VOLVO V40は1995年にセダン「S40」のステーションワゴンモデルとしてデビューした。
その後、2004年にS40がモデルチェンジするとそのステーションワゴンモデルは「V50」となり、一旦V40の歴史は途絶えた。
これはステーションワゴンモデルを一段上級と位置づけて名付ける当時のVOLVOの戦略によるものだ。
同様に同時代のボルボにはセダン「S60」のステーションワゴンモデルとして「V70」と名付けたものがあった。
2012年、セダンモデルを持たない独立の車種としてV40は復活した。

1995年デビューのV40はステーションワゴンで、オランダ政府・三菱自動車工業・ボルボの合弁会社であるネッドカー（現VDLネッドカー）により生産されていた。
同じネッドカーで生産され日本国内へも少数（480ターボのみ300台）輸入された「VOLVO 400シリーズ」の後継である。
兄弟車には三菱ブランドの「カリスマ」があり日本国内でも1996年より販売されていた。
初代のV40のエンジンはいずれも4気筒で、1800ccノンターボ、2000ccノンターボ、2000ccインタークーラーつきターボのエンジンをそれぞれ横置きにするFFおよび4WD車である。
VOLVOの当時のボトムレンジを担うコンパクトなワゴンとして人気を博した。
1999年、製造元のネッドカー社はオランダ政府保有分の株式を三菱およびVOLVOに売却し、両社が50%ずつを保有することとなる。

2000年、この年に発売された2001年モデルで内外装の変更を伴うマイナーチェンジが行われる。ここを境に「前期・後期」と区別され、ヘッドライトやバンパー等の形状で区別される。
このマイナーチェンジは単なるフェイスリフトではなく、足回りのアーム類まで手が入れられた。これによりホイールベースは10mm延長、フロントトレッドは15mm拡大されている。
トランスミッションは4ATから5ATへと発展。VOLVOの特徴たる安全性能にも磨きをかけ、衝撃の度合いにより2段階に膨張量を調整するデュアルモードエアバッグ、サイドカーテンエアバッグを標準装備した。
現在では一般的となっているチャイルドシート用のISOFIXアンカーもこのマイナーチェンジからの採用である。
またこの年、250台限定でインタークーラーつきハイプレッシャーターボエンジンから200psを絞り出すホットモデル、「T-4」が日本国内に導入される。
当時VOLVOが謳っていた「ダイナミックシャシーセッティング」に従い専用のサスペンションを持つ。
この頃のVOLVOには各ラインナップに「T-4」「T-5」「T-6」というスポーツモデルを持っていた。これらのモデル名のうち数字の部分はエンジンの気筒数を表し、「T」は高圧ターボを表している。

2001年、ネッドカー社は三菱の100%子会社となるが、V40は継続して生産された。
2002年、「V40 T-4 75th Anniversary Limited Edition」が日本国内で発売された。
名前となっている75thとはVOLVOの最初の乗用車「O"V4（ヤコブ）」が1927年に発売されたことにちなむ。
この限定モデルはそのスポーツイメージに沿って、標準車には備わるルーフレールを廃し、代わりにテールゲート上部にルーフエンドスポイラーが装備されている。
2004年、ネッドカー社はVOLVO車の生産から撤退。これにより初代V40は生産中止し、一旦歴史は途絶えた。

2012年、初代V40の生産中止から8年、二代目V40はジュネーブモーターショーでデビューした。
初代とは直接関連のない5ドアハッチバック車で、プレミアムCセグメントとしてBMW・1シリーズやアウディ・A3、日本国内ではレクサスCT200h等のライバルである。
プラットフォームはマツダ・アクセラやフォード・フォーカスと共用し、ベルギーのゲント工場で生産される。
安全性能に拘るメーカーとして世界初の歩行者用エアバッグを装備したことで話題となった。
ボディデザインはカナダ人デザイナーのサイモン・ラマー氏で、このところの一連のVOLVO車のデザインと共通性のあるものだ。
リアゲートまわりのデザインはVOLVOをよく知るマニアにはニヤリと来るもので、リアゲート下半分にまでガラスが回りこむディティールは名車「1800ES」のモチーフを取り入れたものだ。
同様の処理はC30、400シリーズハッチバックでも繰り返されており、既にVOLVOのスポーティーハッチバックの文法になっていると言えるかもしれない。

エンジンは「T4」シリーズの1600ccターボのみが当初日本国内に導入され、デュアルクラッチトランスミッション「パワーシフト」と組み合わされる。
「パワーシフト」にはVOLVO初のスポーツモードが備わる。

2013年、V40 T4用の「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」が発売される。
これはVOLVOのモータースポーツにおけるパートナーである「ポールスター・レーシング」と共同開発したチューンドECUであるが、
これだけで最高出力は標準車より20ps上乗せし、1600ccの排気量ながら200psを発生する。これは往年の初代T-4が2000ccで出していたのと同数値である。

このT4というのはかつての「T-4」と同様に4気筒を表しており排気量は1600cc。
「V40 T5 R-DESIGN」「V40クロスカントリーT5 AWD」の二車種は5気筒2000ccターボが搭載されている。
他のメーカーではあまり耳慣れない5気筒エンジンだが、かつてVOLVOは「V70」「850」の時代にも用いていた。
同じボア×ストロークを使い回しながら気筒数の増減により様々な排気量のエンジンを作る工夫だ。

「V40クロスカントリーT5 AWD」は流行に乗ったクロスオーバーモデルで、基本的にボディ＆シャーシはV40に準じ、最低地上高を10mm上げてSUV風に仕立てたハッチバック車である。
ルーフレールその他の変更により全高は30mm増加しているが、元々の全高が高くないためタワーパーキングでも支障のない1470mmに留まるのは日本のユーザーには嬉しいところだ。
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