカローラと同じですが、車両重量が若干重いため、燃費(WLTCモード)は、ガソリン車が17.8〜19.1km/L、ハイブリッド車は24.9〜29.5km/Lとなっています。
カローラ ツーリングの通常時のラゲッジスペースは392L。6:4分割のリアシートを倒せば、802Lという大容量のスペースがあわれます。
また長いルーフを利用してルーフボックスなどを装着する際に必要なルーフレールは、「G」以上のグレードにメーカーオプションで用意されています。
グレードは、カローラと同じ構成で「X」「G」「W×B」、そして特別仕様車である「ACTIVE SPORT」の4つ。
「ACTIVE SPORTS」は、フロントまわりの変更にくわえ、ミラーやホイールなどもブラックアウトされ精悍さが増しているエクステリアと、専用チューニングされた足まわりを装着したグレード。
シートは話題の除電スタビライジングシートを搭載していて、タイヤまわりの帯電低域により流れの乱れを低減させて運転が疲れにくくなるなどの効果が期待できます。
ミニバンまではいらないけど、コンパクトなハッチバックでは荷室の容量が足りないというときに最適なのが、このツーリングワゴンというモデルです。
カローラ初のクロスオーバーSUV「カローラ クロス」
カローラクロスは、カローラ初のSUVとして2021年に発売されました。
2019年にデビューした12代目カローラと共通のGA-Cプラットフォームに搭載されるのは、1.8Lガソリンエンジン(2ZR-FAE型)と1.8Lハイブリッド(2ZR-FXE型)の2種類。
駆動方式はFFを基本に、ハイブリッド車にのみフルタイム4WDのE-Fourが用意されます。
カローラシリーズのなかでも一番売れているのがこのカローラクロスで、SUV人気もしっかりとフォローしているということが伝わります。
室内は5人乗りで、トランク容量は2WDと4WDで異なり、2WDモデルが通常時487Lで、リアシートをすべて倒した状態で991L。4WDモデルは通常時が408Lで、リアシートを倒すと901Lという広大なスペースが確保されています。
グレードは、ベーシックな「G」と、上質な「Z」を基本に、ハイブリッド車には「G」をベースに、TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイやサテン調塗装のドアハンドル、S-FLOW付きエアコン、金属調塗装のロアグリルなどを装備した「S」をラインナップ。
いっぽうガソリン車には、装備を簡素して218万4000円という価格を実現したエントリーグレードの「G”X”」が用意されます。
コンパクトなヤリスクロスの中間グレードと変わらない価格のグレードが選択できるようになっているのがカローラシリーズの底力でもあります。
ヨーロッパが主戦場「カローラ スポーツ」
カローラスポーツは、12代目カローラのなかで一番最初に国内デビューをはたしたモデルです。
リアにハッチゲートを備えたハッチバックは、国内ではマツダ MAZDA3、スバル インプレッサ、海外ではフォルクスワーゲン ゴルフやメルセデス・ベンツ Aクラスなどがライバルになります。
TNGAのGA-Cプラットフォームをベースにするボディは、開口部にねじれを抑える環状骨格構造を採用したり、高張力鋼板を使用したりと、軽量化と剛性をあげる努力がなされています。
フロントにマクファーソンストラット、リアはダブルウイッシュボーンというサスペンション構成は、12代目カローラ共通です。
パワートレーンは、当初1.2Lガソリンターボ(8NR-FTS型)と1.8Lハイブリッド(2ZR-FXE型)でしたが、2022年の改良でガソリンエンジンが1.2Lターボから2.0L NA(M20A-FKS型)に変更。
燃費は、2.0Lガソリン車が18.3km/L、ハイブリッド車は29.5km/Lと、どちらも充分な性能ですのでライフスタイルに合わせて選択できそうです。
走りの性能は、GRカローラのベースになっているだけあって12代目カローラのなかでもピカイチです。
グレードは、シンプルな装備のエントリーモデル「G"X」、装備と性能のバランスがいいベーシックな「G」、17インチアルミホイールと装備が充実した「G"Z"」の3つ。それぞれガソリン車とハイブリッド車にラインナップされています。
ヤリスや、アクアよりも少し大きなモデルが欲しいという方。スポーティな走り好きだけど本気のスポーツカーまでは必要としないという方にもおすすめです。
史上最強のカローラ「GRカローラ」
カローラシリーズの頂点に立つ、特別なモデルがGRカローラです。
トヨタのマスタードライバーでもある、豊田章男会長の「お客様を虜にするカローラを取り戻す」という強い思いのもと開発されたGRカローラは、クルマ好きには堪らないスポーツモデルとなっています。
ハッチバックのカローラスポーツをベースに、徹底的なチューニングを施したGRカローラに搭載されるのは、トヨタ下山工場で匠が組み上げた証である「匠」プレートを装着した最高出力224kW(304PS)を発生する1.6L直列3気筒ターボに、トランスミッションは変速後のエンジン回転数を自動的に合わせる機構の付いた6速iMTの組み合わせ。
駆動には、電子制御多板クラッチを用いたトヨタ独自のアクティブトルクスプリット4WDシステムを搭載します。
スイッチひとつでアクセル応答性やステアリング制御、エアコンの効きを切り替えるドライブモードは、湯ザーが任意で設定できる「カスタム」をふくめ4つ。
走行中の前後トルク配分を変更できる4WDモードセレクトは、「60:40」「30:70」「50:50(TRACK)」の3つから選択できます。
GRカローラは台数限定で販売されるため、現在は中古車でしか購入できません。新車を狙う場合は抽選に応募することが必要ですので、トヨタのサイトや販売店チェックをこまめにしましょう。
モデルライフ、バリエーションが豊富なカローラだから予算、用途にあわせて選べる
現代の自動車をとりまく状況のなかでは、やや地味な存在となっているカローラシリーズですが、11代目と12代目が並行して販売され、7つものバリエーションでさまざまなユーザーニーズに応える体制が整えられています。
中古車市場でのタマ数も豊富なので、車種選びに迷ったらカローラシリーズから選ぶというのは、間違いない愛車選びのひとつの方法だと思います。