【プロ解説】400万円台で狙える高級ミドルクラスSUV。CX-60 XDとハリアー ハイブリッドを徹底比較

エンジン縦置きプラットフォームの採用で高級化にシフトした印象のマツダ CX-60と、国産高級クロスオーバーSUVの代名詞的存在のトヨタ ハリアー。
2台の新車販売価格は、CX-60が326.7万円〜646.25万円、ハリアーは312.8万円〜620万円と見事に重なっています。
そのなかから400万円強で販売されるCX-60に新しく追加された「XD SP」と、ハリアー ハイブリッドの廉価グレード「G」を徹底比較します。
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- これは迷う!マツダ CX-60のニューカマー「XD S」と、ハリアー ハイブリッドGを解説
- ボディサイズはほぼ同じ。ホイールベースで差がつく
- 実質的なランニングコストは同じ
- 快適装備は後発のCX-60が充実している
- 甲乙つけがたい2台だが毎年の自動車税額に大きな差
これは迷う!マツダ CX-60のニューカマー「XD S」と、ハリアー ハイブリッドGを解説
2024年12月の改良で追加設定されたマツダ CX-60 XD SP(2WD)のライバルとしてピックアップしたのは、トヨタ ハリアーハイブリッド G(2WD)です。
CX-60は、マツダのラージ商品群の第1段として2022年にデビュー。いまや数少ない縦置きエンジンFRレイアウトを採用するミドルクラスのクロスオーバーSUVです。
対するハリアー(80系)は、2020年の登場で、RAV4などと共通のGA-Kプラットフォームを採用する都市型クロスオーバーSUVです。
それぞれの新車価格は、CX-60 XD SPが412万5000円、ハリアー ハイブリッドGは411万1900円と、ほぼ同じ。(2025年4月1日時点)
そこで、ここではさまざまな角度からこの2台を比較・検討して、それぞれのおすすめユーザーを探っていきます。
ボディサイズはほぼ同じ。ホイールベースで差がつく
クロスオーバーSUVで快進撃を続けるマツダのニューモデルCX-60と、高級クロスオーバーSUVの代名詞ハリアーのボディサイズは、CX-60が全長4,740mm×全幅1,890mm×全高1,685mmに、ホイールベース2,870mm。
ハリアー ハイブリッドは、全長4,740mm×全幅1,855mm×全高1,660mmで、ホイールベース2,690mmと、ほぼ同じ大きさです。
※トヨタ ハリアーHVの画像はZグレード
そのなかで大きな違いは、ホイールベースです。CX-60はハリアーに対して180mmも長いホイールベースにすることで、縦置きエンジンで圧迫される室内長を補いつつ、十分な荷室容量も確保しています。
それぞれの室内寸法と荷室容量は、CX-60が室内長1,910mm×室内幅1,550mm×室内高1,215mmに荷室容量570L。
ハリアー ハイブリッドは、室内長1,880mm×室内幅1,520mm×室内高1,215mmに409L+21L(デッキボックス)と、居住スペースとラゲッジスペースは、長いホイールベースにボクシーなスタイルを組み合わせるCX-60のほうが優れています。
また都市部や狭い道を走るときに気になる最小回転半径に関しても、5.5mのハリアーに対して、CX-60は5.4mとFRレイアウトのメリットを活かしています。
実質的なランニングコストは同じ

搭載するパワートレインは、CX-60 XDが高出力・低燃費を両立する最高出力170kW(231PS)・最大トルク500Nmを発生する3.3L直列6気筒ディーゼルターボ(SKYACTIV-D 3.3)にトルコンレスの8ATの組み合わせ。
ハリアー ハイブリッドは、最高出力131kW(178PS)・最大トルク221Nmを発生する2.5L直4ガソリンエンジン(A25A-FXS型)と、最高出力88kW(120PS)・最大トルク202Nmを発生する高出力モーターを組み合わせたシステム出力160kW(218PS)の2.5Lハイブリッドシステムで、トランスミッションには電気式無段変速機を採用。

燃費(WLTCモード)は、CX-60 XD SPが19.7km/L、ハリアー ハイブリッドは22.3km/Lですが、2台の高速道路モードをヒップアップすると、低回転域でビッグトルクを発生するCX-60が22.0km/L、ハリアーは22.1km/Lと拮抗。市街地や郊外では、ハリアーの燃費が優れています。
ただし、使用燃料から維持費を見ると、軽油のCX-60 XDに対し、ハリアー ハイブリッドはレギュラーガソリンを使用するので、燃料代の差額が燃費の差を吸収するので、実際にはほぼ同じ燃料代で同じ距離を走れます。
快適装備は後発のCX-60が充実している
※CX-60のセンターディスプレイはオプションの12.3インチです
室内のおもな装備は、CX-60 XD SPが、運転席のドライビングポジションメモリー機能付き10wayパワーシートをはじめ、ステアリングヒーター、シートヒーター(運転席&助手席)、フルオートエアコン(運転席/助手席独立コントロール機能)、10.25インチセンターディスプレイ、Apple CarPlay対応のワイヤレス接続機能やワイヤレス充電(Qi)を標準装備。
シート表皮はファブリックです。
ハリアー ハイブリッドGは、表皮にファブリック+合成皮革のコンビシートを採用。運転席の電動ランバーサポート付きの8wayパワーシートはポジションメモリーも付いています。
その他、左右独立温度コントロールフルオートエアコン、デジタルインナーミラー、パワーバックドア、8インチのディスプレイオーディオ(Apple CarPlay、Android Auto、Miracast対応)などを標準装備しますが、ステアリングヒーターと運転席&助手席のシートヒーターは未設定です。

安全装備は、CX-60 XD SPがマツダのi-ACTIVESENSEに基づき、スマート・ブレーキ・サポート(SBS)をはじめとした14の機能を搭載する運転支援機能に、360°ビューモニターを標準装備。

ハリアー ハイブリッドは、8つの機能がパッケージ化されたToyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)を標準装備します。
またCX-60 XD SPではドライバー異常時対応システムが未設定、モニタリングシステムもオプションであるのに対し、ハリアー ハイブリッドはドライバー異常時対応システムを標準装備としており高ポイントです。
甲乙つけがたい2台だが毎年の自動車税額に大きな差

ほぼ同じボディサイズで、新車価格も近いマツダ CX-60 XD SPとトヨタ ハリアー ハイブリッドG。
甲乙つけがたい2台ですが、スタリングで選ぶならハリアー、居住性や積載性で選ぶならCX-60がおすすめですが、税金に関わる部分では、CX-60 XD SP(2WD)が車両重量1,820kg。ハリアー ハイブリッドG (2WD)は1,680kgと、車検時に納付する重量税は同じ区分で金額も変わりません。
いっぽう搭載しているエンジンの排気量によって納税額が決まっている自動車税は、CX-60 XDが3.3Lの排気量で5万7000円、ハリアー ハイブリッドは2.5Lで4万3500円となり、この差はボディブローのように効いてくるかもしれません。
ディーゼルとハイブリッド、FRとFFなどの違いから、装備や乗り味も異なる2台は、実際に試乗してみて自分の好みやライフスタイルに合う1台を確かめてください。