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「ハイブリッドなんてどれも一緒でしょ」なんて思っていませんか?トヨタ、日産、ホンダのハイブリッド技術を解説

トヨタ クラウン クロスオーバー

トヨタが世界で初めて乗用車のハイブリッド車(以下HV)を量産(初代プリウス)して以来、HV大国として世界をリードしてきたのが日本のメーカーです。

しかし、ひと口にHVといってもメーカーによって構造が違っているのをご存知でしょうか?

ここでは、トヨタ、日産、ホンダの違いと中古で狙いやすい代表車種をピックアップします。

Chapter
日産は100%電動駆動の「e-POWER」が主力に
ホンダは独自の「e:HEV」を主力に据える

乗用車で世界初の量産型ハイブリッドを産んだトヨタ

トヨタ プリウス 60

HV車関連で多くの特許を抑えきたトヨタは、「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)」を1997年に発売した初代プリウスに搭載しました。

発電用、駆動と回生を担う2モーターを使うシリーズパラレル式ハイブリッドで、モーターのみで走行できる範囲が広く(長く)、フルハイブリッド(ストロングHV)とも呼ばれています。

遊星ギアを備えた動力分割機構によりエンジンを発電、走行に分配し、エンジンとモーターの動力を分配することができます。

特許の問題はもちろん、2019年に技術特許2万件以上が無償開放されても技術的なハードルが高いこともあり、コストなどの面も含めて他メーカーが自社製品に採り入れることは容易ではありません。

欧州では48VのマイルドHVが主力で、独自のフルHVを日本に導入しているのはルノーのみです。

トヨタ ノア ヴォクシー THSⅡ

現在は「THSⅡ」の第5世代が現行ノア/ヴォクシーの登場を機に導入されています。その特徴は、モーター走行域の広さや高い静粛性、そしてカタログ燃費の良さにあります。

なおこの第5世代からは、呼称を「THSⅡ」から「シリーズパラレルハイブリッドシステム」変えています。

代表車種は数多いですが、初めて第5世代が搭載された現行ノア/ヴォクシーは徐々に中古車市場での物件数が増えつつあります。

しかし第5世代は登場からまだ日が浅いため、中古車なら第4世代が狙い目です。

日本を代表するHV車のプリウスは、先代の4代目(50系)であれば、物件数も多く、150万円〜200万円くらいで航続距離の短い個体も数多く揃っています。

日産は100%電動駆動の「e-POWER」が主力に

日産 セレナ 5代目

日産は、2012年からミニバンのセレナにマイクロHVの「スマートシンプルハイブリッド(S-HYBRID)」を導入

現行デイズにも設定されていますが、現在の主力はシリーズHVのひとつであるe-POWER」になっています。

日産 ノート e-POWER

エンジンは発電に専念し、大出力モーターが100%駆動を担っています。

低速域などではバッテリーの電力で駆動するため、モーター走行ならではの高い静粛性が得られるいっぽうで、エンジンが始動する音や振動は、走行中でも察知できます。

100%電動駆動ですので、モーター走行の利点である発進時から力強く、スムーズな走りが得られます。雪上などでもコントロールしやすく、2WD車でもスタッドレスを装着していれば実用になる走破性を備えています。

燃費では、「THSⅡ」には遠くおよばないものの、100%電動駆動による電動車らしい走りと、給油できれば電欠の心配とは無縁であることなどが評価されているポイントではないでしょうか。

日産 キックス コロンビアエディション 特別仕様車

e-POWER搭載車でおすすめなのは、Bセグメントのノート。現行型は先日、マイナーチェンジを受けて顔つきが変わりましたが、走行距離が短い物件でも150万円〜200万円程度で多く揃っています。

また、現行セレナはまだ物件数が少なめで価格も高めですが、先代e-POWER搭載車であれば狙いたい個体もあります。ただし、走行距離が短い場合は、強気の価格設定というケースが多いようです。

そのほか、e-POWER専用のコンパクトSUVのキックスも物件数が多く狙い目です。

ホンダは独自の「e:HEV」を主力に据える

ホンダ フィット e:HEV

ホンダは、トヨタとともにHVを牽引してきました。

初代プリウスに後れを取ったものの、初代インサイトはパラレル方式の「ハイブリッド・システムIMA」を搭載し、世界最高燃費の35.0km/Lを達成していました。

見るからに空力性能に優れていそうなフォルムであるいっぽうで、2人乗りのクーペは乗り手を選んでいたのは間違いなく、2代目では5人乗りの5ドア、3代目では5人乗りの4ドアセダンとして登場。

紆余曲折を経て、現在はシビックにその座を託しています。

ホンダ フィット 4代目

現在のe:HEV」は、発電用と駆動用の2つのモーターとエンジン直結クラッチを内蔵した2モーター式内蔵CVTを搭載

これによりEVモード、HVモード、エンジンモードの切替が可能で、エンジンは、エンジン低負荷域の高速走行時などに使うホンダならではの技術が採用されています。

なお、ホンダは大きく分けて、「IMA」、「i-DCD」、「e:HEV」と使い分けてきました。

中古車市場では、「e:HEV」を積む現行フィットもかなり数が増えていて、150万円以下でも低走行の個体が多く狙い目です。

トヨタ クラウン クロスオーバー

いまや当たり前になっているHV車。充電できるHVであるPHEV、バッテリーEVが世界的に増えているなかでも価格面のメリットは見逃せません。

HVシステムの違いで車種選びをする人は少ないかもしれませんが、各社の特徴を頭に入れておくことで、走りや燃費などの面で参考になるかもしれません。

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

自動車雑誌、モノ系雑誌の新車担当編集者を約10年務めた後に独立し、フリーランスライターとしても10年が経過。
自動車雑誌、ライフスタイル雑誌、Web媒体などで新車試乗記事やカーナビ、カーエレクトロニクスなどの展開している。

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

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