トヨタ・セレナとは
セレナは日産を代表するミニバンであり、初代には商用モデルもあった。
2005年登場の三代目よりスズキにOEM供給され、スズキ・ランディとしても販売されている。
1991年登場の初代セレナは、上級のミニバンであるラルゴの兄弟車として誕生。
先代となるバネットのフルキャブオーバー型ワンボックスから一転、運転席足元にフロントタイヤを持つセミキャブオーバー型のシルエットとなりモダンなスタイルを獲得した。
しかし実際のエンジンレイアウトは運転席の下に位置するキャブオーバーのものであり、この時代の過渡的なミニバンの特徴だ。
この「エンジンの入っていないセミボンネット型」はライバルとなるタウンエースノア&ライトエースノア、いわゆる「小エスティマ」エスティマエミーナ&エスティマルシーダと同様である。
パワートレインのレイアウトこそ旧態依然としていたが、この時代の「日産901運動(90年までにハンドリング世界一を目指す)」を反映し、操縦性および安定性はこの種の車としては比較的優れたものであった。
走りの良さの追求は各所に渡り、シルビアと共通型式のSR20DE型DOHCエンジンや、日産独自の4WSシステムであるスーパーHICAS、さらにビスカスカップリング式LSD(リミテッドスリップデフ)まで設定があった。 装備の点でも先進的なものであり、この時代にはまだ珍しかったスライドドアでのパワーウィンドウ採用等、利便性の高い車となっている。
貨物仕様は特に欧州向けはスペインの日産モトール・イベリカでも生産された。
1993年、エアコンが代替フロン仕様となる。旧フロンとなるこれより以前の年式は特に中古車として求める場合は避けた方が良いかもしれない。
1994年、マイナーチェンジ。このマイナーチェンジ以前は車名が「バネット・セレナ」であったのが「セレナ」に変更された。
フルキャブオーバーバンモデルとして残るバネットと名前で差別化した形だ。
またカーナビの普及に合わせてオーディオ設置スペースが従来の1DINから2DINに拡大された。
1996年、ハイウェイスターを追加。このハイウェイスターは大ヒットし、後に日産の他車種にも設定が広がることになる。
1997年のマイナーチェンジではフェイスリフトを受けフロントマスクのデザインがさらにモダンなものとなった。
ABSも全車標準装備となり、現在中古車として狙うにはこの後期型がおすすめだ。
なおこのマイナーチェンジで従来特別仕様車として設定されていたハイウェイスターがカタログモデルに昇格した。
1999年、二代目セレナがデビュー。
従来、上級クラスを別車種の「ラルゴ」が担っていたが、セレナの室内空間を拡大することで統合し、セレナ一本に絞られた。
この頃、ホンダ・ステップワゴンの大ヒットを受けて各社FF低床タイプのミニバンをリリースしており、このセレナもその流れに乗りレイアウトから一新された。
競争の激しい分野となったこのクラス初の装備として両側スライドドアが設定された。
先代のFRレイアウトからFFレイアウトへと変更。角ばったスタイルでスペース効率をさらに追求した。
エンジンも先代の魅力を高めていたSR20DEエンジンを除き、その他の全てのエンジンが新世代のものに変更された。
トランスミッションも先進的であり、CVT(無段変速機)が装備されたのはこのクラス初である。
初代ではフロアシフトであったため前席左右のウォークスルー性に難があったが、このモデルよりコラムシフトとなり使い勝手が向上した。
先代でも好評のハイウェイスターはこのモデルでも継続して設定されている。
2000年、オーテックジャパン特装車扱いで「キッズバージョン」が追加。現在では一般的となっているISO-FIX方式チャイルドシートアンカーを初めて装備し、実用的な意味のある特別仕様車である。
2001年、フェイスリフトを含むマイナーチェンジ。フロントグリルに横基調のデザインがされる。リアコンビネーションランプも大型化、バックドア周りのデザインも変更されよりモダンなものとなった。
2005年、セレナは三代目にモデルチェンジ。
ゴーン体制下の日産で「SHIFT」から始まるよう統一されていたキャッチフレーズはこのセレナにも適用され、「SHIFT capacity 1BOXの可能性をシフトする。」というものであった。
ルノーとの提携は大きな影響を与え、このセレナのボディはルノー・メガーヌと共通のフロアパンの上に構築されている。
4WDモデルではリアサスが日産お得意のマルチリンクサスペンションとなり、さらなる安定性が追求された。なお2WDモデルではこのクラスのミニバンの標準であるトーションビーム式である。
室内空間はさらに拡大され、ホイールベースは当時クラス最長の2,860mmに達した。
先代から設定され好評の、押し出しを強めた「ライダー」はこの三代目にも設定されている。
生産はこの代では日産車体が請け負った。
三代目デビューのその年に早くもマイナーチェンジ。環境性能の激しい競争に対応。全車が「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」認定となる。
2006年、好評であった「ハイウェイスター」を復活させた。
2007年、フェイスリフトを伴うマイナーチェンジを実施。広告コピーも「SHIFT family ties 家族の絆をシフトする。」に変わる。
また初めて「アラウンドビューモニター」が設定された。このアラウンドビューモニターは、バックモニターの高機能なもので、画面にはまるで車両直上から見下ろしたような映像が映り、バック駐車の苦手な方におすすめだ。
元々のミニバンとしての高い利便性と基本性能に加え、これらのテコ入れにより2009年にはクラス最多の販売台数となった。
2010年、四代目セレナがデビュー。
サイドウィンドウが前席位置で跳ね上がる特徴的なスタイルを先代から受け継ぎ、さらに中身に磨きをかけた。
エンジンは直噴化。エンジン型式がMR20DD型となる。これにより4WD車でも「平成22年度燃費基準+25%」をクリア。
先代に続きこのセレナも大ヒットし、2011年には再びこのクラスのミニバンとしてトップの販売台数を誇った。
2012年、「S-HYBRID」設定。スターターモーターに代わり比較的小さな原動機モーターを備え、乗員のためのスペースや荷室を一切犠牲にせず、クラス唯一のハイブリッドとしてデビュー。
燃費性能もクラストップのものとなった。
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