中古で狙いたいトヨタ ヴォクシー初代(60系)〜3代目(80系)解説
トヨタ ヴォクシーは「ライトエース・ノア」の後継車種として2001年に姉妹車のノアと同時に発売されたミニバンです。現在は4代目(90系)まで進化しています。
もともとノアとは、取り扱い販売店を棲み分けていましたが、2000年以降はすべての販売店でノア、ヴォクシーが購入できるようになりました。そのなかから、中古で狙いやすい初代(60系)から3代目(80系)を重点的に解説します。
モデルチェンジの歴史・略年表
2001年 | 初代(60系) 発売 |
---|---|
2004年 | マイナーチェンジ |
2007年 | 2代目(70系) 発売 |
2010年 | マイナーチェンジ |
2014年 | 3代目(80系) 発売 |
2017年 | マイナーチェンジ |
2022年 | 4代目(90系) 発売 |
初代(R60G・2001年〜2007年)
シャープなグリルや個性的なヘッドライト、クリアリアレンズにより、鋭く迫力のある引き締まったデザインとなっています。
インテリア/装備
定員2-3-3の3列シートをフラットで低いフロアに配し、リアは両側スライド式となり乗降性と使い勝手を向上させています。
走行性能・燃費性能
エンジンは2.0L 直4DOHC 直噴D-4ガソリンエンジンで国土交通省「良-低排出ガス」認定を取得しています。
全長×全幅×全高 | 4,560mmx1,695mmx1,850mm |
---|---|
室内長×室内幅×室内高 | 2,680mmx1,470mmx1,340mm |
エンジン | 直列4気筒DOHC・1,998cc |
最高出力 | 112kW(152PS) |
燃費性能 | 14.2Km/L |
マイナーチェンジ(前/後の変化について)
2004年
フロントグリルやフロントバンパー、ヘッドランプ、リヤコンビネーションランプのデザインが変更となり、シート表皮を変更しました。
また、Super CVT-iを全車標準装備化したことで、「平成17年度基準排出ガス50%低減レベル(☆☆☆)」と「平成22年度燃費基準+5%」を同時に達成しました。
特別仕様車
・Z 煌(2002年)
ZをベースにZ・Gエディションの便利機能(ワイヤレスドアロックリモートコントロール、スライドドアイージークローザーなど)や外装のメッキ処理、パワーアシストドアを標準装備した特別仕様車です。
・Z 煌・ナビスペシャル(2002年)
「Z 煌」の装備にワイドマルチAVステーション、6スピーカー、バックガイドモニターをプラス装備した特別仕様車です。
各グレードの解説
・X
ベーシックグレードです。
・X Gエディション
Xにパワーアシストドア、ワイヤレスドアロックリモートコントロール、外気温表示付オートデュアルエアコンなどの装備を搭載したグレードです。
・Z
大型バンパーや専用アルミホイールを装着するスポーティモデルです。
・V
オプティトロンメーターやMD・CDデッキなど装備が充実しています。
・Z Gエディション
Zにパワーアシストドア、ワイヤレスドアロックリモートコントロール、外気温表示付オートデュアルエアコンなどの装備を搭載したグレードです。
ヴォクシー(R60G型)のモデル・グレード一覧
2代目(R70G/W・2007年〜2014年)
ボディーサイズは、基本的に先代と同じく5ナンバーサイズですが、グレードZS、Zはワイドタイヤの装着によって全幅が1,720mmに拡大し、3ナンバー車となりました。
インテリア/装備
サードシートは、ワンタッチでの折りたたみ、跳ね上げまで可能な世界初のワンタッチスペースアップシート、セカンドシートは外側方向に回転しチャイルドシートへの乳幼児の乗せ降ろしを容易にするチャイルドケアモードを備え、また470mmのロングスライドが可能となりました。
走行性能・燃費性能
エンジンは、2種類の新開発2Lを搭載。158馬力を発生する3ZR-FAEエンジンは、吸・排気連続可変バルブタイミング機構(DualVVT-i)に加え、吸気バルブのリフト量を連続的に変化させ、全運転領域で最適に制御するシステム「バルブマチック」を採用しています。
全長×全幅×全高 | 4,595mmx1,695mmx1,850mm |
---|---|
室内長×室内幅×室内高 | 2,970mmx1,485mmx1,340mm |
エンジン | 直列4気筒DOHC・1,986cc |
最高出力 | 105kW(143PS)/116KW(158PS) |
燃費性能 | 13.6Km/L |
マイナーチェンジ(前/後の変化について)
2010年
外装はフロント周りやリアコンビネーションランプ、ホイールのデザインを変更。
従来は「ZS」のみだったバルブマチック付エンジン3ZR-FAE型を全グレードに拡大した他、7速スポーツシーケンシャルシフトマチックを全車に搭載し、全車で「平成22年度燃費基準+25%」を達成しました。
また、セカンドシートアレンジを変更し、7人乗り仕様にはマルチ回転キャプテンシート、8人乗り仕様には6:4分割チップアップシートを新採用しました。
