トヨタ・プリウスαは二列または三列シートを備えるミニバンで、三代目プリウスの派生車種である。

プリウスはかねてからの大ヒットで、しかしより大きな室内スペースを求める市場の声もあった。
そこでトヨタはベースとなったプリウスのメカニズムをベースとして三列シートを備えることの出来る一回り大きなボディを与えた車種を作った。

市場の要望の高まりとともに以前から自動車雑誌等で期待まじりのスクープが頻繁に掲載されており、その折、実際にプリウス公式Facebookページにてその存在が発表され現実の新型車として認知された。
その後、2011年1月、デトロイトモーターショーにてトヨタはプリウスα（現地名「プリウスV」）をワールドプレミア。全貌が明らかとなった。
欧州でも3月のジュネーブモーターショーで「プリウス+」として公開。日本での実車の公開は「プリウス・スペースコンセプト」として東京のメガウェブでの展示が初めてとなった。
当初はその年の4月下旬の発売の予定であったが、日本初公開のわずが三日後に起きた東日本大震災の影響で翌5月に発売を延期した経緯がある。
■ プリウスとの共通点
プリウスと同様「新MCプラットフォーム」を用い、2ZR-FXE型 1800cc 直4 DOHCアトキンソンサイクルエンジンにリダクション機構付THS IIを組み合わせたハイブリッドシステムでフロントタイヤを駆動する。
プリウス同様にスペースと重量の節約のため標準はパンク修理キット搭載となり、スペアタイヤはオプション扱いとなる。

■ プリウスとの違い
一見、前半部分はイメージが似通っているため共通だと見られがちであるが、ヘッドライトやバンパー等を含めてボディ自体に共通のものは皆無である。
インパネを始めとする内装部分も異なり、シャーシとパワーユニットのみを共用しながらプリウスと共通の印象を持たせているのはイメージ戦略上の理由による。

当然ながらボディは拡大されており、プリウスの1745×4460×1490mmからプリウスαでは1775×4615×1575mmに3サイズ全てが大きくなった。
全幅で30mm、全長で155mm、全高で85mmの拡大となっておりミニバンとして成立させるための最小限の変更と言える。
シャーシ自体は共通ながら、増大した車重に耐えるためかホイールのPCD（Pitch Circle Diameter、ナット座ピッチ直径）はプリウスの100mmから114.3mmに拡大された。
このためプリウス用のホイールはプリウスαに使い回すことは出来ない。なおサスペンション形式は不変であるがセッティングは変えられている。
ホイールベースは2700mmから2780mmへと80mmの拡大。フロントトレッドが15mm広げられ1540mmに、リヤトレッドは25mm広げられ1545mmになっている。

走行用モーターには水冷式が採用され、負荷の増大に対応。またファイルを3.26から3.704に落としローギアード化が図られている。
セレクタレバーはプリウスのものより小型化され、前席横方向のウォークスルーの邪魔にならないよう配慮されている。

プリウスには設定されている本革シートがプリウスαでは選択出来ない等、装備面での違いもある。
またメーカーオプションのサンルーフが「樹脂パノラマルーフ」として、ガラス製から樹脂製に変更されており、ガラス製と比べて40%の軽量化が図られている。
このためサンルーフなしと比べ20kgの重量増に抑えられている。プリウスでは設定されているソーラーパネルは選択出来ない。

プリウスαは大きなトランクと広げられたキャビンスペースによってタクシー需要も増えており、
そのため最廉価版の「S」グレードに「Lセレクション」という仕様が設けられている。
この「S Lセレクション」はプリウスにはないスチールホイール＋フルホイールキャップを装着したグレードとなっている。
このほか「Lセレクション」で省かれた主要な装備として、運転席のシートリフターが挙げられる。体格によっては気になるポイントとも成り得るので中古車として探す際には注意したい。

■ 二列シート仕様と三列シート仕様の違い
走行用バッテリーは、5人乗りの二列シート仕様ではプリウスと同様のニッケル水素電池をトランク床下に搭載し、7人乗りの三列シート仕様にはリチウムイオン電池を前席アームレストを兼ねたコンソールボックス内に搭載する。
このため三列シート仕様は前席横方向のウォークスルーは出来なくなっている。
この三列シート仕様用のリチウムイオン電池はニッケル水素電池よりも高性能な（重量あたりの容量に優れる）もので、このおかげで二列シート仕様に対しての重量差は10kgに抑えられている。
意外な違いとしては、車両型式が二列シート仕様が「ZVW41」、三列シート仕様が「ZVW40」と異なったものとなっている。

二列シート仕様でのみ選べる仕様として1500W対応のAC100Vコンセントがある。これは2013年8月の一部改良から二列シート仕様全車にオプション設定されている。2013年現在、中古車としてこれを装備した車両はかなりレアだ。

■ 海外展開
北米とオセアニアでは「プリウスV（PRIUS V）」として、また欧州では「プリウス+（プリウス プラス、PRIUS+）」として発売されている。
なお同じように北米ではプリウスの派生として「プリウスC（PRIUS C）」として発売されているトヨタ・アクアは欧州では販売されず、代わりにヴィッツ（現地名「ヤリス」）にハイブリッドモデルが設定されている。

■ OEM供給
2013年4月よりダイハツ・メビウスとしてOEM供給が開始。
ダイハツ版では三列シート7人乗り仕様の設定がなく二列シート5人乗り仕様のみとなる。この他、エンブレム等差異は極わずがである。
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