車の査定時に聞く瑕疵担保責任をわかりやすく解説!
車の査定時に瑕疵担保責任という言葉を耳にすることがあるかもしれません。瑕疵担保責任は、車を売買するときに買主を保護するための権利です。安心して車を売るためにも瑕疵担保責任について知っておきましょう。この記事では
- 瑕疵担保責任って何?
- 瑕疵担保責任の時効はいつ?
- トラブルを回避するための方法は?
などを解説していきます。車の売却をご検討中の方は参考にしてみてください。
瑕疵担保責任とは
瑕疵担保責任というのは、民法上定められている売主が買主に負う責任のことです。売買契約を結んだ目的物(今回の場合車)を購入した時点では明らかではなかった「隠れた瑕疵」が、後日見つかった場合に、売主は買主に対して契約解除や損害賠償などの責任を負います。それが瑕疵担保責任です。ポイントとなるのは、売買契約の結ばれた時点では瑕疵が隠れた状態であったという点、そして契約を結んだ時期にはすでに存在していた瑕疵であるという点です。
瑕疵担保責任は民法に定められています。民放570条と566条によれば、瑕疵担保責任では、買主が瑕疵により目的物の売買契約の目的を達成できないと判断した場合には、契約の解除ができます。また、契約の解除ができない場合には、損賠賠償の請求を行うことが可能です。契約の解除も損害賠償の請求も、瑕疵の事実を知った1年以内に行わなければなりません。
瑕疵とは車でいうと何を指すの?
瑕疵というのはそのままの意味でいえば、傷のことですが、車の買取の売買契約の際には単なる傷のことだけではなく車を動かす上での不具合全般のことをさすと考えてください。隠れた瑕疵であるため、買主が通常の注意力(査定)で発見できなかった場合に、瑕疵担保責任が発生するのです。
売買契約時に、目的物に不具合がある場合には、代替品で対応することもありますが、中古車の売買の場合には一価一物のため、代替性がありません。そのために、この瑕疵担保責任が発生します。
瑕疵があることを知らなかった場合はどうなるの?
仮に売主が善意の売買(瑕疵があるかどうかを知らなかった場合)であっても、瑕疵担保責任は生じてしまいます。たとえば、中古車で購入し、購入以前の瑕疵などについて把握していなかった場合であっても、買主側が隠された瑕疵があると判断した場合には、瑕疵担保責任は生じるでしょう。
ちなみに2017年5月26日の民法の改正により、2020年4月からは、瑕疵担保責任に代わるものとして契約不適合責任ができます。瑕疵担保責任では、購入者の目的に合っていて目的が達成されたかどうかにポイントがありましたが、契約不適合責任ではそもそもの契約内容に適合しているかどうかがポイントとなっています。さらに買い手保護の傾向が強くなるでしょう。契約解除や損害賠償請求のほかに、追完請求や代金減額請求など救済方法が増えることも特徴です。
瑕疵担保責任に時効はある?
瑕疵担保責任の時効は10年です。中古車の買取査定後に瑕疵が見つかり、瑕疵担保責任により損害賠償請求などを行う場合には、買主の債権が中古車の引き取りから10年で消滅します。そのため10年が時効だと考えられるのです。
瑕疵担保責任は民法566条と570条に定められています。この条文だけを見た場合には、車の買取をした買主は瑕疵を知った時点から1年以内であれば、売買契約の成立した時点から何年経過していても、請求はできるように解釈できるでしょう。
しかし一方で民法167条では、「債権は、十年間行使しないときは、消滅する」とも定められているため、中古車売買の場合には引き渡しから10年以内に瑕疵損害賠償権を行使していない場合には、買主側の債権は消滅すると考えられるのです。中古物件のケースですが、最高裁での判決が出ています(最高裁平成13年11月27日判決)。
個人売買の場合の瑕疵担保責任
また、 個人売買の場合であっても、基本的には瑕疵担保責任が問われます。
しかし、個人売買の場合には、双方で自動車売買契約書を交わす際に、瑕疵担保責任の免責の取り決めを交わすことがあります。「瑕疵担保責任を問いませんよ」という取り決めです。
あるいは、瑕疵担保責任の賠償割合をあらかじめ配分したり、瑕疵担保責任の期間を短縮するなどの取り決めもあります。とはいえ、かりにこれらの取り決めによって車の個人売買を行った場合であっても、売主があらかじめ瑕疵について知っていたとき(悪意)には、買主は瑕疵担保責任を追及することが可能です。
中古車販売の場合の瑕疵担保責任
中古車販売の場合には、現状引き渡しという保証をつけない代わりに安価で買うことができるというケースもあります。この場合であっても、買主があらかじめ隠された瑕疵について知らなかった(善意)のケースであれば、瑕疵担保責任を販売店に問うことが可能です。
購入時点で瑕疵について説明があって知っていた(悪意)の場合には瑕疵担保責任は問うことができません。オークションなどによる個人売買における現状引き渡しの場合には、ケースにより様々ですが、明らかな故障などがある場合には、瑕疵担保責任を問うことができるケースもあります。
瑕疵担保責任のトラブルから逃れるためには!
