いまさら聞けない。世界のトップ50に入るドイツの5大ブランド(自動車メーカー)を解説
日本で人気の輸入車といえば、その多くがジャーマンブランドであることに異論がある人はいないでしょう。
アメリカのブランドコンサルティング会社の調べでは、グーグルやコカ・コーラなど名だたるブランドにまじってメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェがトップ50に入っています。
そんな一流ブランドの歴史と特徴、代表的なモデルを紹介します。
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- 世界はドイツブランドを中心に回っている!?
- 高い知名度を誇るメルセデス・ベンツは、9年連続で輸入車販売台数1位を獲得
- SUVやワゴンにも貫かれるBMWらしい走りのこだわり
- 大看板車種のゴルフを擁するフォルクスワーゲン
- VWよりも上質でスポーティなアウディ。EVモデルやTTクーペなども買える
- 看板モデルの911を筆頭にEVでも走りに注力するポルシェ
- ブランドの個性を味わうモデルの選び方とは
世界はドイツブランドを中心に回っている!?
日本の輸入車市場は、メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン(VW)、アウディ、ポルシェの5大ブランドが中心です。
そのなかのアウディとポルシェは、同じVWグループであるため、基本的にはプラットフォームやパワートレインなどを共有化しつつ、各ブランドで独自の味付けを行っています。
ほかにもフランス車やイタリア車、イギリス車、ボルボのスウェーデン、ジープなどのアメリカ車、最近では中国のBYDや再上陸をはたしたヒョンデなども選択できますが、新車のシェアと同様に、中古車市場でもより多くの選択肢があるのがドイツの5大ブランドとなっています。
高い知名度を誇るメルセデス・ベンツは、9年連続で輸入車販売台数1位を獲得
ドイツを代表する高級ブランドのメルセデス・ベンツは、9年連続で日本における輸入車販売台数ナンバー1に輝いています。
人気の理由は、圧倒的なブランド力、知名度によるものが大きいでしょう。
しかしインポーターはそれに甘えることなく、「Mercedes me」というクルマを売らないショールームを常設したり、レンタカーやカーシェアリング事業、多彩なコラボやイベントを展開したりしています。
また、近年はSUVのラインナップを強化していて、バッテリーEV(BEV)も含めると、日本国内に15モデル(2024年5月末現在)を展開。これはトヨタよりも多く、品揃えの豊富さも際立っています。
さらに最近ではPHEV(プラグインハイブリッド)の品揃えも充実していて、BEVとPHEVだけでも14モデル(2024年5月末現在)が用意されています。
SUV、EVの強化はもちろん、ブランドを支えているAクラスやBクラスなどのコンパクトモデル、DセグメントのCクラス、EセグメントのEクラスといったセダンを中心としたミドルクラスやアッパーミドルクラス、そしてSクラスを頂点とした最上級サルーン、さらに超高級シリーズであるマイバッハまで、1本筋の通ったラインナップがあり、その隙間をクロスオーバーモデルなどが埋めているという盤石の体制を敷いています。
メルセデス・ベンツの代表車種は、ハッチバックではAクラス、比較的コンパクトなセダンではCクラス、SUVではGLCや孤高の存在ともいえるオフロード系SUVのGクラスなどがあります。
4代目となる現行Aクラスは、200万円台で数多くの中古車物件が揃っていて、最新安全装備の「レーダーセーフティパッケージ」装着車も200万円台でも狙える状況です。
同ブランドの入門車として最適な1台といえます。
SUVやワゴンにも貫かれるBMWらしい走りのこだわり
BMWは、英国のロールス・ロイスを傘下に持ち、MINIブランドも展開するメーカーですが、ここではBMWに絞って紹介します。
BMWもメルセデス・ベンツと同様に、近年ではSUVとEVの強化が印象的です。
輸入車で都市型SUVの走りと言えるのがX5で、現在ではX1、X3、X5、X7というSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)、X2、X4、X6というSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)や4シリーズなどのクーペモデルなどが隙間を埋めています。
もちろん、M3/M4などのスポーツモデルが元気なのもBMWの伝統と言えます。
また、MモデルやM Sportなどのスポーツ仕様でなくてもドライバビリティを重視したクルマ作りがされていて、BMW共通の特色になっています。
SUVの人気が根強いなかでもBMWの基幹シリーズといえるのが、ハッチバックの1シリーズ、セダンとワゴンのツーリングを擁する3シリーズと5シリーズ、高級サルーンの7シリーズです。
日本車のセダン、ステーションワゴンは縮小の一途を辿っていますが、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディに関しては、セダンもステーションワゴンもクルマ作りの根幹をなすものとして開発の手を緩めていません。
