【プロ解説】定評のあるホンダ製ハイブリッドSUVの頂点に立つニューモデル『CR-V e:HEV』を徹底解説
2024年にe:FCEV専用モデルとして導入が開始された6代目ホンダ CR-Vに、待望のハイブリッドモデルが追加されました。
ホンダならではの「操る楽しさ」と、SUVに求められる安心・快適・走行性能の両立にこだわり開発されたCR-V e:HEVに、自動車ジャーナリストの萩原文博さんが試乗。
車両解説とインプレッションをお届けします。
6代目に進化したミドルクラスSUV
Comfortable Runabout Vehicle(快適に自由に走りまわる移動体)を車名の由来に持つホンダ CR-Vは、1995年に初登場しました。
6代目は、2022年に北米・中国でガソリン車がデビュー、。日本では2024年にまずe:FCEV(燃料電池車)が登場し、2026年2月にハイブリッドシステム「SPORTS e:HEV」を搭載したCR-V e:HEVが投入されました。
歴代CR-Vが受け継いできた「車高の高いタフなイメージのスタイリングでありながら、まるでセダンのような安定した走り」や、「空間のゆとりだけでなく、使い勝手や居心地にも存分な配慮」という特徴を進化させ、「スポーティーでありながら機能的なデザイン」や「爽快でありながら安心感のある視界」といった、異なる価値を高次元で両立させています。
筋肉質でありながらスーツが似合う「知性あふれるアスリート」をイメージ
フロントピラーをキャビン側に引いてフロントノーズを長くし、ホイールベースと全長を拡大することで、より力強いシルエットへと進化したエクステリアは、水平基調のシンプルな造形のなかに、力強さと洗練、上質さ、大人らしさが凝縮されています。
全長4,700mm×全幅1,865mm×全高1,680mm(4WD車1,690mm)、ホイールベース2,700mmのボディサイズは、先代モデルに対して、全長で95mm、全幅10mm、ホイールベースは40mm、それぞれ拡大。トレッドも前後10mmずつ拡幅され、安定感のあるスタンスを形成。
フロントフードを前に張り出させることで精悍な印象を創出するとともに、リアにはCR-V伝統の縦型リアコンビネーションランプを踏襲し、上質で安定感のあるリアビューに仕上げるなど、歴代CR-Vが受け継いできたスポーティさと機能性の双方を磨き上げています。
質感の高いスポーティな上質さと、日常の道具としてのタフネスな使い勝手を盛り込んだインテリア
インテリアは、質感の高いスポーティな上質さと、日常の道具としてのタフネスな使い勝手という相反する価値をテーマに開発。空間全体に硬質でシャープなイメージを持たせ、SUVらしい力強さと精緻な造形によって上質さを表現しています。
運転席は、フロントフードの見え方、フロントピラーの断面や付け根形状、ドアミラーの配置、インストルメントパネルなど、ドライバーのスキルにかかわらず運転しやすい視界を作り上げ、スマートフォンを2台置けるコンソールトレーや、両席から取りやすい並列配置のドリンクホルダーなどは、シンプルな操作性と使いやすいレイアウトにこだわりました。
リアシートは、8段階のリクライニングに加え、前後スライド(190mm)が可能。4WD車には、シートヒーターも装備します。ラゲッジスペース容量は、5名乗車時で590L(VDA方式によるHonda測定値)となっています。
2.0Lエンジン+2モーター内蔵電気式CVTの新しいハイブリッドを搭載
CR-V e:HEVのハイブリッドシステムは、最高出力109kW(148PS)、最大トルク183Nmを発生する2.0L直噴アトキンソンサイクルDOHCエンジンと、最高出力135kW(184PS)、最大トルク335Nmの走行用モーターを組み合わせる「SPORTS e:HEV」です。
2モーター内蔵電気式CVTは、発電用と走行用ともにモーターの出力を向上するとともに、e:HEVの特徴のひとつであるエンジンモードを進化させるため、ハイ/ローの2段ロックアップギアを採用しました。
SUVらしい力強い走りとモーター走行での高い最高速度を両立し、エンジンモードではより低いエンジン回転数で、高速クルーズ時の静粛性に貢献しながら、ローギアによってエンジンモードの作動領域をより低速域に拡大させています。
