鈴木 ケンイチ | すずき けんいち

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3～4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会（AJAJ）会員　自動車技術会会員　環境社会検定試験（ECO検定）

■初代 キューブ
マーチをベースにした派生モデルとして1998年2月に初代が誕生。丸い愛らしいマーチとは異なり、名称の通りに四角なデザインが特徴のキューブは、デビューと共に大ヒット。なんと発売8ヵ月で国内生産10万台を突破。日産としては、1982年にデビューした初代マーチ以来の記録でした。真面目な印象で知られたタレントの草野仁氏をCMに起用し、「アソブ、ハコブ、キューブ。つまり、コンパクトでハイトなワゴン」とのキャッチフレーズも印象的でした。当時は、1996年に初代が誕生したマツダ・デミオのように、コンパクトカー派生の背の高いクルマが大人気を集めていたのです。現在、中古車として乗るには、さすがに20年以上前のクルマということで、相当に程度の良いものではないと苦労するはず。また、内装系の劣化も購入時のチェックポイントとなります。

■2代目 キューブ
大ヒットした初代モデルのコンセプトを引き継ぎ、洗練されたデザインとなったのが2002年10月に登場した第2世代のキューブです。ルックスは、よりスクエアになり、バックドアは横開きを採用。それにあわせて左右非対称の特徴的なデザインが採用されています。スクエアになったことで室内空間は、初代よりも広いものとなっています。1.4リッター・エンジンを採用し、トランスミッションはCVTと4速ATの2種を用意。4WDモデルは後輪にモーターを使うe-4WDが採用されています。また、初代モデルは途中から追加されたドレスアップ版の「ライダー」が、この世代では最初から用意されていました。2003年には3列シート7人乗りの「cube3（キューブ　キュービック）」を追加。これは2代目モデルにだけ存在したバリエーションです。コンパクトカーでありながらも多人数を乗せたいというニーズに応える珍しいモデルと言えます。先代のキューブは、現行の第3モデルに近い雰囲気を持っているため、中古車として利用しやすいモデルと言えるでしょう。

■3代目 キューブ
先代モデルのコンセプトを踏襲し、よりデザインを洗練させたのが、2008年11月に発売開始となった第3世代のキューブ。なんと生産は2019年末まで続き、2018年には「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を獲得するほどの長寿モデルとなりました。スクエアであり左右非対称、居間のような寛げるインテリアデザインといったコンセプトは、2代目モデルからの継続したもの。この基本的コンセプトが長い間、支持されたというのもロングライフの理由でしょう。1.5リッター+CVTというパワートレインは、2008年のデビューから最後まで同じものでした。この第3世代のキューブは、日本だけでなく、北米、欧州、韓国など、海外でも発売されたのがトピックでした。中古車としては比較的に新しい車両も探すことができますが、中身は2000年代のものと思っていた方がいいでしょう。