セカンドとサードシートのセンター席にELR付3点式シートベルトとヘッドレストを追加し、安全性が向上しました。
特別仕様車
・ZS 煌(2008年)
「ZS」をベースにした「ZS 煌」として発売。デュアルパワースライドドア、メッキハンドル、メッキドアミラーなどを装備した特別仕様車です。
・ZS 煌II(2009年)
「ZS 煌」のデュアルパワースライドドア、メッキ加飾(ハンドル・ドアミラーなど)に加え、3つのスピーカーとアンプを追加し9スピーカーにすることにより質の高いサウンド空間にしたほか、ステアリングオーディオスイッチやコンライトが新たに装備され、利便性も向上した特別仕様車です。
・ZS"煌III"(2012年)
「ZS"煌II"」のバージョンアップ仕様で、今回はスーパーUVカットガラス(グリーン・フロントドア)、メッキ処理を施したヘッドランプガーニッシュなどを新たに装備するとともに、シート表皮は合成皮革とジャージ(ラグジュアリー)を組み合わせた仕様となり、シルバーステッチを本革巻きパドルシフト付3本スポークステアリングホイールにも採用した特別仕様車です。
・ZS"煌Z"(2013年)
「ZS"煌III"」のバージョンアップ仕様で、プロジェクター式ディスチャージヘッドランプが「ZS"煌III"」のメッキ処理からシャンパンゴールドリングを施した仕様に変更した特別仕様車です。
各グレードの解説
・トランス-X
ラゲージルームを重視した2列シート5名定員のグレードです。
・X
ベーシックグレードです。
・X Lエディション
XにHDDナビがオプション設定できるグレードです。
・Z
スポーツモデルの標準グレードです。
・ZS
スポーツモデルの上級グレードです。
・V
装備が充実した最上級グレードです。
ヴォクシー(R70G/W型)のカタログ一覧
3代目(R80G/W・2014年〜 )
ヘッドランプと連続する上下二段構成のフロントグリルにより独自の美意識を追求しました。
サイドビューは3列目シートまで吹き抜ける大きなグラスエリアと、前方から低く後方に向けてせり上がる躍動的なベルトラインにより、見晴らしの良いキャビンの圧倒的な開放感とボディの力強さを両立しています。
インテリア/装備
ドライバーが運転しやすく、同乗者も快適に過ごせるよう、低くワイドなインストルメントパネルとすることで、圧倒的な広さ感、見晴らしを追求。
内装の素材や色彩をコーディネートし、室内全体を優しく包み込むモダンリビング的な室内空間を実現。
7人乗り仕様車のセカンドシートに、横スライド機構とワンタッチスペースアップサードシートの組み合わせで超ロングスライドを実現したクラス初のキャプテンシートを採用しました。
走行性能・燃費性能
2Lエンジン(3ZR-FAE)を搭載し、新開発Super CVT-iやアイドリングストップ機能などの採用で、JC08モード走行燃費16.0km/L(アイドリングストップ機能付2WD車)を達成しました。
3代目 | |
---|---|
全長×全幅×全高 | 4,695mmx1,695mmx1,825mm |
室内長×室内幅×室内高 | 2,930mmx1,540mmx1,400mm |
エンジン | 直列4気筒DOHC・1,986cc[ガソリン] 直列4気筒DOHC・1,797cc[HV] |
モーター | 5JM[HV] |
最高出力[ガソリン]/システム出力[HV] | 112kW(152PS)[ガソリン] 100kW(136PS)[HV] |
安全性能
トヨタヴォクシーには、先進的予防安全装備のパッケージ「TOYOTA SAFETY SENSE C」が搭載されており、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構が行う安全性能評価で最高評価のASV+を獲得しています。
「TOYOTA SAFETY SENSE C」には次の機能があります。
・プリクラッシュセーフティシステム
衝突の回避や衝突時の被害軽減をサポートする仕組みです。進路上の先行車をレーザーレーダーと単眼カメラで検出。衝突が予測される場合には、約15km/h~140km/hの車速域で警報を発して回避操作を促し、約30km/h~80km/hで走行中にブレーキを踏むと、強力なブレーキアシストが作動する仕組みです。
・レーンディパーチャーアラート
車線逸脱による事故を未然に防ぐための機能です。道路上の白線(黄線)をセンサーで認識し、ドライバーがウインカー操作を行わずに車線を逸脱する可能性がある場合、ブザーとディスプレイ表示による警報で知らせる仕組みとなっています。
・オートマチックハイビーム
ハイビームとロービームを自動で切り替え、夜間の歩行者などの早期発見をサポートする機能です。切り替え忘れを防ぐほか、手動操作の煩わしさも軽減されます。
マイナーチェンジ(前/後の変化について)
2017年7月
外観は、Bi-Beam LEDヘッドランプ(オートレベリング機構付)と面発光のLEDクリアランスランプを採用し、2段積みのヘッドランプをよりシャープなデザインとなりました。リアのコンビネーションランプとバックドアガーニッシュをワイド感を強調した新デザインに変更しました。