現在でも代表的なモデルは、Dセグメントであり、BMWの顔ともいえる3シリーズです。
中古車市場での3シリーズ(セダン)の物件数は多く、2019年登場の現行型でも300万円台で、走行距離の短い個体が並んでいます。
3眼カメラによる先進安全装備や高速道路での渋滞時ハンズオフ(手放し)ドライブなどの先進技術も享受できます。
大看板車種のゴルフを擁するフォルクスワーゲン
フォルクスワーゲンも電動化を掲げていて、ID.4をすでに日本に上陸させているものの、EVのラインナップ数ではメルセデス・ベンツとBMWに大きく水をあけられています。
最近のフォルクスワーゲンは、モデル数を絞って日本に投入している印象で、以前販売されていた大型SUVのトゥアレグ、セダンのジェッタなどは現在、日本ではラインナップされていません。
いっぽうでVWもSUVに注力していて、コンパクトSUVのT-Crossが2020年から3年連続で輸入SUVナンバー1を獲得。
2023年は、兄貴分のT-Rocが1位、弟分のT-Crossが2位となり、SUVで強さを発揮しています。
SUVを推しながらも販売面やブランドイメージを支えているのは、やはりゴルフでしょう。
ハッチバックのゴルフ、スポーツグレードのGTI、最上級スポーツのRに加えて、ステーションワゴンのヴァリアントも設定。
ゴルフも代を重ねるごとにサイズアップされているものの、現行型のハッチバックは、全長4,295mm×全幅1,790mm×全高1,475mmと比較的取り回ししやすい大きさに収まっています。
さらに、ひと回り小さいBセグメントハッチバックのポロも控えています。
VWよりも上質でスポーティなアウディ。EVモデルやTTクーペなども買える
フォルクスワーゲン・グループであるアウディは、VWモデルよりも上質感、スポーツ性能を高め、SUVはもちろん、セダンやステーションワゴンも充実しています。
電動化への対応も早く、アウディA3に初めてプラグインハイブリッドのe-tronを設定したのを皮切りに、現在はBEVのe-tronとして、アウディe-tron、Q4 e-tron、Q8 e-tronなどを展開しています。
BEVに注力しながらもコンパクトハッチのA1、ハッチバックのスポーツバックとセダンを設定するA3、DセグメントのA4は、セダンとステーションワゴンのアバントを用意。
さらに、A6、A8という高級セダンのほか、A5スポーツバック、A5クーペ、A7スポーツバックなど、ラインナップの隙間を埋める個性派も揃っています。
そのほか、TTクーペなどのスポーツ系、Sモデル、RSモデルというスポーツバージョンも多くのモデルに設定されています。
SUVでは、Q3やQ5などの代表的なモデルがあり、ハッチバック(スポーツバック)はA3、セダンはA4が代表車種といえるでしょう。
フォルクスワーゲンにはないのは、中古車でも比較的タマ数が多いTTクーペ。
2023年で生産を終えていて、初代TTはドイツのバウハウスにヒントを得たデザインが大きな話題を集めました。
1999年に発売された初代はさすがにタマ数が減ってきていますが、2代目、現行型であれば多くの選択肢から選べます。
看板モデルの911を筆頭にEVでも走りに注力するポルシェ
ドイツのみならず世界を代表するスポーツカーメーカーであるポルシェもVWグループの一員となっています。
しかし、911やボクスター、ケイマンなどのスポーツカーを揃えるだけでなく、ボディバリエーションやパワートレーン、グレード(仕様)も豊富で多彩な選択肢が揃っています。
また、高級SUVの火付け役になった初代カイエン以降、弟分のマカンも加わり、高級スポーツセダンのパナメーラなども控えていますアウディ同様に、EVの品揃えも増やしていて、タイカンを筆頭に2代目の次期マカンはBEV化されます。
SUVやEVでもポルシェに共通するのは、あくまでスポーツモデルそのものであることです。
EVの品揃えが増えても現在の代表的なモデルはやはり911でしょう。
ひと言で911といっても、クーペ、カブリオレ、タルガ、ターボ、GT3、GT3 RS、ダカール、S/Tといった多彩なタイプ(バリエーション)が揃っていて、パワートレーンの選択も含めて、多彩なユーザーニーズに応えてくれます。
また、911とはいってもMTよりも2ペダルのPDKの方が多いのが現実ではあるものの、3ペダルを買ってRRレイアウトによるその走りを楽しみたい人にも応えてくれます。
同じ911でも素の911とGT3やターボなどでは、走りから得られるテイストはかなり異なります。
ブランドの個性を味わうモデルの選び方とは
ドイツ生まれの5大ブランドは、現実の市場での競争により、同じセグメントに多くのモデルを送り込んでいます。
いっぽうで、内外装のデザインや装備、使い勝手などはもちろん、走りのテイストなど、そのブランドならではのこだわりや味付けが色濃く反映されています。
指名買いになりそうな趣味性の高いスポーツモデルなどをのぞき、ライバル車がある場合は、2モデル、3モデルなど複数のなかから選ぶことで、そのブランドの個性がより分かりやすく感じられるはずです。