駆動方式は、FFとリアルタイムAWD(4WD)の2種類。新しくなったリアルタイムAWDは、各種センサーが走行状況を検知し、前輪が空転する前に後輪へ駆動力を伝達することで、滑りやすい路面だけでなくオンロードでの走行安定性も向上しています。ドライブシーンによって選択が可能なドライブモードには、CR-V初採用の「スノーモード」と「インディビデュアルモード」を含めた5つのモードを用意しています。カタログ上の燃費(WLTCモード)は、FF車が19.8km/L、4WD車が18.0~18.2km/Lです。
Honda SENSINGはHonda SENSING 360へ進化
さまざまな走行環境でドライバーの運転負荷を軽減する安全運転支援システムのHonda SENSINGは、新しく搭載された降坂時の車速維持をはじめ路面の傾きや横風などに対する補正制御、カーブ追従性の改善、カーブ車速調整機能などを搭載。くわえて上級グレードの「e:HEV RS BLACK EDITION」には、前方交差車両警報、車線変更時衝突抑制機能、車線変更支援機能など認知と衝突回避を支援するHonda SENSING 360が搭載されました。
ナビゲーションには、Honda Total Careプレミアムに対応するGoogle搭載Honda CONNECTディスプレイを採用。
Google アシスタント、Google マップ、Google Playといったアプリケーションとホンダのコネクティッド技術により、安心かつ快適なユーザーエクスペリエンスを体験できます。
グレードは「e:HEV RS」と「e:HEV RS BLACK EDITION(ブラックエディション)」の2つで、駆動方式は前者にFFと4WD、後者は4WDのみとなっています。
専用装備を盛り込んだe:HEV RS BLACK EDITIONに試乗
「e:HEV RS BLACK EDITION」は、エクステリアにクリスタルブラック・パールで塗装されたバンパーロアーガーニッシュ(フロント/リア)、ドアロアーガーニッシュ、フェンダーガーニッシュ、アウタードアハンドルにくわえ、BLACK EDITION専用エンブレム、ベルリナブラック+ダーク切削クリア仕上げの19インチアルミホイール。
室内には、フロントウインドウ投影型のヘッドアップディスプレイ、運転席&助手席シートベンチレーション、Honda SENSING 360などを装備して、プレミアムかつ力強さを際立たせています。
運転席に座ると、ノイズの少ない視界が広がります。「運転中に視界に入る車両の要素の見え方によって、無意識レベルでの運転のしやすさを向上させる」という考え方によるもので、車両感覚のつかみやすさや進行方向へと無意識に支線を誘導するフロントピラーの断面形状。そして右左折時や旋回時に見たい部分をしっかりと見せるドアミラーの配置など、ドライバーのスキルの関係なく、運転しやすさが追求されています。
試乗は、高速道路、一般道、ワインディングなど約400kmを走行しました。
高速道路はもちろん、ワインディングでもe:HEVならではのシームレスな走りは健在。ハンドリングは、可変ステアリングギアレシオ(VGR)の採用によって、低速域では取り回しやすく、高速域では安定した応答性が感じられました。
試乗時の燃費は約17.0km/L。高速走行だけならば、カタログ数値を超える数値が出そうです。
コネクテッドではGoogleを搭載したホンダコネクトディスプレイを標準装備。音声入力で目的地設定を行うGoogleアシスタントの精度も高く、非常に使いやすくなっています。
また、ホンダセンシング360の運転支援機能は、ハンドルやアクセル/ブレーキのペダル操作の質感が向上し、非常に乗員に優しい制御となっています。
並み居るライバルをHondaらしさで打ち負かすことは可能か
トヨタ ハリアーやRAV4、マツダ CX-5など、強力なライバルが存在する国産ミドルサイズSUV市場にあって、ホンダ CR-V e:HEVは、Hondaらしい操る楽しさにくわえ、爽快な加速と上質な走り、優れた環境性能を兼ね備えた優れた1台となっています。