エアロ仕様の「ZS」は「ハ」の字をテーマにしたスタイルとなりました。
ガソリン車は切削光輝加工とダークグレーメタリック塗装を施した専用16インチアルミホイールを標準装備しました。
ボディカラーは「X」・「V」専用色の「ダークバイオレットマイカ」と「オーシャンミントメタリック」を廃止し、新規開発色となる「イナズマスパーキングブラックガラスフレーク(オプションカラー)」と「X」・「V」専用色の「アバンギャルドブロンズメタリック」を追加し、「シルバーメタリック」を「X」・「V」専用色に移行。
内装はオプティトロンメーターにリング幅を細くした丸形リングを採用。「V」と「ZS」において天井までブラックで統一してピアノブラック塗装をあしらい、「ZS」には専用内装色として「ブラッドオレンジ&ブラック」を設定しました。
助手席シートバックに格納式テーブルを追加し、インストルメントパネルのセンターロア部に充電用USB端子(2個)をそれぞれ追加。
クルーズコントロールやウインドシールドガラスを全車に標準装備しました。
パワースライドドア(「X」はオプション設定)には、閉める途中にフロントドアハンドルのセンサーに触れると施錠予約ができるスマートロック操作機能を追加しました。
スライドドアには遮音性向上のためシールを追加し、空力パーツの追加やボディ剛性の向上、ショックアブソーバーの改良を行いました。
特別仕様車
・ZS 煌(2014年)
フロントグリルにメッキ+ブラックメタリック塗装を、アウトサイトドアハンドル・オート電動格納式リモコンドアミラー・LEDヘッドランプ&LEDクリアランスランプ・インサイトドアハンドル(フロント)にメッキ加飾を、バックドアの車名ロゴにスモークメッキ加飾を、マルチインフォメーションディスプレイフードにシルバー加飾をそれぞれ施したほか、ワンタッチスイッチ付デュアルパワースライドドア、スーパーUVカットグリーンガラス+撥水機能付(フロントドア)、6スピーカーを特別装備した特別仕様車です。
・ZS 煌II(2016年)
「ZS 煌」のバージョンアップ仕様で、新たに、フロントグリルモールに高輝度シルバーを、センタークラスターパネルとサイドレジスターベゼルにピアノブラックをそれぞれ採用し、LEDフロントフォグランプを特別装備した特別仕様車です。
各グレードの解説
・X Cパッケージ
ハロゲンヘッドランプ(マニュアルレベリング[ロービーム]機能付)+LEDクリアランスランプを装備しています。
・X
ワンタッチスイッチ付助手席側パワースライドドア(デュアルイージークローザー付)などを装備しています。
・ZS
迫力のあるフロントマスクと低重心のワイドボディを専用フロントフェンダーパーツを装備したエアロ仕様となっています。
・V
クルーズコントロールを装備しています。
ヴォクシー(R80G/W型)のカタログ一覧
競合車との比較
日産 セレナ
トヨタ ヴォクシー(80系) | 日産 セレナ(C27) | |
---|---|---|
新車価格帯 | 228.4~332.1万円 | 243.5~353.4万円 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,695mm×1,695mm×1,825mm | 4,690mm×1,695mm×1,865mm |
室内長×室内幅×室内高(mm) | 2,930mm×1,540mm×1,400mm | 3,240mm×1,545mm×1,400mm |
最高出力/システム出力[HV] | 112Kw(152PS)[ガソリン] 100Kw(136PS)[HV] |
110kW(150PS)[ガソリン] 100Kw(136PS)[e-POWER] |
燃費性能(WLTCモード) | 12.2~19.0Km/L | 11.8~18.0Km/L |
安全装置(予防安全性能) | ASV+を獲得 | ASV++を獲得 |
その他 | - | 自動運転装備を搭載 |
ボディサイズは全体的に日産セレナのほうが大きく、室内長が長いのでゆったりとした室内空間や収納面で勝っています。
一方で、走行性能はヴォクシーのほうが優れており、燃費性能もセレナはハイブリッドとはいえ、高いと言えません。
安全装置はヴォクシーもセレナも先進的予防安全装置を搭載していますが、日産セレナのほうが高い評価となっています。また、日産セレナにはミニバン初となる自動運転装備(プロパイロット)を搭載しています。
以上から、基本的な走行性能や燃費、そして価格を重視するという方はヴォクシーを、最先端の自動運転や広い室内空間重視という方は日産 セレナを選ぶということになるでしょう。
まとめ
5ナンバーサイズのミニバンはファミリカーの中心となっており、自動車メーカー各社の看板車種がひしめくマーケットです。
その中でもトヨタ ヴォクシーは市場をリードする存在でしたが、日産 セレナやホンダ ステップワゴンは根強い人気をもっていますし、同じトヨタからはノア、エスクァイア、低燃費が売りのシエンタが登場しヴォクシーからトップの座を奪うまでになりました。
最大のライバルである日産 セレナは、プロパイロットといった新しい技術も魅力です。