瑕疵担保責任は買主側にとって、強い権限を発揮するものです。しばしば問題となるのは、専門知識のない個人が査定をしっかりと行わない業者との間で車の売買契約を成立させたあとに、瑕疵担保責任により売買額からの大幅減額させられるケースです。
悪質な業者の場合には、意図的に瑕疵を見のがして買取査定を出し、売買契約が終わり車両引き取りの後で、契約解除やキャンセル料の請求をする場合もあります。車の買取の場合、売る側に知識がないケースもあり、その隙をついて損害賠償請求権を行使してくる場合もあり、万が一のことを考え、トラブル回避のために注意しておく必要はあるでしょう。
車に異常がないかのチェックポイント
車の買取店とのトラブルから逃れるためにも、車に異常がないかどうかを調べるときにチェックポイントをご紹介します。
まず、車体全体を見て、明らかな傷やへこみ、オイル漏れなどがないかをチェックします。それから車内に入り、異様な焦げ付いた匂いがしないかどうか、排気ガスの匂いに異常がないどうかなどをチェックしましょう。その後、運転してみて、走行音の異常やブレーキ音の有無など、気になる点はないかどうかをみておきます。車を点検してみて、気になるポイントがあればあらかじめ買取業者に話しておくことで、のちのちのトラブルを防ぐことができるでしょう。
- 車体全体を見て明らかな傷やへこみがないか
- オイル漏れなどがないか
- 車内に異様な焦げ付いた匂いがしないかどうか
- 排気ガスの匂いに異常がないどうか
- 運転時に走行音の異常はないか
- ブレーキ音の有無など気になる点はないか
中古車を売る際には確認をしっかり!
また、中古車を売る際には、契約書の内容をしっかり確認しておくことが大切です。契約書の瑕疵担保責任の項目にもしっかり目を通しておきましょう。気になる点があれば、瑕疵担保責任について担当者に詳しく確認しておきます。
違約金の金額や瑕疵担保責任の期間などを詳しく聞いておきましょう。査定の際に発見できた瑕疵に関しては、瑕疵担保責任の範囲ではありませんから、査定の段階で事故の有無、修復・修理歴などについて、包み隠さず話しておくのが大切です。
万全を期すのであれば、査定や契約時の会話を録音しておきましょう。質問をはぐらかしたり、疑問点をそのままに契約を迫る業者は注意が必要です。不明瞭な点が多い場合には、その業者と売買契約を結ぶのをやめるなどのことも検討しましょう。
もしも、トラブルに巻き込まれてしまった場合には、国民生活センターやJPUC車売却消費者相談室、法テラスなどに相談してみてください。上記3つのような電話相談ではなく、直接的なアドバイスを求めるなら弁護士に直接相談することも検討してみてみましょう。
まとめ
- 瑕疵担保責任は売主が買主に負う責任
- 瑕疵担保責任の時効は10年
- 中古車売買の際には事故歴や修復歴は伝えておく
瑕疵担保責任はものの売買で売主が買主に負う責任です。瑕疵担保責任は基本的に契約後から、10年を時効としています。契約後に見つかった瑕疵がこの責任に問われるため、トラブルを避けるためにも車を売る際にはあらかじめ事故歴や修復歴などを伝えておきましょう。
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