VW ゴルフのハイパフォーマンスモデル『ゴルフR アドバンス』に試乗

日本でも高い人気を誇るトヨタ カローラスポーツやスバル インプレッサと同じCセグメントのなかで、長年にわたりベンチマーク的な存在として位置付けられてきた「フォルクスワーゲン ゴルフ」。
現行型となる8代目(ゴルフ8)は、2021年6月に日本導入が開始されたモデルで、そのハイパフォーマンス版であるゴルフRは、2022年10月に登場しました。
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- デジタル化と電動化で進化したゴルフ8の先進性
- ゴルフ8.5はゴルフRとゴルフR アドバンスの2グレード展開
- パワーとレスポンスが強化された最新のゴルフRエンジン
- 日常使いからサーキットまで対応する最高のポテンシャル
デジタル化と電動化で進化したゴルフ8の先進性

今回のゴルフRのベースとなっているゴルフ8は、デジタル化と電動化、ドライバーアシスタンスシステムの3つで飛躍的な進化を遂げています。
デジタルメータークラスター「Digital Cockpit Pro(デジタルコクピットプロ)」は10.25インチの液晶ディスプレイを採用し、先進的なインターフェースを全車標準装備。
さらに、フォルクスワーゲン初の48Vマイルドハイブリッドシステムにより、スムーズな加速と燃費性能を両立させています。
くわえて、万がいちの緊急時に自動で車両を安全に停止させる“エマージェンシーアシスト”などの先進安全装備も備え、クラスを超えた高い安全性を実現しました。
現在は2025年1月のマイナーチェンジを経て、ゴルフ8.5へと進化。ゴルフRもゴルフ8.5となり、内外装のデザインとともに、エンジン性能が高められています。
ゴルフ8.5はゴルフRとゴルフR アドバンスの2グレード展開
ゴルフRのボディサイズは、全長4295mm×全幅1790mm×全高1460mmでゴルフ8時代から変更はないものの、LEDヘッドライトやイルミネーション付きVWエンブレム、新形状バンパーやベンチレーショングリルによよってスポーティで洗練された印象が高まりました。
初代ゴルフR以来、モノグレードで展開してきた「ゴルフR」ですが、今回のマイナーチェンジで上位グレードにあたる「ゴルフR アドバンス」がくわわりました。
「ゴルフR」と「ゴルフR アドバンス」の外観上の違いは、1本当たり8kg という軽量19インチアルミホイール“Warmenau(ヴァルメナウ)”を装備した足もとぐらいです。
インテリアにもこだわりが詰まっており、両モデルともに専用デザインのデジタルメータークラスターやタッチ式スイッチ、大型パドルシフトを備えたステアリングホイールが採用されています。
シートはヘッドレスト一体型のスポーツシートで、「ゴルフR」は専用デザインのファブリック&マイクロフリースシート、「ゴルフR アドバンス」にはシート側面部分にカーボン調エレメントを配したナッパレザーシートが標準装備となります。
パワーとレスポンスが強化された最新のゴルフRエンジン

パワートレインにも注目すべき進化が施されています。2.0L直列4気筒ターボ+7速DSGの組み合わせはそのままで、エンジンのチューニングにより最高出力が235kW(320ps)から245kW(333ps)にアップ。
吸排気可変バルブタイミング機構や、排気側の2段階バルブリフト量可変機構、エンジンの適切な温度管理を行うクーラント制御システムなどの採用や徹底した内部損失の低減などによって、パフォーマンスと環境性能を高い次元で満たすスポーツエンジンに仕立てられています。
駆動方式は、左右後輪のトルク配分を0~100%のあいだで調整可能な“R-パフォーマンストルクベクタリング”を備えた4WDシステム「4MOTION」です。
“ビークル・ダイナミック・マネージャー”が、電子制御ディファレンシャルロック“XDS”や“DCC”の統合制御にくわえて、4モーションも統合的にコントロールすることで、ゴルフRの限界的な旋回性能をさらに引き上げています。
車両本体価格はゴルフRが704万9000円、ゴルフR アドバンスが749万9000円となっています。
日常使いからサーキットまで対応する最高のポテンシャル

今回試乗したのは、19インチアルミホイールを装着したゴルフR アドバンスです。
パワフルさに加えて扱いやすさが格段に向上しており、従来モデルにあった「じゃじゃ馬」的な印象が薄れ、洗練されたサラブレッドのような乗り味に仕上がっています。
全長4.3mのコンパクトなボディに高出力エンジンを搭載しながらも、4MOTIONによる高い安定性は、運転スキルに関わらずいつでもドライバーをサポートしてくれる安心感があります。
また荒れた路面でもしなやかに追従するサスペンションは、乗る人すべてに快適さと安全性を提供。街中での快適性はもちろんのこと、ロングツーリングも涼しい顔でこなす高性能ぶりは、ゴルフRの魅力です。
ただし本領を発揮するにはサーキットへ行くことをおすすめします。それだけ高いポテンシャルを持ったクルマだと言えます。