ヴェルファイアはトヨタのLLクラスミニバン。

■ 概要
2008年、アルファードの兄弟車としてデビュー。アルファードとの差異点は主に内外装である。
ヴェルファイアはアルファードに対して特に若い層を狙ってデザインされた押し出しを強めたフロントマスクを持ち、上下に分割された「アメリカ風の」ヘッドライトにより精悍な表情だ。
当初はアルファードともども国内専用車であり、北米や欧州市場には2013年現在でも輸出されていないが、2010年から香港・マカオ等へ輸出が始まった。

ヴェルファイアの車名の意味は「ベルベット（のようになめらかな）」＋「火（のような情熱）」という造語。メーターの盤面はブルガリ風味。名前や外観のキャラクターと相まって、分かりやすい贅沢を全体的に演出している。
スマートでプレーンなキャラクターが売りのアルファードと合わせてLLサイズミニバンではトップセールスを誇る。ヴェルファイア単体でも発売後1ヶ月間で半年分の目標販売台数を売り切ったというからその人気が伺える。
ヴェルファイアの販売店はネッツ店（旧ビスタ店）系列で、従来「アルファードV」を売っていた店である。
シートレイアウトは7人乗りと8人乗りとがあり、特に7人乗りの上級グレードでは「エグゼクティブパワーシート」が装備される。これはオットマンや大型ヘッドレストがついたビジネスクラス並みの贅沢なものである。

■ パワートレイン
エンジンは2GR-FE型の3500cc V6 DOHCと、2AZ-FE型の2400cc 直4の二種類でモデルチェンジ当初はハイブリッドモデルは設定されていなかった。
2011年のマイナーチェンジで先代に設定されていたハイブリッドが追加設定された。ハイブリッドシステムはプリウスや後のアクア等と同様のTHS-IIである。

2400ccのエンジンはCVT(Super CVT-i)が組み合わされ、これにより燃費性能と動力性能、走りのスムーズさを獲得。
また加速力の必要でない場合に積極的に低回転を維持する等の電子制御スロットルとの高度な統合制御を行うことにより、燃費性能と静粛性を追求している。
CVTながら擬似的な変速段を演出することによって、手動変速も可能にした7速スポーツシーケンシャルシフトマチック機構も採用されている。

V6モデルの2GR-FE型の3500ccはトヨタで広く使われているエンジンブロックで、基本設計はレクサスのIS、GS等やトヨタブランドのクラウン等に設定されているものと共通。
車体の割に短いノーズに横置きで収められるため給排気系のスペースの制約等があり、また直噴化はされていないことから出力は280psに留まった。（縦置き直噴の2GR-FSE型は315ps）
総重量の重いロングホイールベースのFFレイアウトによりトラクションに制約があるためにあえて出力を抑えているという推測も出来る。
しかしいかに重いとはいえ大排気量から生み出される大トルクは圧倒的に余裕があり、特に高速域ではメーターを振り切る程の巡航性能を持つ。
V6モデルにはマニュアルモードつき6AT(6 Super ECT)が組み合わされる。各ギアのギア比を近接させスムーズな加速を実現していながら、全体でワイドなギア比を構成することで高速燃費性能や静粛性にも寄与している。

2400ccモデルでも動力性能は十分以上であり、登坂路での追い越し加速以外ではV6モデルに大きく引けを取る場面は少ない。
そのため登場当初のセールスの比率として2400ccモデルが過半数となっている。グレード別ではエアロパーツのついた「Z」グレードが最量販で、ヴェルファイアのアグレッシブなキャラクターと一致している。
もちろん中古車市場でも高い人気を誇り、そのため全体的に値落ちが少ないのは否めない。

■ 特別仕様車
人気の車種だけに「人と違った一台」を求める声に応えて数々の特別仕様車が発売されている。いずれも中古車市場でも玉数は豊富である。
2009年6月2日発売の「2.4Z PLATINUMセレクション」「3.5Z PLATINUMセレクション」は左右パワースライドドアやパワーテールゲート、ウェルカムランプ等の快適装備とアルカンターラシート等の加飾を施した豪華な特別仕様車。
2010年4月1日発売の「2.4Z PLATINUMセレクションII」「3.5Z PLATINUMセレクションII」は「PLATINUMセレクション」をアップグレードしたもので、ウッド風パネルやメッキアルミホイール等で豪華さを増したものである。
2010年9月30日発売の「2.4Z PLATINUMセレクションII type GOLD」「3.5Z PLATINUMセレクションII type GOLD」は「PLATINUMセレクションII」に対してウッド風パネルをブラックウッド仕様とし、各部にシャンパンゴールドやゴールド色をあしらったさらなるドレスアップ仕様。
2011年5月20日発売の「2.4Z PLATINUMセレクションII type GOLD II」「3.5Z PLATINUMセレクションII type GOLD II」は「PLATINUMセレクションII type GOLD」に対してメッキドアミラーカバーを省略する一方、メモリー機能つきパワーシートを装備し実用性も高めた仕様。
2012年9月18日発売の「2.4Z Golden Eyes」「3.5Z Golden Eyes」はマイナーチェンジ後のヴェルファイアに「PLATINUMセレクション」シリーズに代わって設定された豪華な特別仕様車。左右パワースライドドアやパワーテールゲート等、実用的な装備はいくつか共通するが、リフレクターにシャンパンゴールドをあしらったヘッドライトを装備するなど差別化をはっきりさせている。
2012年11月12日発売の「2.4Z G's」「3.5Z G's」はトヨタのモータースポーツ部門、GAZOO Racingの手掛けたスポーティーな特別仕様車。専用の足回りと一層迫力を増したフロントマスク、各種エアロパーツが特徴。テール部分もディフューザー形状となっており、その下部から4本出しマフラーが覗く。
2013年10月31日発売の「2.4Z Golden Eyes II」「3.5Z Golden Eyes II」は「Golden Eyes」の後継という位置づけの特別仕様車。「Golden Eyes」に対して座席のサイド材の本革にドレープを追加、AC100V/100Wのアクセサリーコンセント等を新たに装備している。
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