【プロ解説】バーゲンプライスと言われるLBX "MORIZO RR"と素のLBXを徹底比較

これまでの高級車の概念を変える、サイズのヒエラルキーを超えたクルマとして、2023年11月9日に国内発売されたレクサス LBX。
コンパクトサイズながらも上質な走りとデザインを兼ね備えるLBXに、ラリーカーと同じ1.6L直列3気筒ターボ+スポーツAWDを搭載した“MORIZO RR”が追加されました。
ベースのLBXに対して、どこが変わっているのでしょうか?それぞれの違いを紹介します。
- Chapter
- レクサスでもっとも小さいSUVに追加されたホットバージョン
レクサスでもっとも小さいSUVに追加されたホットバージョン

レクサスでもっとも小さいSUVがLBXです。専用のGA-Bプラットフォームに1.5Lハイブリッドを搭載するコンパクトSUVは、「本物を知る人が、素の自分に戻り気負いなく乗れるクルマ」を目指して開発されました。
その小さな高級SUVに、最高出力300馬力オーバーの1.6L直3ターボエンジンを搭載したハイパフォーマンスモデルが、LBX “MORIZO RR“です。
ベースのLBXに搭載される1.5Lハイブリッドのシステム出力は100kW(136PS)なので、2倍以上の出力を持つエンジンが搭載された“MORIZO RR“とLBXの違いを見ていきましょう。
まずボディサイズですが、LBXは全長4,190mm×全幅1,825mm×全高1,545mm、ホイールベースは2,580mm。
いっぽう“MORIZO RR”は、全長4,190mm×全幅1,840mm×全高1,535mmで、ホイールベースは同じ2,580mmです。
装着しているタイヤは、LBXの225/60R17(または225/55R18)に対して、“MORIZO RR”は235/45R19という大径となり、トレッド幅も、LBXがフロント、リアともに1,570mmなのに対して、“MORIZO RR”はフロントが1,580mm、リアは1,585mmと広がっています。
そのため取り回しの良さの指標となる最小回転半径は、LBXが5.2m、“MORIZO RR”は5.4mとわずかに大きくなっています。
アッパーボディは、短ピッチ打点を469カ所追加。構造用接着剤も塗布範囲を延長することで、振動低減とともにクルマとの一体感を向上させています。
くわえて、ロアバックパネルの板厚アップ、アンダーボディ床裏への操安ブレース(リアパフォーマンスダンパー)の追加などを行いました。
サスペンションは、基本形式こそLBXのままですが、フロントロアアームに熱硬化樹脂を塗布し焼き付けるレスポンス向上減衰構造REDSを採用。
リアには高剛性なピロボールジョイントを採用し、ブッシュ特性、部品剛性の最適化を実施しています。
ブレーキは、LBXがモーターの回生による制動力と油圧ブレーキの制動力を状況に応じて使い分ける協調回生ブレーキ。
“MORIZO RR”は、フロントがAT/MT車ともに4ポットキャリパー+スリット入り2ピースベンチレーテッドディスク、リアはAT車がモータオンキャリパーとソリッドディスク、MT車はスリット入り2ポットキャリパーとベンチレーテッドディスク。
くわえてペダル剛性感を重視したチューニングを施すことで、スポーツ走行に適したブレーキフィーリングを実現しています。
LBXのエクステリアデザインは、徹底した空力性能の向上や、18インチの大径タイヤ、さらに新たなフロントフェイスであるユニファイドスピンドルの採用などにより、コンパクトクラスのパッケージにとらわれないダイナミックなプロポーションを獲得。
“MORIZO RR”ではそれに専用のフロントバンパー&グリル、カラードアーチモール、カラードロッカーモール、専用リアバンパーとデュアル化した大口径マフラーバッフルの採用などによって、機能的でパワフルなイメージを高めています。
インテリアは、LBXではステアリングスイッチとヘッドアップディスプレイを連携させ、大きな視線移動をすることなく、運転に集中しながらナビやオーディオなど、各種機能を自然に操作できる「Tazuna Concept」に基づいてデザインされています。
運転に必要な情報を表示する眼前の12.3インチマルチインフォーメーションディスプレイこそ共通ですが、表示される内容、デザインが大きく異なります。
またドライビングポジション、シート性能にもこだわりクルマとの一体感を高めています。
いっぽう“MORIZO RR”では、ディンプル本革ステアリングに、表皮一体発泡構造によりホールド感を高めたフロントシートを採用。表皮は、セミアニリン本革+スムース本革を採用。
足もとのアクセル、ブレーキ、クラッチの各ペダルはアルミ製となり、スポーツティかつ高品質なイメージとなっています。

搭載しているパワートレインは、LBXが1.5L直3エンジン+モーターのトランスアクスルにパイポーラ型ニッケル水素電池を組み合わせる1.5L ハイブリッドシステムで、トランスミッションは電気式無段変速機(CVT)。システムの最高出力100kW(136PS)です。

いっぽう“MORIZO RR”は最高出力224kW(304PS)、最大トルク400Nmを発生する1.6L直3ターボエンジンに6速MTまたは8速ATの組み合わせ。
駆動方式はLBXが2WDと4WDを設定しているのに対して、“MORIZO RR”は4WDのみです。
それぞれの4WDは、LBXがハイブリッドシステムにリアモーターを装備したE-Four、“MORIZO RR”は電子制御多板クラッチのアクティブトルクスプリット4WDで機構も性能も異なります。
車両重量はLBX ”Cool”(E-Four)の1,390kgから6MT車は+50kgの1,440kg。8AT車でも+80kgの1,470kgと税金の変わる1,500kg以下に抑えているというのは見事な仕事と言えます。

さらに“MORIZO RR”では、トルセンLSDをフロント&リアデファレンシャルに設定。変化する路面状況に最適なトルクを瞬時に配分し、安定したコントロール性能やコーナーからのするどい立ち上がり加速に貢献します。
また“MORIZO RR”個別の機能として「サーキットモード」があります。
これは、手持ちのスマートフォンに専用アプリをインストールすることで使えるもので、GPSの位置判定によって車両がサーキットなどの利用可能エリアに入るとターボラグを減らす“アンチラグ”、上限車速を引き上げる“スピードリミッター”、独自の設定ができる“シフトタイミングインジケーター”、エンジン冷却を促進する“クーリングファン”が使用できるようになるもので、カスタマイズも可能です。

車両本体価格で比較すると、“MORIZO RR”の650万円に対し、同じ4WDで比べると、LBX“Cool”/“Relax”(E-Four)が486万円という設定。
約165万円差ということになりますが、これだけのチューニングが施されていることを考えると、バーゲンプライスと言っても過言ではないでしょう。